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第三十七話:ある雪の日、俺は見知らぬ場所に来た。

どうも井中です。先週は無断で休んですみません。ちょっとこちらの事情で投稿すること難しかったです。また時間があるときに読んでくださると幸いです!

あの受け入れがたい夏から早3か月が経ち、もう雪が降り積もる12月の後半に差し掛かっていた。去年までも俺であれば一日中家の周りに積もった雪を屋根から降ろしていたが東京はそこまで雪は降らないようで、こんな中できることと言えば次の任務のためにひたすら体を鍛え高めることしかなかった・・・。


『現在、道場には鷹島春久だけがここにいる。特別訓練を行っている関係上、誰もここに入ることを許可しない。 

特別殲滅部隊 隊長 千楽寺アケツミ』



ーーーーー

道場内


「・・・あの、相棒。いつまでおれ座禅を組んでいなきゃいけないんですか?。かれこれ3日飲み食いしてないんですけど。もう死にそう…」


「はぁ…情けない。まだ三日じゃねーかよ。まだだ。あと2日。せめて2日耐えろ」


「ふ、2日も⁉。どう考えてもくたばりまするわ⁉」


「おい、座禅を解くな。と言うか口答えできるくらい元気あんだからいけるだろ。いいか、春棒よ。前にも言ったがこの訓練には己の精神を磨き上げ、その精神力をもって不動の心構えを修得する意味がある。今年の夏で想定外のことで心を乱していたがあれが本当の戦いであったらまず死ぬ。だからそんなことが起きても動じない心を身に着けてほしい」


「それって心を無にしろと言うことですか」


話を聞いている限り、人のことを思ってはいけないみたいな感じに聞き取れてしまった。座禅を組みなおして目に映る視界を閉じて俺がそう聞き返すと相棒は平然とした声で言う。


「まぁそれに近いな」


「・・・」


「だが心がないロボットに成れ!。なんて言わない。なんて言えばいいんだろう。これは少し説明するのが難しいんだが、春棒が大切にしたいと思える人たちを守るために春棒自身が敵を切り伏す刃に成れということだ。その刀を持ってる春棒にはもうわかるはずだ。武器にも考えを持てるってことがな。それに近しい状態になることが目標だ」


相棒は俺の周りをぐるぐると回りながらくどくどと説明をして、話し終わると横において置いたテツテツを相棒は拾って刀身を抜こうとしていた。


『こやつ。わしが意思を持っていることに気づいておるのか。だがな。抜刀はわしが認めたやつしかできんのじゃ』


『テツテツ。それって初めて会ったときから俺のことを認めてくれていたのか』


座禅を組みながらテツテツと心の中で話し、少し心がじ~んとした。するとテツテツは珍しく照れているよな声で話してきた。


『・・・まぁなんだ。わしも小僧と初めて会ったときから只ならぬ雰囲気を感じただけだ』


『そっか。・・・すこし照れてんな。テツテツ。俺と話していくうちに口調が優しくなったか?』


『やかましいぞ!小僧。あまり調子には乗るなよ。わしはいつでも小僧に刀を抜かせなくできるからな』


『まぁ君たちそこまでにしてくれるかな。春棒は集中しろ』


テツテツと話していると誰かに聞かれていると感じたが案の定相棒が盗み聞きをしていた。小さく眼を開けると相棒がにっこり笑みを浮かべ無言の圧をかけていたので俺は何事もなかったかのように目をゆっくりと閉じた。


「あ、相棒。さっき言ったことはわかったけどまっっっったくできる気がしないんですけど」


「案ずるな。むしろ3日でその境地に立たれたらきっと一年以内に仙人になれるわ。いいか精神を統一するには邪推な考えを沈め、体を水面に静置させるように動かず、時間すら忘れてしまうくらい集中を高めることだ。これは極限の状態程うまくいく・・・・」


長々と話していたが俺は意識を保つもが精いっぱいすぎて途中から話が聞きづらくなった。声が聞こえなくなり、暗闇の世界と無音の世界が融合するとその異質さに目をそむけたくなった。


