第35話:明日、みんなで外出しない?
赤髪の中隊長がD-12格納庫に戻ると、パパン小隊の4名も集まっていた。みな、司令官閣下から中隊長が受領したであろう命令の内容が気になっているのである。司令官室に呼び出されたという事実と『懲罰』を短絡的に結びつけてしまうのはいわばフレミングの反射であり、それは自身の学生時代の所業の所為に他ならないのであるが、一般的には、中隊長が司令官に呼び出されたと聞けば新しい命令を受領したと捉えるのがごく普通の将兵のあり様であろう。
「で、新しい命令は何だった、中隊長?」
真っ先に赤髪を見つけた瞬間湯沸かし器が威勢のいい声をかけると、幻影が尤もらしい予想を披露する。
「ガリレイ達には小隊がひとつ足りない」
ガリレイの指摘する通り、フレミング中隊は2個小隊8機による変則編成である。1個小隊を受領する、というのは本来的にも、そしてフレミング中隊の活躍振りから見ても、これに相当する命令であろう。
「どの道、今は風待ちだし……」
「見」
相変わらずプランクの言葉の意味は不明瞭であるが、『見』とは確か、ギャンブルの世界では様子見とか何とか……要するにカルマンも言う通り、休戦期間中のことゆえ具体的な作戦命令などはあり得ようはずもなく、恐らくは編成か訓練か、その辺りに関する命令を受領したのであろうというのが彼女らの予想である。
パパン小隊の喧噪を他所にフレミング小隊の3人は、どこか不安げな様子を見せる小隊長を気遣う。
「フレミー、どうかしましたか? 顔色が優れないようですわよ」
「フレミングちゃん、大丈夫?」
「フレミーちゃん、何か悩み事があるなら聞いてあげるわよ」
3人の小隊メンバーの声にようやく心の平衡を少し取り戻した小隊長は、弱弱しく返辞する。
「みんな、ありがとう。私は大丈夫。それより……」
改めて中隊全員を集めたフレミングが、司令官から受領した命令を伝達する。
「第000防衛飛行群所属操縦士には本日1400時から明後日18日0600時まで、40時間の休暇が命じられました。休暇期間中は外出、外泊および飲酒も許可されますが、乗機およびシミュレータへの搭乗は禁止されます。司令官からの命令は以上です」
俯く中隊長を励ますかのように、パパン先輩が声をかける。
「40時間の休暇なんて、そうそうないぜ、中隊長。司令官閣下には感謝しなきゃなぁ!」
無論、パパンも本当は分かっているのであろう。であるからこそ、敢えて明るい声を挙げる者の存在も必要なのだ。小隊長の意が分かるプランクが追随する。
「中隊長、ギャンブルもいいんだろ!」
無論、どのような場合にあっても賭け事はご法度である。それは営の内外に関わらず、あるいは、休暇であろうとなかろうと関係ない。賭け事の現場が見つかれば軍紀違反で処罰されるのはバーラタにあっても常識ではあるが、毎夜の如くどこかで賭場が成立している現実も、それは古今東西変わらぬ兵営のあり様であるかもしれない。何しろ兵士達の仕事とは自身の命を掛けること、すなわちギャンブルが日常の一部なのだから。
「ガリレイ達はギャンブルはやらない」
「何だよ、ガリレイ先輩! 先輩の機動なんて、ギャンブラーでなきゃあんなのできっこねぇだろ?」
「ガリレイは別に、プランクにベットしている訳ではない」
「連れねぇなぁ~」
幸いなことにフレミング中隊に賭場が立ったことは一度も無い。しかし、休暇中のビールの一杯、ケーキの一皿くらいなら赦されるような気もするフレミングは、そんなガリレイ先輩とプランクのやり取りをただ眺めている。きっと2人とも、私のことを気遣ってくれてるんだろうな……少なくとも、プランクの問いが中隊長の返答を待っていないのは自明であった。
「それでは18日0600時まで、格納庫は整備士の天国とさせて頂きます。よろしいですか、中隊長?」
