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第二十六話:日常

どうも井中です。今回も少し長くなってしまったいますが時間があるときに読んでくださると幸いです。

追記:タイトルを変えました。

航空部隊の倉庫から足早に帰ってきた夜。俺の部屋に入ろうとするとすでに鍵が開いていた。もうこの時点で誰がいるのか頭の中には二人ほど候補に入っていた。


「こんなことするなんて、だいたい相棒か乃々葉なんだよな…」


先ほど肌身に触れて感じたあの奇妙な感覚がまだ抜けておらず、もう夏なのにもかかわらず鳥肌がずっと立っていた。何がいるのか確かめるように恐る恐る部屋のドアを開けるとそこには特徴的なロングの小柄な背が佇んでいた。そして気配を察知したのかこちらに振り返ると満面の笑みを浮かべて近寄ってきた。


「おかえりなさい!。こんなに遅くまでどこに行っていたのですか?。せっかく久しぶりに鷹島さんに会いに来たというのに」


乃々葉はまるで往年の恋人のような口ぶりで話しかけてきていて俺はそんなに長い年月過ごしていたかと勘違いするところだった。はたまた恋人ができたからなのか女性との接し方に慣れてきたのか定かではなかった。


「おお~。やっぱり乃々葉だったか。すまんすまん。ちょっと山風指揮官から御願い事されて航空部隊のほうに行ってたんだ。まあ予想より遅くなってしまったけど。」


「そうだったんですね。お疲れ様です!。とりあえず夕食を持ってきたので一緒に食べましょう!」


乃々葉はそういうと身を翻し、テーブルのほうへ駆けて行った。俺も続いてテーブルのほうに行くとそこには大きな鍋が中心においてあった。中には今までで見たことのないような料理が入っていた。


「あのこれ何ですか??」


「これは鷹島さんのために作ってきた特製薬膳鍋です!。以前の任務の時に体がマヒするような感覚に陥ったそうなのでそう言った特殊異常に対するための料理を作ってきました!」


「そうなんだ。よく知ってるねそんなこと」


「ふふ」


乃々葉が何か意味ありげに微笑んでいる。どこからその情報を仕入れてきたのか気になるところだけれども俺は聞かないことにした。夏にも関わらず鍋なんか食べる人なんてなかなかいないような気もするがそこも気にしないことにした。


「とりあえず食べましょう!。早くしないと冷めてしまいます」


「そうだね。俺もどんな味なのか気になってきたし食べるか」


そう言って俺たちは向かいに座りながら箸で鍋をつつき始めた。赤白っぽいスープの中には白菜やエノキと言ったものが入っていたりしていた。


実際にそれらを食べてみるとなんだか体の奥から何かが湧き出るような、溢れて満たされていくような感覚が襲ってきた。うん、これはとてもホットです!。


「どうですか?。私の()()の鍋は!」


「うん。めっちゃおいしいよ!。なんか体の奥から心臓にかけてじんわりと温かさが広がってきて気分がよくなってきた気がするよ」


「それはよかったです!。私もこの料理はめったに作ることなんかないのでこうして実際に食べてくれてまずかったらどうしようとか思ってましたが杞憂でしたね」


そういい乃々葉は笑みを浮かべて食べていた。彼女自身はあまり辛さの耐性がないのかとても辛そうにそして熱そうに口をほふほふしていた。なんだかとてもかわいらしかった。


「そういえば小耳に聞いた話なんですが鷹島さん」


「ん?。何?」


和気藹々とした雰囲気の中、突然乃々葉が話しかけてきた。


「最近、どうやら彼女ができたそうではないですか」


「え、あ、はい」


「やっぱりそうなんですね……。ではもうこうやって私が来ることも少なくなってしまいますね」


話している言葉の一つ一つがなんだか悲し気なオーラを纏っている気がした。今にも消え入りそうなしょんぼりとした話し方は乃々葉らしくない。俺は励まそうと話す。


「そ、そんなことないよ。俺の彼女だってまだ部屋に来たことないしそれに俺はこうして乃々葉と話したりするのはめっちゃ楽しいしむしろ俺はありがたいとすら思っているよ」


「そうなんですね。そんなこと言ってくれてうれしいです。もっと好きになってしまいます…」


「え」


少し元気になったかと思えば乃々葉の口からは信じられないような言葉が聞こえてきた。オレノコトガスキ?。乃々葉は今言った言葉に気づいたのか慌てて何でもないように取り繕った。


「い、いい、今のは聞かなかったことにしてください!!??。なんでもないですよ、あは!あははぁ」


「う~ん。でも記憶に残っちゃったからな~。無理かも!」


「も~う!」


俺はおちゃらけてそういうと乃々葉は少し恥ずかしそう顔をそらした。どうやら落ち込んでたようであったがどこかに飛んでいったそうだ。


「私をおちょくった罰としてこれからもここに定期的に来てやります!。覚悟しててくださいね。あむっ・・・辛い~!」


「はいはい。勝手に来てください。と言うか今までも思っていたんですがなんで女性禁止の男子寮に入ってきてるんですか?」


いま唐突に思い出したかのように俺は尋ねると乃々葉はきょとんとした顔で返事をする。


「え、知らなかったのですか?私、男ですよ?」


「ほへ??」


知らなかった。え、マジで男なの?