一面黒の世界には時々七色の光が点滅していた。手をのばしつかみ取ろうとしてもまるで提灯になったかのように動けなかった。腕と言う存在が、足と言う存在が、肉体と言う存在が無くなったかと認識せざるおえなかった。ただそこに吊らされてただ光を眺めるだけのようであったのを今でも鮮烈に覚えている。


しばらくすると黒かった視界が次第に明るくなっていき景色が見えてきた。さっきの一面が黒い世界から真っ白い世界になり、下を向くと見たことが無い青みがかった透明な華が地面がないのに咲いていた。


「なんだここ。天国か?。・・・てか体ないのにどうやって俺しゃべってんだ?。でも動ける。とりあえずここが何なのか探索してみるか」


動き始めてみるとますますここが何なのかわからなかった。大きな建物なんかあるわけでもなく、ただひたすら透明な華が咲き乱れている穏やかな場所だった。風も吹かずけど華は揺れている。訳が分からん。しばらく歩いて行くとここには似つかないぼんやりとした大木が丘の上に見えてきた。


「うわ。なんでこんなとこに木が生えてるんだよ」


近寄ってみるとその姿がはっきりしてきた。見た目はどこかのファンタジーにでもありそうな大きな木であり、そして木はやはり透明であった。木の幹は太く何本にも枝分かれして存在していない太陽の光をたくさん浴びたかのように光っていた。そして丘を登りきると俺は木に寄り掛かっている寝ている男の子を見つけた。


「あのこんにちは」


挨拶をすると少年は目を覚まして俺の顔を見るなり、にこりと笑った。可愛げのある表情でまさしく子供。子供は透明ではなくしっかりと実体があるみたいだが何を話すわけでもなく俺のそばに寄ってきた。


「えっどうした?。俺の身体はないんだけど。頼むからなんか話してくれ」


少年は身振り手振りして俺に何か伝えようとしていた。そして少年はそばを離れたのち大木に戻っていき、こっちに来てと言っているかのように手を振っていた。したがってついて行くと木のふもとに先ほどはなかったはずの木刀が置いてあった。少年はそれをとるように促していたので俺は手に取ってみた。


「?。あれ、さっきまで俺、身体がなかったはずなのに。」


無意識に木刀をとっていた身体はいつもの姿かはわからないが俺の身体としてついていた。木刀は手に吸い付くような触り心地でリアルであるのが分かった。


少年のほうを向きなおすと俺と同じように身の丈に合った木刀を持って、構えの姿勢をとっていた。少年の眼は無邪気な男の子の眼であり、同時に中に真剣さが見え、俺も構えろと言わんばかりのプレッシャーを放っていた。何がなんだかよくわからないが俺も構えの姿勢をとる。すると見ていた少年は一瞬でいれの懐に入ってそのまま木刀で突かれてしまい、そのまま後ろにコケて丘から転がり落ちてしまった。


「っ!。痛、くない?。と言うかいきなりすぎだろ。全く見えてなかったんだが」


ふと丘の上を見ると少年の姿はなくどこにいったのかと周りを見渡していると木刀でわき腹を突かれていた。その顔はにやにやしていて話してもいないのに「だめだめだね(笑)」と言わんばかりのしたり顔であった。距離をとって構えの姿勢をとると少年も構えの姿勢をしていた。


「ここがどこだか知らんが俺に修行をつけてくれているのか?」


俺が聞くと少年はうんうんとうなずいて再び姿を消した。


「どこいった!」


気配が全く感じ取れないのでどこにいるのかも検討が付かず、いきなり後ろからまた突かれてしまった。嬉しそうにしている少年はそのまま直線に突っ込んできた。


「さすがにそれは見える!」


木刀を構え、タイミングに合わせて打ったつもりであったが、目でとらえることが出来ないくらいの速さではじかれそのまま押されてしまった。俺に馬乗りになった少年は終止嬉しそうな無邪気な顔をしていた。三本取られ、何が起こっているのか気になり俺は少年がしゃべれないのを忘れ尋ねた。


