第二十二話:空飛ぶ?ニワトリ隊!
どうも井中です。時間があるときにでもゆっくりと読んでくださると幸いです。
空を舞っている二体の白いアングヴィスはそれぞれウナギのように泳いでいて近寄ってみると鱗のようなものがたくさんあった。そしてその鱗も非常に大きく刀や銃弾が通じるのかわからないくらい硬そうに輝いていた。
「ねぇ?。春久君。近寄ってみたのはいいんだけどこの後どうするの?。なんかこいつめっちゃ堅そうなんですけど」
「とりあえず試しに一発撃ってみたら?。それ次第だな。もし変なことがあって落ちていっても、地上のほうは相棒が何とかするらしいから俺たちはできることをするしかないんじゃない?」
「それもそっか。わかった。もし攻撃されそうになったらちゃんと避けるのよ」
俺たちは一度アングヴィスから離れて話をした後、凉は持っていたスナイパーライフルを座って構えた。その姿は勇ましくとても様になっていた。惚れそう。
「じゃあ撃つよ」
そういうと凉は引き金を引いた。するとすごい轟音があたりに響き空気が振動しているようであった。反動もすごそうであったが凉は何ともなさそうな顔をして撃たれた反応をうかがっていた。そして着弾したのかアングヴィスから呻きの咆哮が響いてきた。
「!!。おお、ちゃんと効果はあったっぽいな!」
「そうだね。手持ちの弾数は十数発分しかないから無くなったらあたしは一度降りてから補充するね」
「了解。・・・とりあえず二体ともこっちに気づいたのかこっちを見てる。なんか口から光線が出そうな構えしているんだけど・・・」
その瞬間命の危険を感じ、俺たちはとっさに横に移動をすると元居た場所には強烈な音とともに青白い線が空間を引き裂くように伸びていた。光線が消えた後俺の体は尋常ではないほどの鳥肌が立っていた。
「い、いや~。やばかったね。あ、あんなのを殲滅しようとしてるの?。無理じゃない?」
「俺もそう思った。ああ、今日が命日かな。空が墓場なんてロマンチックだな」
「そうだね。」
俺たちの顔も蒼白としていたが突如耳につけていた無線から声が聞こえてきた。
「おい!。何をぼーっとしている!。まだ始まったばかりだろ!。気合を入れてけ!。下から見えてるからな!。もう少しで航空隊も着くそうだから頑張ってくれ!」
地上のほうにいる相棒から喝を入れるような声が聞こえてきた声が聞こえたことにより任務を思い出し少し冷静に戻った。現実逃避をしてる場合じゃなかった。冷静になるとなぜ下から俺たちが見えるのかも疑問ななったが考えているとなお思考が鮮明になっていくのが感じられた。
「もうすぐっていつなのよ。はぁ、ほんとなんかいい加減な人だね千楽寺隊長って」
「そうだな。でもいざとなったら頼りになるんだからそれまでは俺たちも頑張んないとな」
「そうね!。じゃ、あたしは引き続き後ろから援護するから隙を見て近寄ってその刀で切り刻んできてね」
俺はうなずいた後目くばせをしてからアングヴィスに近寄ろうと試みた。凉の射線に入らないように迂回をしつつ、二匹を引きはがそうとした。後ろの方では大きな二つの音が聞こえていた。
「凉が一体引き付けているんだから俺もこっちを何とかしないとな」
もう一体のほうは涼のほうに向かおうとしていたので俺は腹の下から接近をして顔の前に飛び出し鼻に飛び乗り、眼球をめがけて刀を突きだした。
「天音太刀剣術が一つ:穿画点!」
剣先は見事に眼球に突き刺さり、引き抜くと同時に透明の水のような液体が勢いよく吹き出てきた。アングヴィスは片目をつぶたれたことにより咆哮を上げ、ひどくうねっていた。俺は鼻から降りて円盤に飛び乗るとアングヴィスは背中に生えていた鱗を俺にめがけて飛ばしてきた。
「うぉっ!。危ないな!」
追尾してくる鱗を俺は避けるだけで精いっぱいだった。ああ、旋回や一回転ができればこんなの巻けれたかもしれないのに。ふとそんなことを思ったのもつかの間、一つアイディアが浮かんだ。
「おれ、刀があるしこれで切ればいいんじゃ?」
飛んでくる鱗をハエを叩き落とすがごとくぶった切っていった。以前相棒と飛んでくる弾丸を切る練習を思い出し以外にもすんなり全部叩き落せた。真っ二つにされ地上にひらひらと落ちていくのが見えるが相棒が何とかするだろう。
