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1 世の中、九割以上はFランク。

このエッセイは、特にこの時期、新しく始まる未知の生活を前に、不安になっているすべての人のために贈ります。


 国公立の大学、私立の有名な大学。小中高の学生のころから、受験をしている子たちの最終目標は、一所懸命に努力して、そこを目指すことですね。


 その、何が何でも頑張るという姿勢はとても立派なもので、たくさん勉強して、有名な中学、高校、大学合格に至った方は本当に偉いです。


 ただ、当たり前なことに、曰く「Aランク」と言われる学校はとても少なく、入れる子たちは数が限られています。


 残念ながら不合格で、望まない学校に入ることになった子は、学校の倍率を見てもご存知の通り、入れる子たちの数倍は発生するということです。



 不合格だった! 死のう!



 そんな気になってしまう「受験ノイローゼ」は今に始まったことでは無く……。


 むしろ、最近顕著になってきている「いじめ」よりも昔から、受験に失敗して自殺を選んでしまう子は、悲しいことに必ず一定数出てきました。


 お受験、お受験と、子どものためを思ってしていることが、何よりも子どもの心を(むしば)んでしまう。


 実は私も、中学受験をやって、不合格で公立中学に通うことになったクチなので、親がどんどん自分の未来を決めていこうとする姿勢に対する嫌な気持ちは、とても共感できます。


 親の気持ちも分かるんです。


 名も無い中学に入るより、勉強してすこしでもいいところに入った方が幸せだろうという価値観。


 でも子どもは、特に小学6年生から中学3年生ごろの、初めて「中学受験」「高校受験」を控えるころは、勉強を頑張って認められたいという思い、そして親をがっかりさせたくないという純粋な気持ちと、だんだんと内容が難しくなる勉強が分からず、ついていけないというコンプレックスを持ったり、限られた大切な遊ぶ時間を削ってまで、なんで友だちと競争しなくちゃならないの? という、現代社会への疑問が沸いたりするころでもあります。


 何度も言いますが、勉強ができるようになるまで努力に努力を重ねて、競争をはねのけて成績優秀な子は立派です。


 でも、分からないことが増えてきて、だんだんと勉強することが苦痛になってくる子もいるのです。


 そうなると、楽しいことがたくさんある現代ですから、自分の好きなことをその中で選んで、勉強以外のことに没頭する子も出てきます。


 スポーツに文化活動に。部活動やクラブ活動が楽しくなってくるのもこのころです。


 私は小学校のときは音楽部、中学校のときは演劇部をやっていました。


 一所懸命に練習して、発表の場で活躍できて、友だちや先生に喜んでもらったときは、テストで高得点を取るよりも楽しかったことを覚えています。


 部活動もクラブ活動も、それが楽しいのなら、とても大切なことです。


 ただ、先生も人ですから、部活動やクラブ活動の顧問の先生の中には、相性が合わない子に対し、パワハラまがいの高圧的な態度でいじめてくる人がいる場合もあります。貴重な学生の時間を使って、自分が楽しむために行う部活動やクラブ活動をやっているのに、そんな先生と出会ってしまって全然楽しくないとしたら、それは悲惨なことになります。


プレッシャーで死にそう。でも頑張る!


 そう思えるうちは大丈夫です。そうして、自分の忍耐力を鍛えたり、頑張ったあとに来る成功をうれしいと思えるなら、辛いことも楽しいうちです。


 でも……。


もうダメだ。死のう!


 そう思えてしまう場合があるとしたら、急ぎ、どうか死ぬ前に逃げてください。


 無理解な親や先生は「努力不足」とか「逃げたやつに成功はない」とか言うでしょうが……。


 はっきり言います。


 生きること。まずはそれを選びましょう!


 昔からの言葉にあるように「逃げるが勝ち」なんです。


 いじめや、逃げ場を潰す言葉を放つ、未熟な教師や親。子どものうちの狭い社会のなかで、それらすべてに絶望し、楽しいことが近い未来も、遠い将来も何もないだろうと考えてしまうとき、人は死にたくなります。


 小中高大。それがどんなに「Fランク」と言われる場所であっても、年齢を経て成長していけば、それだけ、子どものうちの狭い社会から飛び立てるようになります。


 今のご時世、少子高齢化による若い子の人手不足で、ニートや不登校の子にも就職斡旋(しゅうしょくあっせん)の口が寄せられる時代です。



 死ぬ! と思うなら、そこから逃げる方法を、まずは考えましょう。



 親から逃げたいなら、独り立ちの日を夢見ましょう。親の価値観は既に古いものなので、未熟とはいえ、納得できないことに関しては、子どもが獲得する新しい価値観のほうが正しいことが多いです。


 嫌な教師から逃げたいなら、こちらからあまり関わらないように。教師も最近は多忙なので、静かにスルーしていれば、よほどストーカー気質の先生でなければ、穏便に過ごすことができるでしょう。


 部活やクラブ活動で嫌な先生にストーキングされてしまった場合。被害を、話を聞いてくれる先生やカウンセラーに相談しましょう。なんで自分だけ? という感覚があるなら、それは先生からのパワハラの危険な兆候です。


 話をするのが気が引ける、ほかの先生にまで迷惑かけたくない、自分が弱いやつだと思われるのが怖い。


 死にたいと思うほどのプレッシャーの中にあるなら、そんな他人への気遣いは無用です! すぐに誰かに相談しましょう。


 弱い自分をさらけ出して生きること。


 それができるようになると、人生楽になりますよ。


 タイトルにもあるとおり、世の中九割以上、つまりほとんどの人が「Fランク」の人生を送っているわけです。


 でも、それが不幸かどうか?


 九割の人が送っている「Fランク」の人生の、弱い自分の楽しみ方、見つけちゃいましょう。

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