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イントロダクション “呪われた祝福” ③
口調はぞんざいなのに……その雰囲気にある種の静謐さを纏った男は、それ以上何かを語る事なくカクテルグラスを傾けた。
…………ゴクッ゙
奇妙な緊張感に耐えられなくなった俺はグラスに残ったビールを喉に流し込む。
ぬるくなりかけたビールを口にして初めて喉がカラカラに渇いていた事に気付く……
くそ……なんでこんな三流以下の与太話に……
「……で……アンタはその異世界の神様とやらにお払い箱にされてこっちに戻ってきたわけだ……」
「ああ、お払い箱……ってのはちっと違うが……戻っては来たな」
「あんたの言い分じゃ……随分と神様やら、あっちの人間の為に骨を折ってやったんだろ? 何の報酬も無しにご苦労なこった」
俺は……理由は分からないが、これ以上この男の話を聞く事に忌避感を感じ始めていた。ちょうどビールも無くなった。
「さ、あんたの話なかなか面白かったよ。俺はこれで……」
「報酬か……報酬と言えるのかは分からんが……貰ったモノはある。というか、もう貰ったモノをそのま押し付けられたってのが正しいがね」