天井裏 壱
風呂に入り、髪を拭き、布団に潜り、部屋の電気を消し、俺は眠った。
そして、気づくと暗闇の中にいた。
(ここは何処だ…?)
辺りを見回していると慣れてきたのか徐々に視界がはっきりしてきた。どうやら天井裏に居るようだ。
何故…と思っていると
ギッ……ギッ……
ビクっとして振り返るとそこには小学生程の男の子が居た。右手に懐中電灯を持ち、慎重に歩みを進めていく。
ギッ……ギッ……
その姿を眺めていると途中から彼の歩く音とは異なる音があるのに気づく。
ギッ……ギッ……ドスッ……ギッ……
(何の音だ?)
彼も気づいたようだ。その顔には恐怖を滲ませている。彼が歩みを止めてからも謎の音は続いた。
……ドスッ………ドスッ………ドスッ
それは尚も続き、段々と近くなってきた。
ドスッ……ドスッ……ドスッ……ドスッ………………
(止んだ…?)
そう思ったのも束の間
ドスッ(グチャ)
それは彼の足が貫かれた音であった。
(……?!)
暗闇の中でも黒々とした液体が小さな足から流れ出てくるのがわかる。彼の顔は苦痛に歪み、フラッと揺れたかと思うと彼は天井板を踏み抜き、下へと落下した。そして
ザクッ(グチャ)…ザクッ(グチャ)…ザクッ(グチャ)
肉を切り裂き貫く音と痛みに悶える呻き声が階下から聞こえてくる。
俺は耳を塞ぐこともできず、唯々今起こっていることに耐えていた。
しばらくすると階下からは何も聞こえて来なくなっていた。
しかし
………ドスッ……ドスッ……ドスッ
あの小さな体を貫いた者が次はお前の番だとでも言うかのように俺の方へと近付いて来る。
ドスッ……ドスッ……ドスッ………………
音は俺の直ぐ目の前で止まった。
俺の足元から彼を刺したであろう者が銀色に鈍く光り天井板から覗いた。
ドスッ…
目の前が赤く染まった。
怖さを出すのが難しいです。