第39話 SP
「いずみちゃん」
「ホントは依頼人のことは言ってはいけない規則なんだけど、
今回は許して貰えるだろう」
「だから、言うけど…
もう泣かないでくれよ…」
「多分、その涙は君の勘違いだ」
兄弟のその言葉は、いずみに安堵の気持ちをもたらした。
「誠吾とみゆきとはもう関係ないんだよ」
「え? あなた達、誠さんを知っているの?」
「そうか、そこから話さなくちゃいけないね」
「俺たちは誠吾の、
いや正式には誠吾さんの警護を任されているSPなんだよ」
「SP?要人警護の?」
「なんで、私達と走ってたの?」
「誠さんって何者なの?」
「SPが就くほどの偉い人なの?」
「いずみちゃん、そんなに一度には答えられないよ」
兄弟の一人が困った表情をした。
「まずは、誤解を解かなきゃね」
「誠吾は俺たちに、いずみ・・・」
「いずみー!!」圭子が走ってきた。
「龍二さんが、呼んで来いって!」
「圭ちゃん、ゴメン!」
「今この人たちの話を聞いてるとこ…」
もっとその話が聞きたかった。
「いずみちゃん、行っといで」
「でも・・・」
気持ちの整理がつかない。
「誠吾なら大丈夫!」
「君を裏切らないよ」
妙に説得力のある言葉だ。
「少なくとも僕らは信じてる人だから…」
その言葉にすっかり安心して
いずみは、真っ赤に腫れた顔にハンカチを当てながら
重い腰を上げた。
「行こっ!いずみ!」
圭子が介助するように、
腕をつかみ店の入り口を目指した。
歩きながらも不安そうな彼女は
「SPってなんだろう?」
圭子にもたれ掛かる彼女が呟いた。
「店の中にいた彼、いずみの彼氏?」
圭子もゆっくりと話をしている。
「すっごいイケメンだったね」
「からかわないでよ」
いずみが反応した。
「圭子はどう思う?」
「彼のこと?」
「違うゎよ!」
いずみにかすかな笑顔が戻ってきた。
「SPのこと」
「もしかして石油王の御曹司とか?」
フフフ
「また、からかわないでよ!」
「でも、相当なVIPって事は確かね」
「あ~ぁ、私には不釣り合いな人だったんだなぁ」
「何言ってんの!?」
「選んだのはいずみの方だけじゃないんでしょ?」
「お互い様よ」
「身分の差なんか関係ないのが"出会い"の醍醐味なのよね~」
「そうだ!もしかして、あの、サベージの持ち主なの?彼?」
「うん」
「どうりで、あんなレアもの持ってるのも凄いけど、
旅先で知り合った女の子に普通貸さないわよね~」
「おかしいと思ったんだ」
そう言われてみればそうだ。
自分の大切なものを・・ましてやバイクを・・・
私のGNだって修理出すだけで悲しくなったもんなぁ
お金持ちじゃなきゃ出来ない事だと改めて思った。