シン曹長-機付長補-の申し出に、赤髪は軽く頷く。
「うん、おや……ここはみんなに任せるわ。よろしくね、シン曹長」
おやっさん、と言いそうになり慌てて言い直す。「シン曹長の呼び名も考えなきゃ……」。ぼぅっとする頭の片隅でそんなことを考えるが、赤髪の頭の中は様々な編隊運動で既に一杯なのである。頭を空っぽにするというのは存外難しいことである、と改めて感じているフレミングであった。
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結局のところフレミングは仕事中毒患者なのかもしれない。休暇を命じられても他にすることもなく、ただ頭の中で無数の飛行パターンが過ぎっては消えていく。そのいくつかを今すぐ試してみたい、自分の航路、機動を果たして、中隊各機は理解し追随してくれるであろうか。そもそもこの機動は実現可能なのであろうか。無数に浮かぶアイディアの、その可解性や可用性を試す術もなくただ時間だけが過ぎていくことに、フレミングは恐怖すら覚えている。せめてメモでも取っておこうとノートを用意するが、複雑な空中立体機動を2次元の紙面上に再現することは如何にも難しく、あまつさえ言葉で表現することなどは不可能ごとにも思える。そのように悩むうちにもアイディアは次々と湧きあがっては消えていくのだ。その中に正着があるかもしれないのに、と思うともどかしさを如何ともし難い中隊長である。
その夜、寮舎203号室は4人だけのパーティー会場となった。言い出しっぺは聖母トリチェリ先輩である。食堂での夕食を終え居室に戻った後、蜂蜜色が提案する。
「フレミーちゃん、折角のお休みだし、今晩はみんなでパジャマパーティーをしない? この部屋でお喋りしながら夜更かしするのって、みんなにはいつものことかもしれないけれど、私には初めてのことだし……」
トリチェリ先輩がこの小隊に着任してから、まだ3日しか経っていないのだ。ゆるふわ金髪が賛意を示す。
「そうですわね。このところ色々ありましたから、トリチェリ先輩の歓迎会もできていませんでしたわね」
「せっかく飲酒も許可されてるんだし、酒保ってまだ空いてるよね? 私、ワインとかもらってくる!」
いつになく積極的な水色に|、相変わらずどこか心ここに非ずという様子の赤髪がうつろな返事を示す。親友を元気づけたいと思うキルヒホッフが、せめてフレミングの好きなお菓子でも用意しようと席を立つ。
「ケプラー、ワタクシも一緒に……」
買い出しに出かける2人を見送ったトリチェリが、心配げに声をかける。
「じゃぁ私達は部屋の用意でもしてようか、フレミーちゃん」
「はい」
部屋の用意と言っても特段することも無い。簡易テーブルを引っ張り出したら、あとは先にパジャマに着替えるだけである。所在無げにしている後輩に、ケプラーのベッドに腰掛けたトリチェリ先輩-トリチェリの本来の寝床ーは2段ベッドの上段なのだ-が再び声をかける。
「フレミーちゃんは中隊指揮のことで悩んでいるんでしょ? 私では力不足かもしれないけれど、よかったら今何を悩んでいるのか、聞かせてくれない?」
慈愛溢れる蜂蜜色は今日も変わらず、悩める後輩の頼れるお悩み相談所であった。良き相談所とは必ずしも、良き回答を与えてくれるところとは限らない。そもそも他人が問題を解決できるはずもないのだ。相談所の優劣とは、その問題解決能力ではなく、包容力によって測られるものであろう。トリチェリ先輩が聖母と呼ばれる所以である。
フレミングは聖母に語る。中隊のこと、おやっさんのこと、同期の戦死者のこと、自身に与えられた重責のこと。そして、次々と湧いてくる編隊運動のアイディアと、それらを明日には忘れてしまいそうな恐怖のこと……
