第二十七話:長い航海の始まり。(風呂無し)
どうも井中です。先週は申し訳ありません!。家計の事情でパソコンを触っている場合ではなかったので登校することが叶いませんでした。そして今回もそこそこ長くなってしまっているので時間があるときにゆっくり読んでください。いつも読んでくださりありがとうございます!。今後とも読んでくださると幸いです!
もう旧暦の季節的には秋になってもおかしくない八月の下旬。まだ太陽が燦燦と照りつくすこの大地は訓練している俺たちの体力を容赦なく奪ってきていた。ゆるさん!。滅!二酸化炭素!
「おいなに!変なことを考えているんだ鷹島!。そんなこと考えていても強くはなれんぞ!。訓練に集中しろ」
訓練指導官はどうやら脳内を見ることができるらしく、余計なことを考えていた俺を叱咤した。横目で見てみるとただ立っているだけなのに俺たちと同じく汗だくの状態であった。なんでなんだよと思いつつも俺以外の人たちにも同じように叱咤や激励を大声で飛ばしているからだと俺は心の中で思った。
「おい!。また別のことを考えているんじゃないぞ!」
そしてまた案の定俺は怒られる羽目になってしまった。内心もう人の心を読んでくるのはやめてほしいとは思っていたがこれ以降特に何も言われなくなっていった。
そんなまだ真夏のような暑さが残っている今日この頃、俺たちは久々に山風指揮官から呼び出しがあった。しかし今回、いつもの作戦会議室ではなく港っぽいとこに来ていた。
「よし、集まったな。ではさっそく今回の任務について話をしようと思う」
「もういつものことのように始めるんですね。あの話す前に聞きたいことがあるのですがいいでしょうか?」
俺は何事もないように話そうとしている山風指揮官に問おうとしていた。それは何か。
「まず一つ目になぜこんな港の埠頭にいるんですか?」
「あ、それはあたしも思ってた。」
「それはこれからの任務にそのまま向かってもらうつもりだからだ」
淡々と答える山風指揮官の長い髪が強風によって煽られて顔が隠れてしまっていた。今日は晴天晴れだが風が強く、埠頭から見える海は波がかなり立っていた。
「次に相棒。千楽寺隊長はどこに行ったんですか?」
「それはすぐにわかる」
俺と凉は何を言っているのかよくわからず、頭にハテナが浮いていたがどうやら香熾さんは知っているのか意味ありげに微笑み話す。
「もうすぐ、面白いものが見れますよ」
「面白いものですか?」
「はい。海のほうを見ててください」
俺たちは言われた通りに振り返り、海を見ると何やら水平線が次第に歪んでくのが見えた。そして空間が吸われたと同時に一瞬にして大きな船が目の前に現れ、高波を起こした。
高波は容赦なく俺たちにかかってきて俺は濡れてしまったがほかの三人はどこからそんなものを取り出したのか、傘をさしており全く濡れていなかった。もうすでにいろいろ突っ込みたいとこが山ほどあったが船の甲板らしきところから声がした。
「お~い。大丈夫だったか?すまんな。こいつを動かすのが久しぶりだったから操作にてこずってしまった。・・・ん?。春棒は何でそんなに濡れてんだよ」
そんなのんきなことを言いながら姿を現したのは相棒であった。誰のおかげでこんなに涼しくなったのか…。凉に関しちゃもう何が起こってるのかよくわかってないような唖然とした顔をしてんだけれど…。
「と言うわけで君たちの任務はこれから太平洋沖に出て哨戒任務に出てもらう。」
「え?。ああ、指揮官?哨戒任務って何ですか?」
「哨戒任務ってのは敵の攻撃や不測の事態に対して対応できるように警戒監視をすることだ。墨坪、このくらい知っておいてくれ」
山風指揮官が言っている哨戒任務。凉はよくわかってなかったのか聞き返していたが俺もその実よくは知らなかった。やれやれと言う感じで説明をしてくれたが、俺にはいまだによくわかってないことがあった。
