第六話:変異種☆(後編)
すみません。いつもよりかなり長くなってしまいました。時間があるときに気晴らしに読んでいただけると嬉しいです。
‥きろ!。おきろ!!」
心地よく眠っていたが、突然の怒号に俺は目を覚ました。寝ぼけ眼で周りを見渡すと異様な景色が広がってきた。
「ん?。ここはどこなんだ?あれ、俺ベンチで寝てたはずなんだけど」
「やっと起きたか。この寝坊助小僧が。ずっと読んでいるのに気づかんとは」
???
周りの景色もなんだかひだみたいで変だが、どこからともかく声も聞こえてくる。誰なんだろう。この頭の固そうなご老人のような声は誰なんだろう。俺まだ夢の中なんではないのか??
「おい。ここだ。こっちだ」
そう言われ声のするほうに目を向けると、腰かな抜けて落ちていた刀がしゃべっていた。というか脳内に直接語り掛けているようだった。
「あなたがおれに声をかけてたのですか。というか誰ですか」
「おい、人に名を尋ねるときはまず自分から名乗るんだよ。‥‥まぁいい。俺の名は‥‥」
「あ、はい。俺の名前は鷹島春久です」
「・・・俺が名乗っている最中だろ。はぁこれだから最近の若者はだめになっていくのだ」
「すみません」
名乗れだの俺が名乗っているだのなんかうるさい刀だなと思った。というかこの刀、俺のおじいちゃんに似ているんだよな。
俺に名乗りを遮られた刀はゴホンと咳ばらいをしてもう一度名乗った。
「俺の名は鉄鉄山。刀に宿った魂だ。」
そう言って自ら鞘から刃を出した。そこには誰もいないはずなのに俺には歴戦の猛者の風格を持つ酒が似合いそうなおじいさんが見えた。
「それじゃとりあえず、”テツテツ”って呼ぶね。ゴロがいいから」
「‥もう何でもいいわい。はぁわしの目が曇っていたんかのう?こんな生意気そうな小僧だったとは」
その後もテツテツはぶつぶつとなんか言っていた。
「まぁ、先の目標はここがどこであるか知り、ここから脱出することだな。」
「そうだな。スマホのメッセージに何か来てないか確認します。??特に何も来ていないです。というか、俺が寝始めてから時間が10分くらいしか進んでないわこれ。」
スマホの時計があまり進んでいないことからこの空間は時間の進みがずれているのだろう。外では今何時ごろなんだろう。
テツテツとどうするか考えていると一つ思いついた。
「この壁を切ってたらどうだろう。ゲームとかアニメなんかで閉じ込められた時って、内から攻撃して脱出するやつってあるじゃん。そんな感じのやつ」
「そのたとえはよくわからんが、試してみる価値はありそうだな。よし刀を抜け」
俺は刀を抜き、構えた。そして大きく振りかぶってまっすぐぶった切った。すると中から赤い液体と大きくて透明な生物が出てきた。
「これ、血じゃないか?鉄っぽい匂いもするし。ここはもしかしたら動物の体内なのか?」
するとまた脳内に語り掛けてきた。
「だとするとこの奇怪なナメクジみたいなやつはなんだ?」
「いや、わからん。でもなんか事前でみた寄生虫の資料のやつと似ているな?」
一応支給された手袋があるおかげで、容易に触ることができた。感触は大きなスライムのような感じで、地球上にいる生物のものではないような感じがする
「ひとまずこいつは倒しておく。だんだんこいつの似たような奴が増えてきたからな」
「小僧の好きなようにしろ。わしは小僧の刃となって切るのみだからな」
そして俺は中にいる寄生虫をかたずけていき、この中を探索し始めた
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現在の時刻は17時30分。俺は慌てふためいている香熾を落ち着かせて、茫然としている墨坪を呼び起こして、三人で作戦を練っていた。
「すみません。すこし取り乱してました。」
「あたしもです。ちょっと現実から目をそらしてました」
「ああ、墨坪に関しては今日が初めての任務であるから多少は仕方ないけど、香熾はしっかりろ。確かにお前は実践訓練が同期と比べて少ないけど、ここまでたくさんの努力をしてきたんだから自信をもってくれ」
「!!。ええ、わかったわ。ごめんなさい。いつもお手を煩わせてしまって」
「とりあえず、目先の目標はあの新生物をどうするかだ」
巨大になったあの生き物は元はねこであり、ただ寄生されているだけあり、傷つけてはいけない。動物保護団体からまた苦情が来てしまう。
「とはいっても対処のしようもないですよねあれ。いま銃すら持ってないですし」
