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リナルの森  作者:
【1】生まれ落ちる
11/24

訪れた客人達


 

 パワルフにラシュンが産まれたことを伝えたセリオは他のエルフ達と共に長老とリナル族の村へと訪れていた。

 

 セリオを含んだ五名は荷物持ちを兼ねているらしく。その中のセリオ除いた四名はそれぞれ大きな蓋付きの籠を持っていて。長老の横に並び感情の薄い呆然とした目をしたセリオだけはその背中に大きな猪を背負い、その重さからか顔色が悪かった。

 

 「なんじゃ、情けない」

 「っ重いんですよ!? どう見ても俺だけ重量が可笑しいですって!」

 「いい獲物がいて良かったじゃろう」

 「ええ! 良かったですね!!!」


 半ば投げやりにセリオが返事すると、リナル族の者が猪やほかの籠を預かりにやってきた。

 

 「プァナが相手するって言ってたから来るまで適当にのんびりしてってください」

 

 最後にセリオの背負った猪を受け取りに来たリナル族の女性にセリオは固まって、宛ら餌を待つ鯉のような顔をしていた。

 

 「ほれ、あの様な華奢な娘でも持てるではないか」

 「…やっぱりリナル族って怖い」

 

 あんなに見た目は俺たちと変わらないのに…とセリオがボヤくのを他のエルフ達はくすくすと静かに笑っていた。

 

 まだ若いエルフである彼はリナル族の誕生祭に参加するのは初めてだった。あちこちから聞こえる楽しそうな声と簡易的な建物や(やぐら)に猪から開放された彼はやっと楽しさが出てきたのか目を輝かせている。

 

 「長老は何度も参加したことがあるんですよね!?」

 「三回くらいかのぅ、前回はパワルフ殿の奥方が生まれた時じゃったな」


 その舞はパワルフの実父であるシフルフが舞ったのだ。美しい白いスピツが刺繍された青い衣裳は長老と呼ばれるようになった彼にシフルフがリナル族に代々伝わるものだと教えてくれたものだ。

 

 舞う時、舞手は目元を黒い布で巻いて隠し、その黒い布の上に太陽を表す絵を描く。長く残した黒い布の端は先になるほどその色が薄くなり先は衣裳と同じ青色となっている。

 

 馬の尾のように切りそろえられ伸ばされた髪は白い細布で結われ、足元は素足には左右に金属のアンクレットをつけて、それがスピツアの音にまじり奏でられる音がとても心地よいものだった。

 

 何より神より授けられたと言われている神剣を用いた剣舞。まるで何かと立ち合うように舞うのがいつまで経っても忘れることが出来ぬほどの美しさで。

 

 しかも今回歳近いパワルフが初めて誕生祭の舞手となり、それもパワルフの子の誕生祭というのだからエルフ族の長老も心が踊る気分だった。

 

 そんな思いが普段であればセリオを咎める長老も今回ばかりは彼に自由にすることを許す一因となっているのだろう。

 

 「早くパワルフ殿の子に会いたいのぅ」

 「長老の顔が怖すぎて泣かれたりして…」

 「喧しい!」

 

 ゴスッ

 長老は手にしていた杖でセリオの背中を思い切り叩き、叩かれたセリオは悶えていたが、そんな光景に見なれているほかのエルフ達は純粋に祭りを楽しんでいた。

 

 リナル族に交流があるのはリナルの森にあるエルフの里の者だけしかいない。産婆ですらもエルフの里の者であり、他の種族と交流が必要になることも無い。

 

 リナル族はこの森の中で全てが完結しているのだ。

 

 

 エルフ族はリナル族とはるか昔から交流し、お互いを助け合うことを行ってきた。でなければリナル族の村にたどり着くことすらも出来ない…故に彼らは家族とも言えるのだろう。

 

 

 

 

 

 

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