15話
(イカレてる!)
対岸の屋上に並べられた生首の一つには見覚えがあった。
たしか……比較的若い奴らを中心とした新興グループのリーダーで、今やこの街では地回りのヤクザや大陸系グループもおいそれとは手を出せない男だ。
この繁華街で勢力を伸ばしている半グレ達の中では、強引な手段も厭わないがそれ以上に用心深く滅多に人前に姿を現さない事で有名だった男のはず……
「オレが本気だと分かったか? では一人ずつ自分の罪を告白してもらおう。っと、その前に……ペナルティの説明を忘れてたな」
見た目に反して……陽気さを感じさせる声で男は話を続けた。
「あんたらが何を語ろうがオレは構わんが、もしその言葉に嘘や誤魔化しが混じっていると判断したなら……」
男の横に控えるバーのマスターが、俺の横に座っている三つ揃えのスーツに身を包んだ男に近づき……男の座る椅子をビルの外側に向かって押した。
椅子は……ちょうど屋上を埋める防水タイルの一マス分を進む形で移動し、そこに止まる。
「ってな風に、あんたらの残りの人生は強制的に加速するってわけだ」
反射的に足元を見た。足元の防水タイルは……屋上の端までたった三マスしかない!?
「一つ聞きたいのだが……何故、私だけ問答無用で一マス進められたのかね?」
俺の隣の男が専務以外に初めて口を開いた。
「使用者責任って奴ですよ副頭取。ああ、勘違いするなよ。これは裁判じゃない。復讐だと最初に言ったはずだぜ? 本当なら問答無用で奴らみたいにしてやってもよかったんだが……」
そう言って隣のビルに並ぶ半グレだった奴らに顎をしゃくる男……
「さっきも言ったろう? これは慈悲の神くれた最後のチャンスなんだよ」