「それについては大丈夫。俺がテーザーガンを出すから。ただそれでは食われた相棒は助けられないから。だから香熾、能力の封印を少し解いてくれないか」
「いやよ千楽寺君。また無茶して体が壊れてしまうわ」
「問題ない。傷ついたら柚子のところに行くから」
「いつもいつもあの子に直してもらっているけれど。もともとあなたが能力を使わなければいいことでしょう。体がボロボロになっているところなんて見たくないわ」
香熾は不機嫌そうに言う。少し怒っているのか口調が少し変わった
「それでもここで相棒は失えないんだ。この先の未来を変えるかもしれないやつなんだよ。相棒は」
「わかりましたよ。ほんの少しだけですよ」
そう言うと香熾は少しムスッとして、封印を少し解いてくれた。
「10%ほどだけ解いておいたわ。あんまり自分を酷使しないでください」
「わかっている。‥‥よし!とりあえずテーザーガンを出せたぞ。これは俺が独自に改造を施した8万Vの電圧が出る拳銃式だ。弾丸も預けておく。丁重に扱うんだぞ」
「はい。わかりました。それであたしたちはどうすればいいですか?」
「君たち二人はあの生物、とりあえず名前をパラキャットとしてそいつの周りを探索しつつ何か突破口がないか探してきてくれ」
「了解したわ。千楽寺君はどうするの」
「俺は初めに二人にインカムを貸す。次に片目で透芯眼を使ってパラキャットに食われた相棒を探す。次にもう片方の目で転移眼を準備して相棒を脱出できるようにする。そのうえ俺の視力が残っていたらそっちに加勢する」
「なんか負担が大きい気がしますがわかりました。それではあたしも能力を駆使して戦闘を開始してきます!」
墨坪はやる気を出したのか意気揚々と飛び出そうとしていた。そしてそれを俺は食い止めた。墨坪は少し驚いた表情をして言った。
「どうして止めるんですか?。早くしないと春久君が溶けちゃうじゃないですか」
「まぁ待て。いつもやっていることがあるんだよ。それをしないと俺は調子が出ない」
そう言うと香熾はわかったかのように微笑んで、墨坪は不思議そうな顔をしていた。
「千楽寺君は戦闘の前はいつもちょっとした作戦名を付けてから行くのよ。気合が入るからって言ってね」
「そうなんですか?。あってもなくてもいいような気がしますが」
墨坪がそんなことを言うので俺は熱く語ってしまった。
「そんなことを言うなよ。墨坪。作戦名は大事だぞ!こういう戦闘においてはいつだれが亡くなってしまうかわからない!だからこそ戦い一つ一つに意味を持たせるためにやっているんだ!」
「わかりました。では作戦名は何にしますか?。猫作戦ですか?それとも寄生虫排除作戦ですか?」
墨坪はわかってくれたようである。しかもかなり乗り気になったのか作戦名を提案してくれる。なんとけなげな後輩隊員なのだろうと思った。
「残念ながら今回の作戦名は既に決めているんだよ。また次の時に墨坪に決めてもらうよ。では作戦名を発表する。作戦名は‥‥」
”夕刻城ヶ島作戦”
「それでは作戦を開始するっ!全員全力を尽くすように!」
そう言った瞬間、墨坪と香熾は駆け出した。
こちらが動いたと同時に、パラキャットも動き出した。背中の部分から大量の触手のような物体が出てきた
「なにか変な奴がでてきたんですけど。これは撃っていいやつですか」
「ええ、大丈夫ですよ。撃っても問題ないですよ。私たちの役目はパラキャットから何か役に立つような情報を千楽寺君に報告することだから。猫を傷つけなければいいですよ」
そう言って、香熾は向かってきた生物にテーザーガンを撃った。すると放たれた銃口からとんでもない速度で敵を貫いていった。香熾は予想していなかったのか驚いた表情をして言った。
「!?千楽寺君!?これ威力強すぎではないかしら。強すぎて貫通して猫に当たらないかしら」
「大丈夫だ。あたったらそのものを貫通した瞬間に弾丸が消えるようにしている。亜空間に落ちるから気にしなくていい」
「それでは遠慮なく撃っていきます」
そうして出てきた触手のような生物は次々と撃たれ、その場で溶けていった。
~~~
「テツテツ?今何匹くらい倒してきた」
「知らないわ。というか、わしは小僧の気配を感じるだけでそのほかは特に何も見えんわ」
よくわからない場所をさまよっていくつかわかったことがある。ここは動物の体内である可能性が高い。しかしここが本当に動物の体内であるなら、肛門があるはずなのだが一向に見つからない。そのほかの小腸や胃などはあるのが分かったが肝心の肛門がない!
