プロローグ
ここは現世の地の遥か下の下、地獄。
法に守られ、支配されている地球で、単独犯行で1000人以上を惨殺した史上最悪のシリアルキラー、
鐡義龍は死刑執行後、神によってただちに地獄に落とされた。
地獄の中でも最悪の地獄に落とされた彼は、そこにいる強靭な鬼や魔獣たちによって、何億年もの間激しい拷問に耐えた。
そんな彼を見た神は、もっと絶望を味あわせてやろうと思い、こう言った。
「後5兆年、一言も音を上げずに拷問に耐えることができれば、好きな世界に好きな形で転生させてやろう。まあ、もし達成できなければ完全なる無の空間を永劫さ迷い続けることになるがなあ…。さあ、どうだ。この辺りで諦め、数万回に及ぶウジ虫への転生の輪に加わらんか。俺も鬼じゃない。拷問なんて本当はしたくないんだよ?はは。」
だが神の期待していた反応とは逆に、義龍は数分も考えることなく、口だけをゆがませた笑顔で迷いなく即座に首を縦に振った。
「良いだろう。その馬鹿げた提案、乗ってやる。但しただの口約束では駄目だ。この地獄全土にいる囚人、鬼、神に宣言しろ。そうすれば何兆年だって耐えてやるよ。」
当然無理を承知で持ちかけた無理な提案。断ってしまうことは簡単だが神の威厳に欠ける。だが五兆年と言う馬鹿げた時間。やはり到底無理だと頭の中で再確認した神はその言葉に乗る。
「五兆年か………ああ、楽しみだ。また殺せる。また奪える。また苦しめ尽くせる。はははははは!」
(この男………ッ!)
その時からきっかり五兆年後、神は生を受けてから一番とも言える後悔をする事になる。