「なぁ、どうやってその瞬間的に動いているんだ?。気配もないし、全く見えないからすごく気になるんだけど」


「っっ!!っ !!っ!! !!っっ !っ っっ!っ! っ!っ!! !っ!! !!! っ!!! っっっ!っ !! っっっ !っ!っっ !っ っ!っっ! !っ!っ! っ! !! っっ 」


「???。何を言っているんだ。そんなに口パクパクしてもわからんぞ」


少年は何かを伝えようとしているのはわかるが如何せん何を言っているのか理解できなかった。しかし俺が言っていることはどうやら伝わるようだ。少し考えていると少年の顔が少しかまってほしそうな顔になっていたのでこのまま修行に勤しみつつ体得することにした。


「ふぅ~。よし!。何言っているのかわからんからこのまま何度も修行して学ぶ!。で、少年って言い続けるのはなんだか味気ないから今日から君はキノコだ!。どうだなかなかいい名前だろ」


俺はどや顔でキノコの顔を見ると喜んでんのかいやなのかわからん少しはにかんでいる顔であった。


そしてしばらくひたすら突かれる訓練が始まった。


視界には映っているはずなのに目の前から消えるのはなぜなんかはすぐにはわからなかった。幸いここには時間と言う概念はない様でどれだけ練習をしても暗くなることはなかった。おまけに体力と言う概念もなかったので疲れることもなかった。