では食われたであろう口から出ればいいと思ったのだが残念ながらできないのである。
胃の壁を刀で刺して上がっていこうと思ったのだが、胃液やナメクジのような生物が出てきてうまく登れない
そうして今のような状態になってしまった。ただひたすらに壁やひだを切って敵を殲滅するだけ。
そしてさまよっていくとあるものを見つけた。
「さっきもここを通ったけどこんな膿みたいなやつあったかな?。いやなかった気がする」
「小僧なんだか嫌な気配がしやがる。その膿のような奴には気をつけろ」
テツテツがそういうと膿は次第に大きくなっていき、その中身が出てきた。
「なんだこの蝶のような姿をした生き物は!?。」
「小僧!気を緩めるな!」
「!?」
刹那、蝶の羽からおびただしい数の斬撃が飛んできた。
刀身でうまくいなしているがそれでもいなしきれずに腕や足に切り傷が付く。
「っ!。いってぇな」
「集中を切らすな。精神を研ぎ澄ませ」
飛んでいる相手に対して有効な手段は瞬時に近寄って下から突き刺すか、投擲で当てる、もしくは近寄ってきたところを切り倒す。今の俺には斬撃を出すことも超人的な身体能力もない。できること組み合わせて何とかするしかない。
「また飛んでくるぞ!」
今度は落ち着いてしっかりと飛んでくるものを見る。単調な斬撃をいなし交わして接近を試みた。
「いけるぞ!」
蝶の下に入り、刀を扇のように振った。その刃は確実に腹部を切ったように見えたが
「あれ。切れてない。手ごたえも感じなかった」
「おい。突っ込んでくるぞ!」
無策にも突っ込んできた蝶を俺は今度こそ真っ二つにした。ように見えただけだった。
「?」
異様な感じがした。次の瞬間、俺の体は血まみれになっていた。何が起こったのか俺にはわからなかった。
それと同時に再び蝶がおびただしい数の斬撃が降り注いできた。もう駄目だと思った瞬間、俺の景色が一変した。
「よかった。間に合った」
いつもは頼りないような感じの声が今日に限ってとても頼りがいのある声が聞こえた。その人は目から血が滴っていた。
「相棒」
そう言って隊長はニヤッと笑った。
「こちら千楽寺。予定通りに鷹島を救出した。あとは伝えたプランAを続けろ」
「了解しました」
「了解です✮」
「よく頑張ってくれたな。相棒ちょっと待ってろ」
そう言って俺の傷を治していった。切れてボロボロになった直垂もみるみる治っていった。
「ありがとう。相棒。助かったわ」
「ああ、気にするな。無事でよかった。とりあえず、はいこれインカム。つけておいて」
言われたとおりにつけて少し話すと
「あ!ちゃんと帰ってきた!よかった。少しだけ心配したんだよ」
「おかえりなさい。鷹島君」
暖かな声でしかし少し切羽詰まった声で俺の帰りを喜んでくれた。
「すみません。ご迷惑をおかけして。それでいまどんな感じなんですか」
「それについては俺から話そう。今夕刻城ヶ島作戦のプランAを遂行しているところだ。このプランAというのは、この新生物、名前をパラキャットの殲滅作戦である。本来寄生されただけだったら転送して向こうで分離作業をしてくれるが、今のこの状況を上に伝えた結果殲滅の許可が出た。よっていま全力で戦っているところだ」
「もうすぐテーザーガンの弾数が底を尽きそうです」
「私も同じくです」
説明を聞く限りかなり危険な状態であることはわかった。
「じゃあ俺がこのデカブツを引き付けておく。その間に弾を補充してもらってくれ」
「危険すぎるわ。私たち二人でやっても隙すら作れてないのよ」
「大丈夫です。いざとなったら俺も撤退するので」
「わかった。春久君に少しの間任せようかな」
そう言って俺は敵に向かって行った。途中で墨坪とすれ違ったときに少し安堵したような顔が見えた。
「こっちはなんか触手のようなものが襲ってくるんだな。おれがいたところとまた違うな」
「相棒はどんな感じだったんだ」
俺は戦いながらあの時のことを説明した
「向こうでは体内の壁に囲まれたところで時間の進み方が遅かったですって今こんなにも暗いのか。」
