28話
「もうやめてくれ!」
咄嗟に叫んでいた。
別に……あのいけ好かない部長が奈落に突き落とされたって知った事じゃない。だが、
「もうやめてくれ。謝罪する……いや懺悔する。確かに……俺は彼女を追い詰める様な記事を書いた」
そこで一旦言葉を切った。だが……言い訳だと思われようと本当の事を話さなければ……
俺を射抜く、陰気な男とマスターの眼が『それで終わりか?』と問いかけて来る。
俺は意を決し、もう一度重い口を開いた。
「ただ……これだけは明言する。俺は彼女を死に追いやる為にあの記事を書いたわけじゃない。確かに俺はそこの部長に渡された資料をそのまま使って提灯記事を書いた。それは認める。だが、それは『事が公になる前に自主的な退職を促す』為のものだと言われたからだ!」
無言のまま俺を見つめていた二人のうち……男は額に手を当て天を仰ぎ、マスターは完全に取り繕った無表情で俺の方へ歩みよると椅子の背に立ち……
「それで懺悔の言葉のつもりか?」
それだけを俺に囁き……破滅へのマス目を一つ進めた。
「待っ、待ってくれ! まだだ! まだ言わないといけない事がある!!」
俺は真っ青になって叫んだ。
「あの日……彼女は自殺したんじゃないかも知れない!」




