生きるための弱さ。
人間は、賢く傲慢で欲深い生き物だ。
優れた知能があるばかりに、弱いものを見つけると有利に立とうとする。
傲慢であるばかりに、自分たちの生活にしか目を向けず、他の生き物の生活の場所を奪っていく。
価値観というものがあるばかりに、争いを起こし、多くの命を手にかける。言葉で、凶器で、行動で。
世界に命を与えた神様は、命あるもの同士を争わせ、命の大切さを教えた……はずだった。
多くの生き物は弱肉強食の世界になった。生きるために同種同士で争い、守り合い、追いかけ、逃げる。
だが、その中では “生きるために” 戦いあっている。自分の命を賭け、明日のために戦っている。
そんな中、人間だけは違った。食物連鎖の頂点に君臨し、世界を我がもの顔で支配した。
そして同種同士で争うのだ。神の名を掲げ、国旗を掲げ、“自分たちのために” 戦うのだ。
神に願う人間は、神の声など聞こうとはしない。
自分達が生きるために手にしたはずの力に溺れ、それを見境なくふるう。
偶に起こる天災も、人間にとっては数の悲劇でしかない。当事者でなければ、本気で悲しむことができないのだ。
神にすがり、力にすがり、数にすがる。人間はなんと賢く傲慢で欲深く、そして弱い生き物なのだろうか。