第八話:目覚めたらかわいい美少女いるなんて夢でした。
どうも井中です。第七話はないです。時間があるときにゆっくりと読んでくださると幸いです。
男なら誰しもが一度は夢に見たことがあるだろう。目覚めたら見知らぬ場所で見知らぬ美少女がいて、看病してくれるシチュエーションを。
結論から言おう。俺の場合は、部屋には誰一人としていなかった。(泣)
部屋はしっかりとした病室のようであった。わきに置いてある机の上には「一日」と書かれた紙切れにラップのしてあるリンゴと梨が入っていた。しかも丸ごと。
「これって自分でやれってことか?ご丁寧にペティナイフもおいてくれて。まぁないよりましか」
俺はしぶしぶ器用にナイフを使って果物を切って食べていると、どうやら人が入ってきたようだ。
「あら?も、もう起きてる!あれ?話によると三日くらい目を覚まさないって聞いていたんだけどな~」
なんだかポアポアした小動物を彷彿とさせるような女性が入ってきた。すまんさっきのはうそのようだ。超かわいい女性は実在した。今までに見たことが無いような麗しさが彼女にはあった。それにしても髪が長いな。しっかりと結ってきてほしいと思った。
「こんにちは。えっと、君はだれですか?」
「あ、ああわ私の名前は、泉野乃々葉と申します。医療班に所属しています。君の担当看護師です」
「俺の名前は鷹島春久。よろしく。傷の治療とかは泉野さんがやってくれたの?」
「はい。そうですよ。鷹島さんはあばらが5,6本折れていましたが、それ以外は大丈夫ですよ。私の力で骨の回復速度を上げていますが、まだ完治はしていないので、訓練とか激しい運動は控えておいてくださいね」
そういって泉野さんは柔和な笑顔を向けてきて、俺は心が浄化されていくような感じがした。身長も低くて、年齢も俺より若そうに見える。知的好奇心が高まってきた俺は失礼を承知で聞く。
「あの、」
「どうかされましたか?」
「年齢、いくつか尋ねてもよろしいでしょうか」
すると俺も思った通り泉野さんは少し顔をしかめながら言う。
「鷹島さん。いくら私が幼い見た目をしているからって、女性に年齢を聞くのはちょっと失礼ですよ」
頬をプクーっと膨らませながら言った。動作がかわいい。鷹島ポイント100。
「まぁ、このような容姿をしているせいでもありますからね。いいですよ。昨日頑張ったあなたへのご褒美に特別に教えて進ぜよう。私の年齢は22歳です」
泉野さんはエッヘンといわんばかし小さい胸を張っている。子供みたいな動きの反面靡いた髪からいい匂いが嗅ぐわってきて大人のような雰囲気が漂っていた。
「意外にも若いんですね。てっきり30歳パターンかと」
「つくづく失礼ですね。こう見えて去年大学をちゃんと卒業してますからね」
「ん?。ていうことは俺と同じでここに今年配属されたのか?」
「はい。そうですよ。部署は違いますけど、一応同期?っていうことになるのかな」
17歳である俺には同期というものがピンとは来なかったが、泉野さんによると年齢の違った同級生ということらしい。・・・ちなみに年齢の同じの同期ってのもあるらしく、後で聞いた話、墨坪はそれに該当するとか。
「では私は院長に起きたことを伝えてきます。ここからは自由にしてもらって構いませんが、先ほども言いましたように激しい運動などは控えてくださいね」
にこっとしながら泉野さんは部屋から出ていった。しばらく窓の外を眺めた後、俺もずっとここにいたら体がなまりそうになったので外に出た。
廊下に出るとちょうど墨坪に出会った。その顔は、驚いた顔をしつつも次の瞬間には安心したような顔になった。
「春久君!!。もう大丈夫なの?今から様子を見に行こうと思ったんだけど。なんだか平気そうね」
「そうだな。あばらが何本か逝ったくらいだし。平気だよ」
「全然平気じゃないでしょ。もうあの後、起きた東雲副隊長に事の説明をして、救助隊を出してもらったのよ。そしたら春久君死んだように倒れていたって言ってたから、気が気でなかったのよ。もう心配だったんだから」
少し説教くさく言っているが、なんだかほんとに気にかけてくれていたんだなと俺は感じた。初めて会ったときはウェイ系の陽キャだと思って俺とは生きる世界が違っていたと思っていたが、根はやさしい子なんだな。‥‥いや陽キャではあるけど。
「そういえば当の香熾さんはどうしたんだ?」
「あ~あ、東雲副隊長は私と同室のベットにいたらしいんだけど、私が起きた時にはもういなかったよ。医療班の子に聞いたら、昨日のことを指揮官に報告に行ったって言ってた。さすがしっかり者の副隊長ですわ」
「そうか。じゃあ相棒はどこにいるんだ?」
「私たちと同じように運ばれて病室にいるんじゃない?まだここの医療班の活動する建物に慣れてないからあまり探索はできていないけど。どこかにいるよ。たぶん、きっと、メイビー」
「だな。ちょうどいいし、このまま探しに行こうぜ」
廊下で立ち話して俺たちは相棒を探しに行こうとしたらちょうど向こうから香熾さんがやってきた。その姿はいつも通り凛としていた。
「鷹島君、墨坪さん。」
「あ、お疲れ様です。香熾さん」
「お疲れ様です」
「二人とももう体のほうは大丈夫ですか?特に鷹島君はあばら骨が5,6本折れていたそうではないですか」
情報が早いな。まぁ自分と所の隊員だもんな。誰かしらから聞いてはいるか。
「もう大丈夫です。新人の子が傷を早く修復する能力を使ってくれたので、まだ激しい運動はできませんけど」
「それならよかったわ。ところでこれからどこに行こうとしてたのかしら?。部屋で安静にしてなさいって言われませんでしたか」
「あたしは言われませんでしたよ。なんかおばあちゃん看護師さんみたいな人に『元気そうだねぇ。これならもう訓練に行ってきてもいいよ。頑張ってね。』って言われました。ニコニコした顔でなんかちょっと圧が強かったですけど」
「それならよかったです。ところであなたたちはこれからどこに行こうとしていたのですか?」
「俺たちはこれから相棒を探しに行こうとしていたんです」
香熾さんならどこにいるか知っていそうだな。そう思っていると案の定知っているような口ぶりで言った。
「千楽寺君なら集中治療室にいると思うわ。わたしも鷹島君たちの様子を見に行った後に見に行こうとしていたの。一緒に行くかしら?」
尋ねるように聞いた香熾さんに墨坪が勢いよく答えた。
「行きます!。千楽寺隊長には助けてもらったのでお見舞いに行きたいです!」
「では一緒に行きましょうか」
そう言うとニコッと笑いながら、俺たちを相棒のいるところに連れて行った。今気づいたが香熾さんの後ろの手にはお見舞い用なのかアジサイの花束が隠すように持ってあった。




