冬の貯蓄の話
祭りで賑やかな中。再び眠り始めたラシュンを休ませにプァナは家へと戻っており、パワルフとフェレムンドも丁度いいと家へ戻っていた。
冬の貯蓄について再び話すことにしたのだ。
リナルの森は四季があり、冬には雪が降る。雪が降ると生き物が姿を隠し冬眠するものは冬眠し、死ぬ物は死ぬ。寒さに強い生き物も姿を隠してしまうので狩りで入る食べ物が減るか、運が悪い年は全くといっていいほど取れなくなる。
だからこそ、冬支度として秋前のこの時期に狩りをし冬眠前の動物を狙い、保存食を作る。それはリナル族とエルフ族合同で行うことが何年も前から決まっている。
理由は効率と安全のため。狩り場が重なり互いを獲物と勘違いして攻撃をしてしまわないようにという配慮からそう決まったとされている。
ラシュンが生まれた日にパワルフとフェレムンドが話していた内容の続きである。
「祝いに獲物の提供感謝する」
「なぁに、そういう決まりじゃろうて、まずは狩の状況かの」
「こちらは順調に行えているが、森の生き物が昨年よりも減っているように感じる、数の調整が必要かもしれない」
「そちらがそうであるなら、数の調整が必要なんじゃろう、こちらは安定した数とれておるでな、こちらとそちら最低限冬を来せる分だけをとり後は狩りを禁じるほうがよかろうな」
パワルフが軽く頷き、そして詳しい話を詰めていき終わった所でふとフェレムンドが口を開いた。
「話は変わるんじゃが、パワルフ殿は森の外で戦が始まったことは知っておるか?」
「スピツ達からは聞いてはいるが…まさか森に?」
「まだ誰も見かけていないようだがの、ちと風に血の匂いが乗っている時がある。もしかしたら戦の手がこちらにも伸びてくるかもしれん」
森の外の者はエルフとリナルを金の成る木だと思っている節があるからなと続けるフェレムンドにパワルフが顔をあからさまに顰めた。
「…なにか分かったらお伝えする」
「ありがたい」
ふうと二人が揃ってため息を着く。───森に人が攻めてきたことは何度かあった。そして連れ去られる者も何人か居たのだ、過去に。
けれどリナル族がリナルの森より外で栄えたことは一度たりともない。と言うより元々子が出来にくいこともあるのだろうが、森を出たリナル族の最後は皆同じなのだ。
───総じて色を失い死んでゆく。
奴隷のためにだけではなく知識を得ようと連れ去るもの達は知らないのだろう。
リナル族のものは資格を失えば存在が消されてしまうのだと。
「愚かな行動だ」
「外から見ればこの森は豊かだからのう、その恩恵にあやかろうとしているんじゃろうな」
「だとしても、昔よりも今の森の守りは完璧なはずだ、入れはしないだろうが情報は探っておく」
深く思案するように眉間にシワを寄せるパワルフにフェレナンドは少し目を細め返す。
「所で勇敢なる子とは女児に送る言葉にしては些か男らしすぎる気がしたんじゃが」
「勇敢な子だからな、雷を恐れずスピツにも好かれているようだ」
「なんと…では彼女は次代の…」
「まだ分からないが、そうなってくれると良いと思っている」
フェレナンドが目を細め楽しそうに笑う。それにパワルフも少し表情を弛める。
「いや、ほんとうに子が産まれるというのはなんと素晴らしい」
「…ああ」
「きっと強く幸せになるじゃろう、パワルフ殿とプァナ殿がおればな」
だから大丈夫だとパワルフを励ますようにフェレナンドはしわくちゃの顔で微笑んだ。
お久しぶりです。
なんのご連絡もなく、題名を変更してしまい申し訳ありませんでした。
幸せになる為の異世界転生という題名が他の作品と被ってるな?と思いまして急遽被ることの無いだろうリナルの森と名付けました。
森の神秘さや癒しというかなんかもう召されるんじゃないかという程の感覚が好きです。
たまに森に帰りたくなりますよね?なりませんか?
更新遅くなり申し訳ありません。どうかこれからもよろしくお願いします。




