13話
「君! 一体なんのつもりだ!? すぐに……」
さっき男が語った説明では“本社の専務”だという男が、猿轡を外された途端に声を荒げる……が?
「はい、ダウト」
“パチン”
男が指を鳴らした。高層ビル特有の強風が唸る屋上。にも関わらず……男の手元から響いた破裂音は、俺の耳朶にクリアに響いた。
途端に、口汚く喚いていた専務の声が……消えた?
まるでスピーカの音量をゼロにしたかの様だ。
おそらく……本人は自分の声が出ていない事に気づいていない。
男や俺達他の虜囚が反応を返さない事に逆上して、さらに声を荒げている様に見えるが……
彼の口からは何の音も聞こえない?!
「見ての通り……あのオッサンの声は刈り取らせて貰った。ああ、オッサン気づいてないみたいだから教えてやるが……アンタの声は誰にも聞こえちゃいないぜ。喚いたって喉が枯れるだけだから……ま、いいか。好きなだけ喚きな。どうせ俺の喉じゃねぇ」
男の無礼な態度に、なおも言葉の止まらぬ(様子の)専務を完全に無視し、男は説明の続きをはじめた。
ちなみに……俺を含めた専務以外の虜囚は、表情は違えど口をつぐんだままだ。
目の前で起きた現象は不可解だが……俺以外の二人もどうやら、現状の把握と情報収集を優先したらしい。