「嘘です!。女の子に決まってるじゃないですか」


「な、なんだよ。うそかよ。もうびっくりさせやがって!」


「さっきの意趣返しよ!。まぁここに入ってこられる理由は私が医療班だからよ。医療班の人たちは性別に問わず、担当している人はもちろん気にかけている人がいる場合において近くで治療をしたり、メンタルヘルスをしたりできるんですよ」


「へえ、そうだったのか」


「はい。なのですべての部屋に入れるマスターキーを医療班の人たちは持っているんですよ」


そう言ってちゃらっと音を立てて俺の眼前に見せてきた。キーホルダーはなんかかわいらしいアクセサリーなんかが付いていてご丁寧に「ますたーきー」と書いてある名札とともにそのカギがついていた。


「そっか。じゃあ男の医療班の人でも女性隊員の寮に入れるわけなのか?」


「あ、それは審査しないと無理ですね。女性の寮にそう易々と入れるわけないじゃないですか」


「・・・」


まぁ考えればわからなくもないか。そうだよな、今も昔もそう言ったセンシティブな問題はずっとあったわけだしいきなりそんなことできるわけないか。


「なんですかその希望潰えたみたいな顔は。はぁ。それに女性寮はこういった鍵穴のドアのほかにカードリーダーが付いてますので審査が通っても基本的に担当の人の部屋しか行くことができませんよ」


「もうわかった。おれ、別に医療班に転属しようとか思っていないからそんなに言わんでいいよ」


「?。わかりました。あら?。いつの間にもう鍋が空っぽになってる。私と話していたのにどうやって食べていたんですか?」


「それは乃々葉が俺の顔しか見てないからだよ」


「////」


俺が決め顔でそういうと乃々葉は顔を赤らめながらそっぽを向いた。その後食べ終わった鍋や食器を洗い、軽く一緒にテレビを見ていた。そのテレビに映っていたのは何気ない港町の取材映像であり、番組はずっとほんわかした感じで進行していた。


「もうそろそろ私は帰るね。今日は事前に言わなかったけど今度からくるときは連絡するね」


「おう。そうしてくれ。家に勝手に人がいるのって結構怖いからさ。じゃ気を付けて帰ってな」


「うん。じゃあね!」


そう言って乃々葉は使い終わった鍋を持って帰っていった。すると奇をてらっていたかのようなタイミングで凉から連絡が来た。その内容はあたりさわりのないいつもの(付き合い始めてからするようになった恒例のやつで主に訓練の様子やかわいらしい服を着た写真など)であった。


返事をした後に俺は軽く体を鍛えた後にゆっくりを風呂に入り、その後特にすることとかなかったのでテツテツに挨拶をして寝た。


=====

朝、今日も今日とて訓練。任務や緊急で出動する日以外は普通に訓練をしている。入隊してから訓練ばかりであり、慣れてきた俺としてはもうすることとかない・・・。


「・・・しっかり走れ!。鷹島!そんなへにょへにょだと死ぬぞ!」


「はい!」


「おいおい、なんだ疲れてきたのか?。それともわざとそうやって疲れたアピールをして走りたいのか?」


「いえ。滅相もございません!」


なんて思っていたこの頃。いつ緊急で任務に出るかわからないのでこうして訓練を常に行っている。ああ、癒しが欲しい。


訓練はただ走って体力をつけるばかりではない。俺の場合は接近戦を行うのでそれに伴った近接戦(武器無し)の体術なんかも訓練している。


「菊池さん。お願いします!」


「おう!。力みすぎるなよ!」


格闘戦を想定した模擬儀戦などをして互いに高めあっていくこともざらではない。階級による区別はなく往々にして自分より階級が高い隊員とも当たることがあるし、ここでは男女による区別もない。