「あの?。なんで俺たちがその、哨戒任務をするのでしょうか?。こういったことはもっと専門的な人たちがやることじゃないんですか?」
「ああ、それはだな・・・」
「俺がわざわざ志願したんだ。『お願いです!!。俺たちに行かしてください!』って五体投地してな」
こちらに飛び降りてきた相棒はダイナミック着地の後に実際に五体投地をした。その姿を見て凉と香熾さんは少し引いていた。山風指揮官も何か言いたげな表情をしていたがもうあきらめた様子であった。
「おい。千楽寺、はぁ。まぁそんなところだ。それにほかに哨戒任務をしているやつらからも連絡が途絶えてしまっていてな。もしかしたら新生物がいるかもしれないから君たちに行ってもらおうって思ったわけだ」
「なるほどでは早くいかなければなりませんね。連絡の途絶えてしまった方たちはどのあたりで行方が分からなくなったのですか?」
香熾さんが心配そうに尋ねると山風指揮官は一言だけ言った。
「日本からミッドウェーと呼ばれる島に向かって約2000kmだ。」
俺はそれを聞いてもよくわからなかった。地理があまり得意ではない俺にとってはそれがどのくらいに当たるのかすら見当もついていなかったが山風指揮官の少し暗い雰囲気から何となく遠いところなんだということが分かった。
「ミッドウェーってあの昔に海戦があったって言われているところですよね?。勉強したのなんて結構前のことなんであってるかわからないですけど・・・」
「ああ、よく知っているな。もう150年くらい前のことだけど、確かにそこで海戦行われたが結果はな、いったん置いといてだな」
はははとごまかすように笑っている相棒を俺は少し怪訝な面持ちで見た。
「今回はそこまで行くのにこの船を使って行くってわけだ。どうだ!。結構すごいだろ!」
相棒は後ろに停泊させてある船を指さしてテンションが上がった様子で言う。確かに見た人にしかわからないような迫力があり、どこか壮麗さすら感じさせるフォルムであった。
「なんかあれですね。普通の船って感じじゃなさそうですね?。それこそ軍艦みたいな形をしているような気がするんですけど」
「よくぞ気が付いてくれた!。墨坪の言う通りこれは大日本帝国時代で建造された駆逐艦をもとにして作ってきた一隻である。そのもととなった駆逐艦は暁と言う。以前俺がまだ入隊2年目くらいだった時に海上部隊の人たちが俺のとこにやってきていきなり軍艦を作ってくれって言ってきたんだ。どこで俺の能力を知ったのかいまだに知らないけどすごくせがんできたから試しに作るという約束をしたんだが、当時の俺も軍艦の作り方なんか知らなかったから、実際に能力を使って軍艦が建造されている時代に飛んで実物を見てきたんだけど、思いのほか迫力がすさまじくってな!。俺も見入っちゃって久々に興奮したんだよ。ああ、その時に見に行ったのは戦艦伊勢と言うやつでなこれが結構すごくて・・・」
「おい、千楽寺。その辺にしておいてくれ。時間が惜しい。その『俺が軍艦にはまってしまった理由:実際に見てきた感想を添えて』は時間がるときにしてもらえると助かる」
「そうですね。千楽寺君のその話は興味深いですし聞いていて楽しいのはよくわかりますが今は早くいかないといけませんよ」
「あ、はい。すみません。つい熱くなってしまいました。」
凉の素朴な疑問から飛んできた相棒の長いお話は見事、山風指揮官と香熾さんに止められてしまい、しゅんとしてしまった。俺としてはめちゃくちゃ興味をそそられたしなんなら俺も実際に見てみたいとすら思ってしまうくらい聞いていておもろかった。
「では特別殲滅部隊の諸君。検討を祈る。無事に帰って来いよ」
一人埠頭でこちらに敬礼と激励の言葉を背にして俺たちは駆逐艦に乗り込んでいった。
ーーーーー
出航してから二時間くらいが経った。波に揺られて永遠と甲板から見える景色を眺めていた。太陽の光で輝く濃青色はついつい引き込まれそうになってしまう。
