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三十三話 幼馴染と林間合宿③

遅れました!すみません!明日は2部投稿します。


それから何十分かして、俺達は合宿地に着いた。

琴葉は……うん、まだぐっすり眠っているね。



「おーい、琴葉。起きろ」



俺は琴葉を起こすべく、


「ん……むにゃむにゃ……。」


彼女の頬をつまんでみた。が、まだ夢の中なのか反応がない。それをしばらく続けていると……。



「……綴君……ふふ」


琴葉は寝言を呟く。俺が出てくる夢か……実に気になる。


……気になるが!

今はそれを思考する時ではない。俺は何とか誘惑を耐えぬき頬をつまみ続けた。



「起きろー、起きろー!」


すると、ついに目が覚めたのか。琴葉は俺を真っ直ぐと見つめてくる。

まだ眠気が消えないのだろう。しばらく呆けていたが、



「……にゃっ!?にゃにひへるんへすか!」


急に頬を赤く染め、叫び始めた。



「琴葉のほっぺた、柔らかくて触り心地が良いね。」


そんな姿に悪戯心を刺激された俺は、なおも彼女の頬を揉み続ける。



「ひゃめれくらさい!へ、へくひゃらへふ!」


何と言っているのか聞き取れないが、琴葉は抗議の声を上げているようだ。可愛い。


しかし、ここが公共の場であることを忘れてはいけない。俺が"琴葉萌え"に夢中になっていると、



「お二人さーん……バスの中でイチャつくのは止めてくださーい!」


先生から生暖かい目で、優しく注意された。


その発言で、いつの間にか二人の世界に入り込んでいたことに気がつく。ここ、外なのに!

恥ずかしくなってきた俺が思わず周囲を見回してみると――――――。


女子からは好奇の視線。男子からは、相変わらずか殺気の込められた視線が向けられていた。


どちらにしろ、滅茶苦茶注目を集めていて非常に居心地が悪いなぁ……。

何かヒソヒソ話もされてるし。何を話しているのか気になって聞き耳を立ててみる。すると、



「……クソッ、あいつ白雪さんといつも居るよな」


「ホント、でも付き合ってないらしいからワンチャンあるんじゃね?」


「いや、あれ見せつけられたらアプローチする気も起きねぇって。」




おっと、聞き捨てならない話が飛び込んできた。琴葉と結ばれるのは俺一人だって決まっているんだ。

悪い虫が寄ってこないように警戒が必要だ、そんなことを考えていると。


「……ちっ」




突如として、どこからか舌打ちが聞こえてくる。何だろうか、その方向に目を向けると。



以外にも、そこには一条がいた。彼女は悔しそうな視線をこちらへ飛ばしていて、その様子はいつもの彼女らしくない。



直感か。何か嫌な予感がする。

彼女は琴葉を憎々しげに睨み続けていて――――――。それは、復讐心に燃える悪魔の様な顔だったから。


これも注意が必要だな。早くも試練の予感がする林間合宿に、俺は苦笑いした。















「はい!じゃあ、これからオリエンテーリングを行います!」


それから一時間後。開会式その他諸々を終えた俺達は、オリエンテーリングをすることになっていた。


簡単に説明すると、自然溢れる山中の決められたコースを歩いて帰ってくる。それだけだ。


一見面倒なイベントであるが、今回に限ってはそんなことはない。

何故なら琴葉がいるから。

彼女と大自然の中を、仲良く談笑しながら進む。実質"山中デート"と言っても過言ではないのだが、残念でした!そこには二匹のハエが付きまとうのだ。




「白雪さん!ここ危ないからさ、よかったらエスコートするぜ!」


「俺達スポーツ科だし、ほら。手!」


ほら、話してたら来たよ。彼等はそう言って、さりげなく琴葉に手を伸ばす。どうせ手を繋ぎたいだけだろうに。


下心丸出しの二人に若干の嫌悪を感じていると……。



「いえ、お断りします。汚らわしい手で触れられたくないので」


勿論そこは琴葉。バッサリと毒舌で切り捨てた。大体、彼女をエスコートする人間は決まっているのだ。



「琴葉、ここ危ないぞ」


そう、俺ですよ。当たり前だけどね?あの訳の分からん連中に任せるわけないでしょ。



「綴君、エスコートをお願いしても?」


琴葉もちゃんと分かっていて、俺の声に応じる。俺達が、躊躇いなく手を繋ごうとすると――――――。


「おい!」


「何やってんだ!?」


二匹のハエが慌てた様子で割り込んできた。



「……ん?どうした?」


俺は、あえてとぼけた様子で聞いてみる。彼等は、琴葉が俺とは手を繋いでいることに苛立っているのだろう。


が、当然それは個人の自由だし、こちらが堂々としていればこれ以上言われることはないはずだ。



「……ちっ、何でもねぇよ」


「つまんねぇ」



俺の狙い通りか、彼等は大した反論もせず悔しそうに顔をしかめていた。


だが、俺は二人に問いたい。こんなことで一々ダメージを負っていたらこの先身が持ちませんよ?と。



だって、これから俺と琴葉のイチャイチャタイムが延々と続くのだ。



「……面白くなりそうだな」


「ん?急にどうしたんですか?」


唐突すぎる俺の発言に、琴葉は少しばかり戸惑っている。だが、


「いや、何でもないよ。」



わざわざ彼女に言うことでもないだろう。

俺がこれから始まる"山中デート"で、男二人がどんな反応を見せるか。それを楽しみにしていることなんて。


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