「フレミーちゃん、こっちにいらっしゃい」
今にもその双眸から大粒の涙が零れそうになっている後輩を自分の横に座らせ、その赤髪を優しく撫でながら、天使の歌声にも比される癒しヴォイスが語り掛ける。
「フレミーちゃん、中隊指揮や編隊運動については私よりフレミーちゃんの方が詳しいのだから、残念だけど私からアドバイスできることは無いと思うの。でもね、私から2つだけアドバイスさせてくれる?」
黙って頷くフレミングに、トリチェリが続ける。
「ひとつめはね、アイディアのこと。昔から言うでしょ。忘れるくらいなら大したことじゃない、って。今フレミングちゃんには、沢山のアイディアが浮かんでいるのよね? そして、明日になったらみんな忘れちゃいそうで怖いのよね? でも、明日になって忘れているようなら、それは正解ではないということではないかしら? きっと校長先生も、そのことをフレミーちゃんに伝えたいのだと思うわ」
敢えて『司令官閣下』ではなく『校長先生』というトリチェリである。
「それからね、フレミーちゃん。ふたつめのアドバイスはね、もっと周りを頼ってみたら、ってこと。中隊にはパパンちゃんもガリレイちゃんもいるわ。2人とも、あぁ見えて結構世話好きで……ガリレイちゃんなんて実は、弟が2人もいるのよ。知ってた?」
ガリレイはどちらかと言えば無口で他人には感心を示さないタイプかと思われたが、実は2人の弟を持つ世話好きなお姉さんだとトリチェリ先輩は言う。意外な感じがしたフレミングがトリチェリ先輩の瞳を覗き込むと、その目は優しくフレミングを諭してくれた。
「もちろん、私もできるだけフレミーちゃんの力になるわ。フレミーちゃんには3人もお姉ちゃんがいるの。そんなに一人で抱え込まなくても大丈夫。もっと頼ってくれてもいいのよ」
「はい……」
弱弱しく頷くフレミングに、トリチェリが加える。
「それに、整備士のみんなもいるわ。シン曹長は頼れる整備士だし、チャンドール准尉だって、すぐに帰ってくるわよ」
「そうですね……」
側に居て支えてくれる人がいることの何と嬉しいことか。金髪の友人はいつでも無条件にフレミングを支持してくれる。けれどもそれとはまた違う意味で支えてくれる蜂蜜色の先輩であった。例えるなら、前を向いて進む時に一緒に苦難を乗り越えてくれるのがキルヒホッフであり、戦いに疲れて斃れそうな時にしばしの休息と安寧をもたらしてのがくれるトリチェリであると言えようか。フレミングがふとそんなことを考えていると、買い出し組の2人が帰ってきた。
「ただいま戻りましたわ」
「PXまだ空いてたから、色々ゲットしてきたよぉ~」
そう言って2人は、ボトルやらおつまみやらをテーブルに手際よく並べ始める。
「フレミングちゃんのマルーンのように、赤みの深いシャトーワインを買ってきたの!」
水色が言うと金髪が応じる。
「フレミーの好きなチョコレートもありますわよ」
「フレミーちゃんって、シャトーワインとチョコレートの組合せが好みなの? 随分と大人ねぇ~」
意外そうな口ぶりで言うトリチェリに、思わず赤面する赤髪と吹き出す金髪である。
「えぇ、トリチェリ先輩~、キルヒホッフちゃんが買ったのって、これですよぉ」
そう言ってケプラーが袋から取り出した戦利品をトリチェリに見せる。フレミングが好きなのは大人好みのダークビターではなく、お子様仕様のストロベリー風味であった……
「じゃぁ、栓開けますね」
と言ってコルクを抜いたケプラーがグラスを5つ用意する。
「ファーレンハイトもこちらへ」
察したキルヒホッフが口を開くと、ケプラーは嬉しそうに自分の机から写真立てを持ってきてテーブルに置いた。
「それで、何に乾杯するの?」
赤髪の小隊長が問うと、金髪の元小隊長が
「トリチェリ先輩、ようこそ落ちこぼれ小隊に!」