「なるほど。ほかにはないか」
「壁を削るとナメクジのような生物と蝶のような生物に会いました。ナメクジのやつは簡単に倒せましたが蝶のやつがやばかったです。なんか攻撃が当たらなかったです。まぁでもそとにはそんな感じの‥やつ‥な‥んて」
噂をすればなんとやら。そんな蝶はここにはいないと思ったら、、、
「あれ、あのパラキャット背中からなんか羽が出てきてない?」
「あの羽がさっき言っていた蝶の羽ですか」
「まずい!飛び去ってしまう前に結界を強固にしないと!!!」
「千楽寺君!!血反吐が!これ以上は無理しないで」
「だが、あれが飛び去ってしまって町のほうに行ってしまったら被害が!」
「わかったわ。私が羽の効果を封印するわ」
香熾さんはそう言ってパラキャットに向かって手をかざして言った。
「シーリング!」
そう叫ぶと羽は役割を失ったかのように止まり、そのまま落ちてきた。
「ありがとう。これで何とかなりそうだ」
「千楽寺君は少し休んでいて。ここから先は私たちで殲滅するから」
「そうですよ。弾丸も補給してもらったし、春久君もいますし大丈夫です。休憩していてください!」
「わかった。君たちに少し任せるよ。回復したら俺も参戦する」
「了解です」
そう言うと千楽寺は目をつぶって寝た。
「こちら鷹島。パラキャットが落ちたところに来ました」
「わかったわ。私たちが来るまでその場で待機してくれる?」
「了解です」
「急いでそっちにむかうから待っててね」
そう言われて少し心が軽やかになった。
ーーー
「着いたわ」
「早かったな。」
「すぐそこだったからね」
「とりあえず状況としてはあの後微塵も動いてないです」
到着するまでの数分の出来事を伝えるとパラキャットは息を吹き返したかのように起き上がった。
「とりあえず、私が陽動をかけてくるわ。墨坪さん、能力の準備をしつつ私についてきてくれますか?」
「大丈夫です。さっきの戦いであたしの一時停止の能力が通用するのはわかったので」
「鷹島君は私たちの後ろから奇襲を仕掛けてみてください」
「了解です」
各々次にすることを打ち合わせて、走り出した。立ちふさがってくる触手をテーザーガンで打ち倒して、大ボスであるパラキャットに向かって突撃した。
ひたすらに向かって行く、姿が見えたのかパラキャットは防御するような動作をしようとしているが遅い!俺は技の間合いに入ったことを告げた。
「攻撃いけます!」
「墨坪さん!」
「おっけぇ!」
合図とともに墨坪の能力でパラキャットは時間が止まったように固まった。そして二人は横に避けて道を作ってくれた。この期は逃せない。
そう言って俺は抜刀の構えをして思いっきり踏み込んで地面を蹴った
「天音太刀抜刀術が一つ:漣」
そういって俺はパラキャットを横にぶった切った。すると今度は手ごたえがあった。
「やったか」
「いやまだです。敵はまだ倒せてません!」
クソ!さっきと比べて絶対に切った感じがあったのに。墨坪の援護があったのに何がだめなんだ。そう思ってパラキャットを見てみると、
「?切り傷が横にずれている」
「春久君、戦闘に慣れてないのはわかるけど敵の中心を切らないとだめだよ」
墨坪がやれやれ的な感じで言ってきた。
そう言われて俺は何かおかしいことに気が付いた。俺のどの攻撃も敵の中心を狙っていた切ったのにずれている。さっき時もずれていたし、何かあるとしたらあの羽だろう。
ここで俺は一つの仮説を立てた。
「すみません。香熾さん。試したいことがあるんでもう一度お願いしてもいいですか」
香熾さんは察したように了承してくれた。
「墨坪さんもう一度行けるかしら」
「大丈夫です。あたしはまだまだいけます」
「ありがとう。恩に着る」
そう言って俺たちは二回目の攻撃を開始した。
俺の仮説はパラキャットの羽から出る鱗粉が幻覚作用がある。というものだ。この仮説が正しければ、今度はそれを吸い込まなければいい。
敵をかいくぐってまた突っ込んでいく。
