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チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


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題743話 アイテムボックスのお約束


 というわけで、僕とミコトさんとナナさんによる第四回アイテムボックス検証会議が始まった。

 なんだかんだで第三回の検証会議から半年くらい経ったのかな。今回も実りある会議になることを期待している。


「あれ? というか、それ以来ですか?」


「うん? 何がかな?」


「ミコトさんがアイテムボックスを使うのって、第三回検証会議以来になりますかね」


「そうだね。天界にいるときは使えなかったから」


「あー、やっぱりそうなんですね」


 なるほどなぁ……。残念だね。もしも天界でも使えたら、天界と下界で自由にやり取りができるようになって、それでまた面白そうな展開が望めそうな気がしたんだけど……やはり天界の女神様バージョンのミコトさんと下界の召喚獣バージョンのミコトさんは違うということなのだろう。


「となると、ミコトさんは検証以外でアイテムボックスを使ったことがなかったりするわけですか」


「そうなるね」


「なるほどなるほど、これからは自由に使ってもらって、生活の中でお役立てください」


「うん、ありがとう」


 日々の暮らしの中でも上手いこと活用していただきたい。つまりはあれだ、いわゆるQOLってやつだ。アイテムボックスでミコトさんのライフスタイルが豊かになればいいなと、そんなことを願っている。


「そういうわけでミコトさんも……ミコトさん?」


「もぐもぐ」


「…………」


 なんか食ってる……。

 あれはなんだろう。パンかな? パンでお肉と野菜を挟んだやつだ。たぶん僕がラフトの町で買ったやつだと思う。美味しかったので買い溜めしたやつ。


 えぇと、確かに僕は『アイテムボックスを自由に使っていい』と言ったけど、『アイテムボックスの中身を自由に食べていい』と言ったわけではなくて……。

 まずいな……。このままではミコトさんのライフスタイルが豊かになると同時に、ミコトさんのボディスタイルがふくよかになってしまう……。


「うん、食品をそのまま保存できるのは良いね」


「ええまぁ、そうですねぇ……」


「せっかくだし、今のうちに私の物も全部移そうかな」


「はい? 移すとは?」


「私のマジックバッグに入っている荷物を全部」


「ほう……」


 まぁそれは構わないけど、ミコトさんの荷物というと……。


「これと、これと、これと――」


「…………」


 やはり食料品。これでもかと食料品がマジックバッグから現れて、アイテムボックスへと消えていく。

 アイテムボックスに容量の制限がなくてよかったね……。もしも制限があったら、ミコトさんの食料だけでアイテムボックスが埋まるところだった……。


「あ、でもあまりプライベートな物は入れないようにお願いしますね。いかんせんアイテムボックスは、みんな共有なので」


 共有だからこそ便利な部分もあるけれど、共有だからこそ不便な部分もあると思う。さっきみたいに食料がいきなり消えてしまったりとか……。あとはまぁプライベートな私物とかも……。


「そうですね。うっかり下着などを入れないように気を付けてください。マスターが悶々としてしまいます」


「いきなり何を言うんだナナさん」


 急に横から余計なことを――

 ……いや、でも言ってくれてよかったかもしれない。実際僕も困ってしまうかもしれなくて、それは言ってくれて助かったかもしれない。


「何の気なしに放り込んでおいた自分の衣類を、マスターがこっそり着用したりするかもしれません」


「いやいやいや……」


 それは言いすぎだナナさん。そこまで言ったら名誉毀損だ。


「しかし共有のアイテムボックスに入れたのはミコト様なわけで、マスターに着られたとしても文句は言えません」


「文句は言えるでしょ……」


 それは言ってもいいと思う。……というか、何もしないから。



 ◇



 そんなこんなであれやこれやと話し合いながら、いろんな物をアイテムボックスに入れたり出したりしている中で――


「ふと気になったのだけど」


「はい? なんでしょう?」


「生き物って入らないのかな」


「生き物?」


 生き物はアイテムボックスに入らないのか。――そんな疑問がミコトさんから投げ掛けられた。


「ああ、それは入らないですよ」


「ん、そうなのか。もう試したのかな?」


「試していませんが」


「……うん? 試していないけど、入らないとわかるのかい?」


「わかります。何故ならそれは――お約束なので」


「……お約束?」


 生き物はアイテムボックスに入らない。それが決まり。それが摂理。それがお約束。


「前世で見た漫画やアニメや小説のアイテムボックスは、そういうお約束でした」


「そういうものなのか……。しかし、実際に試しもせずに決めつけるのはどうなのかな……」


 ふむ。どうやらミコトさんはお約束を疑っている模様。お約束は破られないからお約束だというのに。


「なるほど、では実際に検証してみましょうか」


「ん、検証と言うと――」


「実際に検証として――僕をアイテムボックスに入れられるかどうか、ミコトさんに試してもらっていいですか?」


 検証すればすぐにわかることだ。人や生き物がアイテムボックスに入れないことを、この身をもって証明してみせよう。


「え、アレク君を……? それは危険では……?」


「いえいえ、大丈夫です。結局は何も起こらないと確信しています。何故ならそれは、アイテムボックスのお約束なので」


「どれだけお約束に自信をもっているのか……」


 サクッと検証を済ませてしまおうじゃないか。お約束に守られている状態なので、たとえ自分の体を使った実験だとしても問題はない。たとえ人体実験だとしても――

 あー、うん、人体実験とか呼んじゃうと、なんかちょっと怖さはあるけれど……。なんかちょっとだけ怖さが出てきちゃったりもするけれど……。





 next chapter:アイテムボックスのパラドックス

今年最後の更新となります。今年も一年ありがとうございました

皆様、良いお年を(ΦωΦ)✧

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― 新着の感想 ―
アイテムボックスの中でアイテムボックスを開くアレクが見えたような気がした… ミコトさんはいつか反芻を覚えそう
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