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死神はウンザリしている  作者: 鰺屋華袋


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24話

(何なんだあれは!? いったいどうなってる???)


 疑問・不審・焦燥……


 不気味な男の狙いを(副頭取)が暴いた事で、少し落ち着きを取り戻した私の心が……またそれらの暗い感情で侵食され始める。


 妾腹ながらその極まった優秀さで家督を相続した異母兄……


 普段から鋼の如き精神力で自らを律し、取り乱した姿など見せた事が無い兄が痛みと混乱で喚く姿は……私の中の暗い感情達を否が応でも増幅していく。


(何故だ?! そもそも今日、私は行きつけの店で呑んで居た筈だ。それが……気がつけばこんな所に!!)


 思い出せ……何故こんな事になった?


△△△△△△△△△△


 私の通う銀座の……さらに最高級の店ともなれば、そこに集うキャストもまずは一流と言っていい人材が揃っている。


 高学歴なキャストは偏差値の高さだけでなく各々の分野で一家言持つ逸材だったし、容姿を誇るキャストはテレビに映るタレントが裸足で逃げ出したくなるレベル。


 そんな人としての()が極めて高い女達が、自分の様な男にしなだれかかり媚態を晒す。


 暗い愉悦をくすぐる事で私の様な男を足繁く通わせるその店で……新顔のキャストが私の指名キャストのヘルプに付いたのは何も珍しいことではなかった。


 その女は日本人形の様に艷やかな黒い髪と漆黒のイブニングドレスをまとい、艶やかなキャストの陰でグラスに酒を注いでいた。


 前髪だけを切り揃えた髪型は華やかな夜の蝶(キャスト)達が舞う店では地味すぎるビジュアル。だが、滑らかに酒を注ぐ手つきに、何故か私の目は吸い寄せられ……半ば無意識に彼女に話し掛けた。


「君……見ない顔だな。どうだ? このあとアフターに付き合わんかね?」


 彼女は、たとえどんな堅物でも……もしそれがあの兄だったとしても蕩けさせるに違いない妖艶な笑みをその容貌に()()()()ながら言った。


「まあ、光栄であるの専務」


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