と口を開き、水色の元編隊長が
「ファーレンハイトちゃんにも献杯!」
と続け、蜂蜜色の現編隊長が
「みんな、これからよろしくね」
と応えた。こうして203号室でパジャマパーティーが開催されるのは、先日、フレミングの空戦実技競技会優勝をお祝いして以来のことである。彼女達にとっては、この1週間のうちに色々なことが変わってしまった。戦争が起きて、卒業して、実戦参加して、受勲して、それから……みなで乾杯を唱和した後、トリチェリが再び口を開いた。
「ファーレンハイトちゃんも含めて、私達は5人でロリポップ小隊よね?」
「はい!」
明るく答えるケプラーにはファーレンハイトの声が聞こえたような気がした。
「落ちこぼれ + 聖母 = ロリポップ……つか、聖母まじ最強っしょ!」
相変わらず俯き加減の親友の、その内心の焦燥が分かるキルヒホッフが、敢えて軽い話題を振る。
「ところでフレミー、シン曹長の呼び名は決まりましたの?」
おやっさんが不在の間、シン機付長補がその代理を務めている。シン曹長の呼び名を定めてしまうとおやっさんがもう戻って来ないような、そんな迷信じみた感傷に囚われたフレミングは、今のところその必要性を認めつつも敢えて思考の対象外に置いてきた。そんな親友の心情を理解するキルヒホッフが重ねて問う。
「心配しなくても、チャンドール准尉はすぐに戻ってきますわ。ですが、准尉が居なくなって一番不安に感じているのはシン曹長ではないかしら?」
ケプラーも援護射撃する。
「そうだよ、フレミングちゃん。フレミングちゃんがシン曹長の呼び名を決めてあげたら、みんなも喜ぶと思うなぁ~」
その意見に賛同したトリチェリがフレミングに問う。
「フレミーちゃん、シン曹長ってどんな方なの?」
名前を付けろ、と言われて急に浮かぶものでもない。こういう場合「どんな方なの?」と問うのは意外と有効な方法なのであろう。フレミングが少しづつ話し始める。
「シン曹長は……おやっさんと同じ、制御系が専門で……」
呟きながらフレミングは、以前シン曹長についておやっさんに聞いたことを想い出していた。
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それはまだ2度目の出撃前のことであった。実際に現場で様々な最終チェックをしてくれているシン曹長について、おやっさんは彼をどのように評価しているのか、とフレミングが聞いた時のこと。おやっさんはシン曹長のことを『凄腕の整備士』と表現した上で、こんなことを言った。
「いいか、お嬢、ヒメさん。技術者と整備士ってのは違う人種なんだ」
両者の違いは単なる所属部署や組織の違いかと思っていたフレミングが正直に問う。
「えっ、どっちも似たようなもんでしょ!?」
「いいや、全然違うんだ。だいたいお嬢はそんなことも分かんねぇのか?」
おやっさんの理不尽とも思える言い分を見かねたネル隊長が、援護射撃でもするように横から割って入った。
「チャンドール、自分にもよくわかりませんよ、そんなの」
「何だよ、ネルまで……ったく。いいか、お嬢。技術者ってのは創造者なんだ」
「創造者?」
突然の論旨展開、それも意味不明な比喩表現にオウム返しをするフレミング。
「そうだ。で、整備士ってのは守護者だな」
「創造者と守護者?」
そう言われてもちっとも納得できない様子の赤髪に、意を上手く説明できないおやっさんが苛立つ。
「分かんだろぉ? ったく、おいネル。ちょっと上手く……」
解説役を渋々引き受けたネル隊長が、少しく考えながら話を始める。
「そうですね、フレミー嬢、姫様……そう、創造者と守護者は違う人種だとチャンドールは言ってましたが、実はこの2つには共通点があるのです。お2人にはそれが何か、分かりますか?」