「ああ、初の船が駆逐艦だなんて、過去の俺に言っても信じてもらえないだろうな。そもそも駆逐艦ってなんだとか言われそう」
「何一人でぶつくさしゃべっているのよ。春久君も休憩室見に言ったらどうよ!。内装とかが結構いいんだけど!」
風に吹かれて一人を楽しんでいたところに凉がやってきて話しかけてきた。
「ん?そうなん?。俺まだここ以外何にも見に行ってないから知らんかったわ。と言うか乗って早々船酔いしていたけど凉は大丈夫なのか?」
「ああ、もう平気よ。千楽寺隊長に能力で治してもらったからね。今はもう何ともないわ」
「そうか。よかったな」
「あ、もういきなりなでないでよ///」
俺は凉の頭をなでながら言うと、凉はまんざらでもなさそうな表情を見せその顔についドキッとしてしまった。
「んじゃ。いったんこの船を探索しますか。あとこの駆逐艦の名前も聞いてなかったし後で相棒のとこにも行こうか」
「そうだね。あたしもまだ行ってないとことかあったしいいよ」
そして甲板からスタートした船内巡りの旅。初めに話しておこうと思う。
これは駆逐艦と言っていたが当時のような武装はなく、今現代風(千楽寺アケツミエディション)となっており、のちに語ることになるがエンジンや機関銃などはほぼついていないので普通の人が見たらただの中型の船にしか見えません。
「よし。まず初めに部屋ってどこにあるんだ?」
「さっき乗り込んだところから見えるドアみたいなところから入っていくと操縦室がこっちにあるんだけどその逆のほうにあるよ。ほら。部屋は三部屋くらいしかないけど中は意外と広々としてるよ」
凉に案内されながら俺は部屋を見て回っていた。内装は言う通りきれいであった。すでに荷物らしきものが積んであり、二段ベッドが完備されていた。
「で、こっちに行くと簡易的なお風呂場があるってい東雲副隊長が言ってたよ。浴槽は、ないけどね…」
「残念だったな笑。シャワーだけで勘弁してやれ」
「笑ったね!。春久君だってこれから数日お風呂に浸かれないんだよ!。いいの?」
それを聞いた瞬間俺の脳内に電撃が走った。まさかありえないだろうと思っていたことを告げられてしまい振り返って話す。
「え、うそ、だろ。え、この任務って何日もかかるんか?」
「うん。残念ながらね。言ってたけど予想では一週間以上はかかるってさ。ははは、はぁ」
「マジかよ」
落胆した声が船内をこだまして反響で聞こえてくる。今までで体験したことのない任務ってことになるのか。
「がちかぁ~。しばらく食堂のおいしいご飯が食えんのか。仕方ないか」
「そうだね。・・・まぁ気を取り直してほかのとこ行ってみよう!。くよくよしてても何も起こんないし。あっ!そうだ今日この船に乗ってるのってあたしたちだけじゃないんだって!」
「へえ~。そうなのか。同伴者がいるんか。」
「うん。いまから会いに行こうよ。どんな子なのかな?」
「いや絶対に俺たちより年上だろ。子なんて表現は、、」
ーーーーー
「お久しぶりですね。鷹島君、凉ちゃん」
「あ、」
「お久しぶりですね!。元気でしたか?」
「はい。結構元気に過ごしてましたよ」
そうにこやかな笑顔を向けてきたのは朱鷺香純であった。朱鷺さんの部屋は以前見たような感じの暗いようなところではなく、病院の一室のような白い部屋であった。
「しばらく一緒なんですね。いや~看護師さんがいるってだけで何でもできそうな気がします!」
「もう凉ちゃんたら。無茶はしないでくださいよ」
ふふふと笑う二人を見て俺はどうやら蚊帳の外であった。そして思ういつこの二人はこんなに仲が良くなったのだろうかと。疑問に思い聞いてみることにした。
「あの~お二人さん?。あなたたちはいつからそんなに仲が良くなったのですか?知らぬ間に和気藹々としていますがそんなに接点とかありましたっけ?」