「戦いにおいて女だからと言って手を抜くやつは見習いだからな!」


「わかりました。全力で挑ましていただきます」


そんなこんなで俺の近接戦(武器無し←ここ重要)の戦歴はと言うと・・・


(教官①)「まぁなんだ強くはなってきているが、うん。伸びしろはあるから精進しろよ」


(教官②)「そうだな。初めに比べたら長く戦えるようになっているな」


(教官③)「刀があれば、もうほぼ負けることないのだが・・・CQCをもう一度一から学んでみたらどうだ」


とまあ、すばらしいものではあまりなかったのであった。刀があれば全員にほぼ勝てるというのに。


=====


「はぁ」


「どうしたのよ。最近なんかあまり調子がよくなさそうだね」


「ああ、凉か。聞いてくれよ。最近あんまり強くなってない気がするんだよ。もう俺の限界はこの辺なのかなぁ」


ある日の休憩の時間。俺は一人食堂で飯を食べていると横に凉が話してきた。


「そんなことないよ!。春久君はこれからもっと成長できるよ!」


「どうかなぁ?。凉のほうはすごいじゃん。最近調子がいいのかめっちゃ銃の精度が上がってきてるじゃん」


「そ、そうかな~。あたしもほかの人たちに追い付こうってひたすらに頑張っているだけだよ」


「そっか。俺もしているんだけどな。と言うか聞いてくれよ!。CQCでの対戦相手が軒並み俺より強いんだけどいっつもなんかねじ伏せられるんだけど」


俺は凉に少し当たってしまうような感じで話しかけていた。うまくいかないことをこうして当たってしまうのはよくないと頭ではわかっていても俺にはどうすることもできないのだった。そんなふてくされている俺に対して凉は優しく話しかけてくる。


「う~ん。そうだね。まじであたしはこういう近接戦に対してなんもわかんないんだけど、春久君の戦っている映像の記録を見た時にあたし、思ったんだけど」


「うん」


「むやみに突っ張っていくからだめなんじゃない?。特にさ、これ。春久君は相手の懐をめがけているけど軽くいなされて負けてるよね」


凉は俺が依然送った動画を見せながらそう言った。確かにそうかもしれない。刀とは勝手が違うし、俺はとりあえず相手の無防備そうなところを狙っていた節があった。


「んじゃあどうしろってんだ?」


「う~ん。あたしに言われても・・・。とりあえずほかの人の動きを参考にしてみたらどう?。あたしもそうしてきたからうまくなってきたし。動きを完コピとはいかないけどそれに近しいことを目指してみたら?」


「わかった。今度やって見るな。ありがと!」


「お礼を言うのはまだ早いんじゃない?。うまくいってからあたしに言ってよね!。ご褒美付きで!。じゃあね!」


凉はそういうと笑顔でどこかに行ってしまった。そして俺は凉の言う通りにしていろんな人たちの動きを見て学んでいった。来る日も来る日も訓練の中で戦っている人たちの動きを見ていった。突っ込んでいくのを軽くいなしていたり、周りによく見配せをしていたり、とにかくできる限りの今できる学べそうなものを覚えていった。


そして実験の成果を試すときが来た。あれから何回か試行錯誤して戦ってきたが前よりかは戦えて来ているような気がしていた。


「それじゃ今回も全力でかかって来いよ!」


「はい。菊池さん。前とは違うとこをよく見ていてください!」


そうして俺は茂木線を開始した。菊池さんも前線の近接戦をしているからか、とても体の使い方がうまい。俺と同じで非能力者であるから一層たくさん訓練してきたそうだ。しかし俺は今回そのうまい体の使い方を逆手に取る。


「おっ!」


瞬間、菊池さんの左からの攻撃を俺はその腕をあえて防御せずに最小限の動きで避けた後にその腕を取りそのまま倒した。


「やめ!」


教官からの合図で俺たちはそこで終わり、菊池さんが話してきた。


「鷹島!。今のはよかったぞ!。まさかあそこで避けてくるとは思ってなかった。今回は俺の負けだな。ただ次は負けないからな!」


「ありがとうございます。俺も負けませんから」


そう言って俺たちは互いに手をかわし、後ろに引いた。その後も何度かほかの人と手合わせをして勝利のほうが多く残った。


=====

そしてその日の夜。俺は早速今日のあった出来事をメールで凉に伝えた。この湧き上がる喜びをすぐに伝えたかった。


春久:聞いてくれ!。今日なんと俺、菊池さんと戦って勝ったんだよ!。涼のいう通りにめちゃくちゃやって見たらうまくいった。ありがとう!サンクス。既読


俺は既読がすぐについて内心すごく心臓がバクバクしていたがそのすぐに電話がかかってきた。


「おめでと~~!。さすが春久君だね。よくやった。そしてそれを教えたあたしもよくやった!」


「ほんとだよ!。まぁ偶然だったかもしれないがあの時すごく体が自然と動いたんだよ」


「へぇ~。よかったじゃん。まぁとりあえずおめでとうね。でもこれからも続けていくんだよ」


携帯越しからも伝わってくるこの凉の特徴的な声。きっと画面の奥ではニマニマしてそうだなとか考えていた。そしてそのまま俺たちは小一時間くらい電話をして夜を過ごしていった。



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