キルヒホッフがその機付長に正直に答える。
「いいぇ、ネル隊長、ワタクシには……」
「それでは、ヒントです。お2人の飛行群の名称は……?」
問われたフレミングが反射的に答えるが、珍しく自身無さそうな様子である。
「000W、だけど……」
『ゼロ』と聞いたキルヒホッフが何かを閃いた、というような口調で続けた。
「ネル隊長、ヒントの鍵は『無』ということですわね? でも、それがどう……?」
姫様の傅役が主人の聡明さを確認して喜色を表すかのように、ネル隊長は大きく頷きながら解説を続ける。
「姫様の仰る通りです。技術者は『無』から新しいモノを創り出す者。一方の守護者は『無』から将来の危険を取り除く者」
ネル隊長の言わんとすることがぼんやりと見えてきたキルヒホッフが相槌を打つ。
「どちらも『無』を見てるのですわね……」
ようやくネル隊長がおやっさんの意を解題してくれた。
「その通りです。今まで無かったものを新しく創り上げるのが技術者。今は無い不具合が起きない前に対策するのが整備士ということですね、チャンドールの言いたいことは。2つの職種は同じように見えてその実、向いている方向が反対なのですよ。ですが結局それは、バランスの問題とも言える、と自分は思います」
ようやく我が意を得たおやっさんは、最終的にシン曹長をこう評価した。
「まぁ、そういうこった。でシンはな、整備士としての腕は立つし、まぁそこんとこはオレも認めてやる。だが、技術者としてはまだまだ、ってとこだな」
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シン曹長はおやっさんに心酔してるとも言ってたな、などと思い出しながら、フレミングが続ける。
「あとは……おやっさんより少し背が高いけど、おやっさんより少し痩せてて、おやっさんより少し年下で……」
「あらあら、それじゃぁまるで、『小さいおやっさん』みたいね、シン曹長って……」
トリチェリ先輩の何気ない一言に感じるもののあった赤髪が呟く。
「小さいおやっさん……こやっさん??」
いの一番に反応したのはケプラーだった。
「こやっさんって、何か可愛くていいね、フレミングちゃん」
あの、シン曹長の評価を聞いた場に同席していたキルヒホッフも口を揃える。
「『こやっさん』なら、チャンドール准尉が戻ってきても、悪い気はしないと思いますわ」
こうしてシン曹長の呼び名は、酒席のガールズトークで決定してしまった。後日そのいきさつを聞いたおやっさんは、大笑いしながらこう言ったという。
「『こやっさん』かぁ、そりゃいい。シンも早く『おやっさん』と呼ばれるよう、せいぜい精進するこったぁ。尤もそん時オレはぁ、『おおやっさん』だけどな!」
「そっか、そういうことかぁ」
突如明るい声を挙げる赤髪に、金髪と蜂蜜色と水色がそれぞれ嬉しそうに問いかける。
「何か分かったのですか、フレミー?」
「お悩みは解決したのかしら?」
「良かったね、フレミングちゃん」
結局のところ、古より伝わる賢者の言葉は正しかったのだ。忘れてしまうようなアイディアに真の価値ない。それは炭酸水の泡が次々と湧いては消えゆくが如し。考えて考えて考え尽くし、悩んで悩んで悩み尽くした後、敢えて思考を空にする。そこまでして尚残るものにこそ真の価値がある。「だって、大切なことはちゃんと覚えてるじゃない!」。明後日の朝、格納庫に言ったらみんなに伝えよう。まずはシン曹長の呼び名のこと。それから中隊の編隊運動の方法のこと。だけど、その前に……
「明日、みんなで外出しない?」
何かを悟り吹っ切れた様子の赤髪に、金髪と水色と蜂蜜色が笑みを交わす。
「いいですわね」
「スイーツ食べたい!」
「そうねえ、どこのお店がいいかしらねぇ~?」




