イントロダクション “呪われた祝福” 12
「……グムゥ?」
“ヒュオゥ……”
肉をこそぐ様な強い風が頬を撫で……俺は失っていたらしい意識を取り戻した。
ここが高層ビルの屋上であること。それは眼前の光景から理解出来る。だが……
「(俺は副都心に居たはず? ビルの形からすればここは違う? という事は……眠らされて? 薬? バカな! あの店に入ったのはただの気まぐれ……)」
とりとめの無い思考……
俺は立ち上がろうとして……そこで初めて、自分の腕や足が、ガッチリと椅子に括り付けられている事に気づく。
ついでに猿轡をされていることにも……
「フゥウ?!(運ばれた? 何の為に? 本当に……殺し屋? まさか!? )」
ろくに身動きが取れない事を理解したあと……現状を確認する為、首をひねって周囲を見渡す。
私が座らされていたのは、ビルの縁に近い場所だが……バランスを失って即座に落ちるほどの場所では無い。そして……
「?!!」
自らが座る場所に並ぶ様に、さらに三つの椅子があり……そこにも誰かが座らされている??
「意識を取り戻した様だな? 結構。それじゃぁ始めようか!」
その時……突然背後から声が響く。俺は限界まで首を捻り、この場にはどうにも似つかわしくない陽気な声の方向に首を向けた。
「???」
四人が並べられた後ろ数メートルの距離。そこには、さっきの店にいた陰気な男と……マスターが並んで立っていた。
「さて……察しの良いお歴々は気づいているだろう? これは復讐だ。お前達にはここで生まれてきた事をたっぷりと後悔して貰う。まあ、覚悟を決めることだな」