表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

浦なんとか太郎

作者: たなか
掲載日:2022/02/02

 昔々、あるところに浦…………うら…………ええっと…………浦なんとか太郎というものがおりました。


 あるとき、浦なんとか太郎は、浜辺で子どもたちにいじめられている…………あの…………大きな甲羅があって……浜まで産卵にやってくる…………()()を見つけました。


 浦なんとか太郎があれを助けると、あれはお礼に…………その…………海の底にある……豪華できらびやかな…………()()()にご招待しますと言いました。


 浦なんとか太郎は、あれに連れられてあそこへ辿り着くと……美しい姫と家来たちに手厚く歓迎され……おいしい料理とすばらしい余興を、来る日も来る日も思う存分楽しみました。


 そして数十年ぶりに故郷へ帰ってきた浦なんとか太郎は…………お土産にもらった箱を開けると……中から白い煙が出てきて…………それから…………。




 …………ああ、そうか…………わしは…………わしが、浦なんとか太郎じゃったのか……はは……はははは…………。





 ~数分前~



 約40年振りの再会だったが、わしは一目見て憎き浦島だと分かった。なぜなら、老いぼれてよぼよぼになったわしと違って、奴はあのときから見た目が全く変わっておらんかったからだ。


 あの日、わしは一部始終を目撃した。偽善者のあいつに向かって、信じられんことに海亀が語りかけたのだ。どうして、たかが亀を一匹助けたぐらいで、奴だけが竜宮城に招待されるんだ。


 当たり前だが、わしの話を誰も信じようとしなかった。嘘つき呼ばわりされるだけでなく、危うく誘拐犯の疑いまで掛けられ捕まるところだった。わしは奴のせいで人生を無茶苦茶にされた。


 一方で、奴は竜宮城で約半世紀もの間、散々愉快な思いをしたうえに、若返りの薬でも貰ったのだろう。ああ、どこまでも不公平で残酷な世の中だ。だが神は、わしのことを見捨ててなどいなかった。


 わしに目もくれず寂れた村の様子を見渡した奴は、呆けたようにその場にへたりこんだ。そのとき、奴の傍にたいそう立派な手箱が無造作に転がっているのを見つけた。これこそ、天から不憫なわしへの贈り物に違いない。


 竜宮城の土産なら、さぞかし高価で貴重な宝物だろう。気づかれぬよう、そっと箱を奪い……いや、譲り受けたわしは自宅に持ち帰った。待ち受ける幸せを前に、堪え切れぬ笑みを浮かべつつ、震える手でゆっくり蓋を開けると…………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 本作の日本語省略の美学が<語彙がちょっとアレなテレビショッピング>に繋がった訳ですね! [一言] この二段構えは先が読めません! 老境の方が玉手箱を開けると・・・。 ふと思ったんですが「…
[良い点] ……浦……なんとか……なんだっけ? 確か竹からでてきた……いや……こぶを取られた……いや……一寸しかなかった……あれ? 有名な話なのに……。 [一言] これは良くできてる!!! 面白かっ…
[良い点] はー……年は取りたく無いもんですねぇ……。 あの、あれ? 橙色の四角いのと、右下の……あれ? 丸いのと、その下の……あの何て言うの? 押しておきました。 ところで今日の昼御飯はなにかね?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