41話
「勿論……だが勘違いするなよ? 神の取引ってのは公明正大。当然だが捧げた“徳”との等価交換が基本だ……つっても、何が釣り合うかなんて分からんだろう。だから……とりあえずあんたの望みを言ってみな?」
俺の心を見透かす様に答える男。
だが、俺は死神を自称する得体知れない男に……問わずには居られなかった。
「一応聞く……栞を生き返らせる事は?」
「簡単だよ」
なんの躊躇も無く答える男。俺は即座にその願いを口にしようとして……
「それはお勧めしませんな」
いつの間にか……
栞の姿から元の姿に戻っていたマスターに止められた。
「何故?」
多分、俺は冷静さを欠いていたと思う。それも当然だろう。二度と戻らないはずの物が……この手に戻るかも知れないのだから。
だが……
マスターが深い溜息と共に語った契約内容が……
「この男は……確かに娘さんを生き返らせる事は出来ますな。だが……貴方が捧げる対価で出来る事は生き返らせる事だけです。当然……彼女に起こった過去も彼女が一度死んだ事実も変えられない。世界は容易に彼女の存在を認められんでしょうな。当然この男の存在など口には出来ない。契約には守秘義務がありますからな」
俺を更に深い絶望に沈める。




