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十六話(番外編?) 幼馴染と休日デート③

ミスりました。すみません。次回でデート回は終了です。


喫茶店を出た後。


 俺と琴葉は二人並んで、他愛のない会話を交わしながら道を歩いていた。

……思うんだけど、これって周りから見たら完全に"カップル"だよね。まあ実際には俺達はまだ付き合っていないから、少なくとも友達以上恋人未満。いや違う、友達以上夫婦未満って感じだろう。


そんな下らないこと考えていると、琴葉がある提案をする。


「綴君、服を買いに行きたいのですが」


「……え?」


それを聞いて、俺は一瞬思考が止まった。


服屋とはデートの王道。それを、先程まで"これはデートではない"と頑なに否定していた琴葉が提案したのだ。予想していなかったことに驚く。

 服屋に行けば琴葉の色んな姿を見ることが出来るし、仲も深まるかもしれないしでまさに一石二鳥だ。

そして何より、そう考えて俺も提案しようと思っていたのだ。つまり俺と琴葉は今、"全く一緒のこと"を考えていたわけだ。これはもう、運命としか言いようがないだろう。


お互いが偶然同じことを考えている。その奇跡に俺が感激していると……。



「……綴君?」


気がつくと、琴葉がこちらを不安そうに見つめていた。いつの間にか黙り込んでしまった俺を心配しているのだろうか。

彼女を安心させるためにも俺は語りかける。



「ごめんごめん。実は俺も同じこと考えててさ、ビックリしちゃって」


そう喋ると、彼女は安心したように息を吐いた。


「……紛らわしいですね。いい加減、急に壊れた機械の様に黙るのは止めてください。自覚ないかもしれませんけど結構キモいですそれ」


「……すみませんでした」


 ……息のついでに毒舌も吐かれましたとさ。









「うわぁ……!」


服屋に到着すると琴葉は目を輝かせた。



ここの店は品揃えが豊富であり、特に若い女性から大人気だ。それは琴葉も例外ではないため……。


彼女は子供のようにワクワクとした顔で洋服を眺めている。おもわず写真に収めたくなるほどの可愛さだ。その様子を微笑ましく見守っていると、何故か彼女は俺に近づいてきて――――――。


「綴君、私をコーディネートしてくれませんか?」


いたずらっぽい笑みを浮かべて、そうお願いしてきた。俺は予想外の発言に目を丸くする。


「え、俺が選んでも良いのか?」


琴葉は結構おしゃれに気を使う人間だ。言うまでもなく服装とは、その中でも最も大事な部類なわけで。

それは、男が軽々と選んで良いものではないはずだ。少しばかり困惑していると、彼女が答える。


「綴君は、私をよくジロジロ眺めていますし。もしかしたら何かいい感じになるかもしれません。それに、試着するだけで買うとは決まらないんですから」



「ああ、なるほど!」


……俺は納得した。かなり棘のある言い方をされたが、そこはスルー。彼女に似合うであろう衣服を探し、持ってくる。俺が手にしたものは――――――――――――。



「琴葉、これを着てみてくれないか?」


毎日見ているんだ。絶対に似合う、そう思って俺は自信満々に選んだものを差し出した。








それから十数分後、琴葉がおずおずと試着室から出てきた。



「ど、どうですか?」


……それはとんでもない破壊力だ。

フリルが付いた黒色のワンピースは、彼女の可憐な容姿を見事に引き立てていた。


琴葉自信も中々気に入っているようで安心する。そして何より、"俺が選んだものを琴葉が着てくれている"という事実に例えきれない幸福感を覚えた。


俺は、若干緊張しながらも琴葉に返す。



「……に、似合ってるよ」


「ぁ……ありがとうございます……」


その美しさは、思わずこっちまで照れてしまうほどで。甘々しく、それでいてとても居心地の良い雰囲気が場を支配する。


しかしそれは長く続かない。突如として、俺達の間にムードブレイカーが現れた。



そう、店員さんだ。


「彼女さんですか?初々しいですねぇ」



そう言って喫茶店の時のような生暖かい視線を向けれた。……恥ずかしい!そんな目で俺たちのことを見ないで!



きっと琴葉と俺は、揃って顔を赤くしていただろう。恋人のような甘いムードはそこで完全に霧散した。


時は進み18時00分。


俺達はその後もゲームセンターや本屋を巡ってイチャイチャした。今回のデートは、まあ成功と言っても良いだろう。


「今日は楽しかったですね」


琴葉が少しだけ名残惜しそうに言った。


「また来週にでも行けたらいいね」


そんな彼女を笑顔にさせるため、俺は話す。


「来週ですか。私はいつでも大丈夫なんですけど、綴君は部活に入ったり男友達と遊んだりはしないんですか?」


彼女は遠慮したような、心配するような顔で問い掛ける。自分にばかり時間を割いていて大丈夫なのか、と言いたそうな瞳。

 けれどそう聞かれても。俺の答え、いや覚悟はすでに決まっていて。



「琴葉さえ良ければ、俺はこの高校生活を君と一緒に過ごしたいんだ。他の誰でもない、君だけとだ。」


 そういうと、琴葉は俺から顔を背ける。……これって癖なのかな?いつも俺が恥ずかしい台詞を吐くと、決まって彼女が行う動作。琴葉、照れてるのバレバレだ。


そうして琴葉は、誤魔化すようにして全く別の話題を持ち出した。


「綴君、ここでずっと駄弁っているわけにはいきません。そろそろ帰らないとご両親が心配しますよ?」


「ん、もうそんな時間か」


確かに空を見上げると、いつの間にか太陽が沈みかけている。 何だか誤魔化されたよう感じもするが……

しかしまだ帰るわけにはいかない。


俺は用意していたもう一つの"作戦"を実行するため、彼女に話しかけた。



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