「ああ~。鷹島さんは知らないですものね。私たちはかなりの頻度でお会いしてて、訓練とか女子寮などでお話していくうちに仲良くなっていたんですよ」
「そうだね。初めのうちはそんなでもなかったけど挨拶をするようになってからは結構話すようになったよね」
そう言うと二人は顔を合わせて「「ねぇ~」」なんて言ってい笑っていた。あれ、もっと朱鷺さんって静かな人だと思っていたんだけどな。
「そういえば凉ちゃんたちは今何をしているんですか?」
「船内巡りだよ。この船の設備とか見て回ってたんだけど、一緒に来る?」
凉がそう提案すると朱鷺さんは少し考えこんだ後何かを察知したように微笑んで言った。
「ふふ、遠慮しておこうかな。せっかく初めて見るものが多いのですからあなたたち二人で見に行ってみてください」
「そっか。わかった。じゃあ。またあとでね」
そう言って俺たちは部屋を出て行った。凉は思いがけていなかったのかすごくルンルンになっていたので俺も自然とうれしくなった。ただ一つ懸念があるとすれば・・・
「香熾さんとはうまくやっていけるのだろうか」
「ん?。何か言った?」
「いやぁ。なんでもないよ」
俺はボソッと声に出ていたようであったが幸い聞こえてはなかったようであった。その後しばらくいろんなところを探検していった。学校や資料館で見るような外装もちらほらあり俺的にはすごくおもしろかった。
先ほどの分岐点に戻ってきて行かなかった方。つまり操縦室の扉まで来た。扉はなんだか堅苦しい感じであり以前加賀士官の執務室に行った時のような感じであった。
「そしてお目当ての操縦室!」
「と言うわけでオープンザゲート!」
扉を開くとそこには舵輪を握っている相棒の姿が・・・なかったのである。と言うか当の本人は近くにあるソファーに座って優雅に香熾さんとお茶をして話していた。
「あ、来たか。予想してた時間より遅かったな」
「ふふふ、これで賭けは私の勝利ですね!。あとで一つお願い事聞いてもらいますからね」
「はいはい。仕方ないな」
たわいもなさそうな会話をしている様子であった二人はなんだか熟年の夫婦感が漂っていた。
「お二人は今何をしているんですか?と言うか操縦室なのに船を動かすあれがないじゃないですか?どうやって動いているんですか?。なんで優雅にお菓子食べてんですか」
「ん?。いっぺんにいろんなことを聞くな。ちゃんと話すから」
凉の怒涛の質問に会い、さすがに相棒もだれていた姿勢を治して答え始めた。
「まずはこいつがどうやって動いているかって話だが今回は俺がいるので俺の意志で動かしてるよ。本来は墨坪が今経ってる辺りに舵輪が出てきてそれで操作する。アナログだけどこれがいいって言ってた」
きっと海上部隊の人たちだろ。なんだか図々しい人たちなんだな。
「次に優雅に食べているのは俺じゃない。香熾だけだ」
「はい?」
「嘘です。ごめんなさい。そんな目で見ないでくれ」
相棒がそういうと香熾さんは笑っているがものすごく怒っているような顔で相棒を見ていて、すかさず謝っていた。
「で何をしているかってのはいま能力の封印の上限を上げてもらうために賭け事してたんだ。春棒たちがいつ来るかってな。」
「それでさっき香熾さんが勝ちって言ってたんですね」
「そうなんだよ。今20%解放されているけど。50%解放してほしかったんだよ。ただ負けたんで30%しか出せないです。・・・ねぇやっぱだめですか?」
性懲りもなく香熾さんにねだっている相棒を見て香熾さんはただニコニコしているだけで何も発していなかった。残念だね。そして俺は聞きたかったことがあるのを思い出した。
「そういえば相棒」
「なんだね」
「この駆逐艦の名前って何なの?」
凉も思い出したかのように気になっているような仕草をしてた。そして相棒から放たれたその名前は・・・
「真・暁だ」
何ともシンプルでわかりやすい名前であった。