でも休憩はあるようでキノコの気まぐれでたまに休めて巨木の謎果実を食べさせてくれた。味はウルトラスーパーギガティックスウィートだった。


~~~

春棒が動かなくなってから丸三日が経った。さすがに生きていることはわかるが座禅を組んだまま目をつぶり無の境地に行ってしまったかのようであった。


「いきなり動かなくなったと思ったらこれだもんな。どうしよう。俺が適当に考えた【とりあえず座禅組んどけ特訓】がこんな風になってまうなんて思ってもなかったわ。うわぁ~これで今から任務ですとか言われたらどうしよう。とりあえず何とかなるk」


「ええ~。特別殲滅部隊。直ちに指令室に集まれ。繰り返す。特別殲滅部隊。直ちに集まれ」


「・・・。最悪だ。これがフラグと言うものなのか。ある意味タイミングの良いときにこんなことしまうのは()()()()()()()かなだろうな」


刀を置き、しぶしぶ俺は道場を後にし、指令室に向かった。


指令室には春棒を除く全員がいた。香熾と墨坪と俺。香熾は遅れてきた俺のことを見ながらやれやれとした顔をして、墨坪に至ってはあれ以降初めての任務にワクワク、ソワソワしているようであった。


「東雲副隊長?。これからどこに向かうんですか?」


「これから指揮官からお話があると思いますよ。凉さん。あら?千楽寺君。鷹島さんはどうなったのですか」


「あ、まぁなんだ。まだ特訓は続いているから来れん」


「え。春久君来れないのですか?。せっかくどんなふうに戦うのか見てみたかったのですが・・・」


墨坪がしょんぼりとした表情になり少し申し訳なくなった。


「本人がいないから勝手に話すが春棒もまた墨坪と一緒に任務はしたいって言ってたぞ」


「そうなんですか?。でもあたしなんだか少し避けられているような気がしているんですよ。ほら、あたしと春久君って行う訓練が違うじゃないですか。なので余計に会えないって言うか。本当に恋人同士だったのかなって最近思えちゃって」


「あらら。でも確かに二人は恋人同士でしたよ。とても仲睦まじい雰囲気でして旧友の仲と思えてしまうほどでしたよ。鷹島君も今はちょっとどう接したらいいのかよくわかってないだけだと思います」


「そうなんですね。でもあたしの中ではエイトくんが恋人であったので、なんかよくわかんないです」


墨坪がそういうとしばらくの間沈黙が部屋を包み込んでいた。そしてその沈黙を破るように指揮官が割って話してくる。


「ああ~。話しているところ悪い。君たち、これから任務に行くということを忘れていないだろうな」


「当然です」


俺たちは指揮官が話をし始めたので姿勢をよくして話を聞き始めた。そしていつもながら淡々と指揮官は今回の任務について話を始めた。そして聞き終わりと同時にすぐに軍事用ジェット機で移動をすることになった。


ーーーーー

機内


「あの~。付かぬことをお聞きするのですが、指揮官さんはいつもあんな感じなんですか?。ちょっと威圧的と言うか。ぶっちゃけちょっと怖いです」


「まぁそうだよな。知らない人からすると恐ろしいくらいオーラを出してるからな。俺も初めて会ったときはええ~って感じだったわ」


「そうですよね!。以前までのあたしは平気だったんですかね。あれ」


「凉さんは平気そうでしたよ。いつも真面目に聞いていましたから。特に怖がっていたりとかはなかったと思いますよ」


「ただ最近の指揮官は焦っているからな」


「焦っている?。どういうことなんですか?」


とても気になっているのか身を乗り出し目を輝かして墨坪が聞いてきた。正直話すことか迷っていたが俺は何かが変わるかもと言う願いを込めて話すことにした。


「それはな。簡単に言うとあと数年以内にはとんでもない被害を起こしかねない新生物が出るからだろうな。香熾は知っていると思うけど。そしてそんなやべぇ新生物と俺はそれを何度も抗戦をしていた」


「え?。そうなのですか。私知らないのですが・・・」


「アレ?。言ってなかったっけ?。こっちでは言ってなかったか?。まぁいい。じゃあ普通に聞いてくれ」


「はい!」


「別の世界。時間軸がこことは異なった世界にも日常があってそこでも同じように新生物がいてそっちの世界でもこのやべぇ新生物と戦っているから、こっちの世界にも同じことが起こるだろうってこと。その新生物がやってくるということは作戦本部室にいる未来を視る能力者によって分かってはいたから。そいつをどうするかで焦っているってわけ」


俺はちゃんとした言葉で話せているかいささか不安であり、二人ともハテナを浮かべていたが墨坪はなんだか理解したようで俺に質問をする。


「???。つまり、この先にそのやべぇー新生物を倒すために奔走しているから指揮官はあんなふうになっているってことですか」


「まぁそういうことだ」


「でしたらなんで千楽寺隊長がその新生物の倒し方を教えないのですか」


普通に痛いとこを突かれてしまい、俺は少し考えこんだ。説明していいものかはこれまでの経験からわかっている。話しても()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。そして考えた結果・・・


「話そうとは思った。けどいつも少しずつ違うから話してもあんまり効果がないんだよ」


「ほえ~。そうなんですね」


正直に話すことにした。それを聞いた墨坪は何か納得したかのようににっこり笑顔をこちらに向けていた。香熾の方は香熾の方で理解をしたらしく、こちらは大丈夫そうであった。


軽い談笑を交えているとジェット機は目的の場所に到着したようで機内にアラームが鳴り響いた。


「目的地に到着しました。帰りは向こうの基地の人たちからお願いしますね」


「了解です」


「降下作戦なんて初めてです!。頑張ってみますね!」


「緊張しなくても大丈夫ですからね。私も初めてですから」


ジェット機の後方部分が開き、地上の様子が窺える。俺はいつも通りに士気を高めるために掛け声をかけた。


「いいか。今回の任務は呉基地の救援である。大量のヒト型魚:マルシーズと言う新生物が出てきているのでそれらの殲滅が目標だ。」


「はい!」


「と言うわけで今回の作戦名は香熾頼む」


「わかりました。では僭越ながら今回の作戦名は・・・」


"リトルスノーミッション"


「それでは皆さん。いいですね?。作戦開始です!」


香熾は作戦名を告げ、俺たちは作戦の開始の合図とともに空へと飛び出した。今日は雪が降っていて顔に張り付く雪は冬を感じさせるような冷たさがあり、温かい春が来てほしいと思ってしまった。


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