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シフォンケーキの向こう側  作者: 甘井美環
33/42

第34話 後輩?

先頭の寡黙な兄弟はハーレー、

前を走る圭ちゃんの愛車は、

ヤマハのDrugstarだ。


なんだかアメリカンタイプの族みたいな集団になってしまった。



早く走ろうとする人はいない。


景色と風を楽しみながら悠然と走るのが、

どっしりと腰を据えたライディングポジションの楽しみ方だ。

真っ直ぐな道が多いこの北海道では、直進安定性に優れたこのタイプを好むライダーは多いのかもしれない。


今夜の寝床は、苫小牧のキャンプ場でみんなの意見が一致していた。


街が近づくにつれ、人や建物が多くなってくる。

夕飯のメニューは久々の焼き肉ときまっている。


実は、この焼き肉を提案したのは、

この私。


レトルトとインスタントが中心だった私の体が"にくにくにくーー"と踊り等叫んでいたからだ。


みんなにはこのパフォーマンスがうけたのか、夕飯は焼き肉に決定していた。


これまた私の提案で焼き肉のタレに拘った青森の"源タレ"を購入する事になった。


「なんだよ、その源タレって?」

ぶっきらぼうに龍二さんが聞いた。


「龍二さん知らないの?」

「青森の半分の家庭じゃぁ焼き肉のタレはこれって決まってるの!」


昔、親戚に頂いて以来、

我が家の焼き肉ではコレと決まっている。



「そんなに旨いのか?」

「ちょっと食わして見ろよ」

そう言いながら近づいてきた龍二さんが、

買ったばかりの瓶の蓋を開け指を突っ込んだ


「いやーっ!きたなぁいなぁ」

驚いて思わず大声を出してしまった。



「うまいっ!」



彼の言葉にみんなが瓶に指を入れた。


「もーみんな?しんじられなぁーい」

一人っ子のいずみには信じられない光景だ。


「いずみ、潔癖すぎじゃないか?」


「龍二さんがワイルドすぎなんです!」

みんなが私には理解できなかった。




「ところでいずみ、良い男は見つかったか?」


「なんですか、藪から棒に」


「見つかりませんよ!」

「って言うか、そんなの探してないですっ」


「オレは知ってるぜ」

「そのバイクの持ち主…」

誠さんと知り合いなのかなぁ


「どういう事ですか?」



「誠吾はオレの後輩だよ」


「後輩?」

「誠さんを知っているんですか!」


「あぁ、大学のバイク部のな」


「今回の旅はそのイベントで、三日前に旭川で集まったんだよ」


「なんだ、聞いてないのか」


「あいつ、かなりのろけてたぜ、

すっげーいい子を捕まえたって!」

あまりの恥ずかしさに一気に顔が熱くなった。


「源チャの女の子ですぐにいずみちゃんと解ったから、からかっといたよ」


「何言ったんですか!?」



「あーその子なら温泉一緒に入ったし飯はもちろん、一泊もしたって言ったら、あのやろー本気で殴りかかって来やがったよ」


龍二さんがサングラスを外すと左の頬に傷があった。


「あっ!ごめんなさい」


とっさに謝ってしまった。



「なんで、いずみちゃんが謝るの?」


「はーはーん。さてはそんなに一緒にいたのかー?」


今度は頭のテッペンまで熱くなるのを感じた。


「もー龍二さんキライ!」



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