「いけます!」
「わかったわ。お願いします。墨坪さん」
「はい!」
声をかけると墨坪はさっきと同じように止めてくれた。
そして二回目の攻撃。今度は息を止めて、さっきよりも強く踏み込んで詰めた。
「天音太刀抜刀術が一つ:漣」
今度は先よりももっと切った感触があった。すると予想通りであったのか、左手左足がきれいに切断されていた。パラキャットはその痛みに耐えられなかったのか、大きなうめき声を上げた。
「よし効果あり。今度はしっかりと食らったぜ」
決まったことがうれしくて俺は少しどや顔をかました。
「決まったことが嬉しいのはわかりますが、まだ倒せていません」
「でももう虫の息のような感じなんですけど。横に倒れているし」
「見てください!。おなかのところに星のマークがあります。そこがきっと心核です。最後の力を振り絞って殲滅をいたしましょう」
言われてみてみると確かに星形のマークがあった。
香熾さんがそういって最後の攻撃をしようとしたその瞬間。俺たちはパラキャットの咆哮によって吹き飛ばされてしまった。
「香‥熾さ‥ん、墨‥坪、大、丈夫、か?」
返事がない。インカムが壊れてしまったのか。こんな時はどうするんだっけ。焦りと驚きでひるんでいるとパラキャットが飛んでこっちに向かってきた。
ああ、ここまでか。俺の人生は変わり始めたのに。そう思っているとパラキャットがいきなり横に飛んで行った。
「ごごであぎらめでばだめだ。相棒。最後じっ”がりど決めでごい!」
本日二度目の頼もしい声。声が完全につぶれているにも関わらず、頭から血が流れているにも関わらず駆けつけてくれた。相棒は本当に最高の隊長であった。浮遊していた隊長は力なく下りて行った
「ありがとう。相棒!本当にこれで決める!!!」
俺はすぐに刀を取り、パラキャットに向かった。仰向けの状態でいるパラキャットの星をめがけて俺は叫んだ。
「天音太刀剣術が一つ:穿画点」
刀を思いっきり突きさすと、パラキャットは一瞬うめき声を出した後パラパラと塵になって消えていった。
いなくなったあと、俺はすぐにみんなを探しに向かった。初めての任務で仲間を失うなんてことをしたら、俺は当分立ち直れないだろう。それほどまでに俺は今の環境が好きになれていたのだろう。過去の自分を知らないこの仲間たちのことが。
初めに墨坪と香熾さんが飛ばされたところにむかった。
「確かこっちのほうに飛んで行った気がするんだけど」
不安が増す中探していると二人を見つけることができた。草木がちょうどクッションのような感じで受け止めていた。
「!!二人とも大丈夫か!」
しっかりと生きているか安否確認のため呼吸を確認をするとしっかりと息はしていた。二人を安全な場所に俺は運んで仰向けにしてベンチに乗せていた。
しばらくすると墨坪が目が覚めたのか周りをきょろきょろしていた。
「あれ、ここはどこ?あたしはさっきまでパラキャットと戦っていたはずなんだけど」
「目が覚めたか。墨坪」
「あれ春久君?あのパラキャットはどうなったの?」
「俺が最後仕留めたよ。跡形もなく消えちゃったけど」
そう言うと墨坪はようやく緊張から解放されたのかぽろぽろと涙をこぼして言った。
「よかった。やっと終わったんだね。私たち生きているんだよね」
「そうだ。俺たちはしっかりと作戦を遂行して成し遂げたんだ」
俺が労いの言葉をかけると墨坪はさらに泣き出した。とても怖かったであろうによく頑張ってくれた。
俺はひとまず泣き止ましてから次のすることを話した。
「落ち着いたか。この後俺は相棒を探しに行く。その間香熾さんのことを見ていてほしい」
「わかったわ。ちゃんと見つけてきてね」
泣きはらした顔でそういってくれたので俺はこの場を任せて、隊長を探しに行った。名前を呼び続けて探していたけれど見つかることはなかった。そして俺もだいぶ疲れていたのか途中で電源が切れたように眠ってしまった。
けれど最後に見えた景色が俺に安心感を与えたことは今でも覚えている。