「またこっちに光線を!このままじゃ下の街まで被害が!」
鱗を落としたのもつかの間アングヴィスは下のほうにいるおれにめがけて大きく口を開けて青白い光をためていた。まずいと思い俺は急上昇を急いで試みた。
「クソッ!。高度が!足りない!」
凉に助けをもとめようとしたがそんな時間もなかった。避けることだけなら可能であるがこのままでは地上のほうに飛んで行ってしまう。俺は覚悟を決めて一か八か光線を切ろうとした。そしてアングヴィスが口を閉じ攻撃をしようとした瞬間、周りの時間が遅くなるような感覚に包まれた。そしてどこから飛んできたのかわからない謎の物体がアングヴィスの体を貫いていくのが見えた。
「!?」
再び周りの時間が元に戻ったと思ったら先ほどまで対峙していたアングヴィスが貫かれたところから大量の液体を噴き出して森のほうに落ちていった。そして無線からはか弱そうな声が聞こえてきた。
「ただいま、参りました。ああ、ええっと~・・・航空隊所属、ニワトリ隊の戦隊長の渡良瀬阿澄と言います」
今にも消え入りそうな怯えているような声が鼓膜を震わせてきた。そして気づいたら横に見たこともないような白い戦闘機が止まっていた。
「うわぁ!。びっくりした!」
「すみません。驚かすつもりでは、なかった、のですが、ははは。」
コックピットが開き、中から想像通りの幸が薄そうな女性が乗っていた。乾いた笑い声とその哀愁さがどこか悲壮感を高めていた。
「いまあなたの、お仲間も、私の友達が、あの怪物を引き付けているので、地上のほうに降りてもらっています。ですのであなたもひとまず降りていてくださいますか?」
「ああ、そうなんですね。・・・わかりました。少しの間任せてもいいですか?」
俺がそういうと渡良瀬と名乗った女性はこくんとうなずきそのまま飛び去って行った。俺は降下しながら凉がさっきまで戦っていたほうのやつと三機の戦闘機が戦っているのをぼーっと眺めていた。その姿はゲームやアニメでしか見たこともないような動きをしていて、よく見えない攻撃でアングヴィスにダメージを負わせているようであった。
「あっ。戻ってきた。大丈夫だった??」
「ん?。まぁ平気だ。どこも怪我してない」
そう言い、凉のほうを見ると体中が刃物で切られたような跡と血が流れていた。
「!?。凉こそ大丈夫なのか!!。そんな血が・・・」
「うん。大丈夫。ちょっとへましただけだから気にしないで」
「そんなこと言われても。とりあえず応急処置とかしないと。なんかないのか?」
そう言って飛ぶ前に置いていったバッグの中に何かないか探すと案の定救急キットみたいなものが入っていた。相棒に心の中で感謝を伝えつつ、急いで出血を抑えて、包帯や絆創膏などで止血をした。
「ありがとうね。さすがあたしの彼氏!。頼りになるね!」
「はぁ、傷をふさいだからってすぐそう茶化す。ひとまずあの人たちも戦ってくれていることだし休憩しがてら相棒に状況を連絡しよう」
凉は元気よく返事をし、俺は無線を使って相棒に連絡しようとしたが使い方が分かんなかったので普通に電話を掛けた。
「もしもし?。相棒?」
「なんだね急に。あれだろ例の部隊が到着して、墨坪が怪我したから応急処置をして、とりあえず連絡しておこうって考えているだろ。電話越しでもわかるからな」
スピーカーモードで聞いていた俺たちは考えていたことが当てられて、顔を見合わせて軽く笑った。もういい加減になれてきた。
「それで要件はなんだ?。こっちは少し大変なんだよ。空から大量の鱗が飛んでくるわ、近くの森に一体落ちてくるわで街中が混乱しているんだよ。幸い俺が建物に当たらないように細工をしているけど道路が鱗だらけで身動きが取りずらいんだ」
「ああ。なんかすみません。きっと上のほうで戦っているからですね。とりあえず住民は別の空間にでも避難させたりとかできないんですか?」
「それは俺にはできない。劣化版みたいなのしか発動できないしそもそも10%の力ではもうこれ以上は限界だ。それでほんとに何の用なんだ?」
「いや、特にないですね。一応連絡しておこうと思っただけです」
俺がそういうと相棒は一言、「そうか、じゃ引き続き頑張ってくれ」とだけ言って電話が切れた。なんかとても大変そうな相棒に俺たちは休んでいる事実になんだか申し訳なくなってきていた。
「もうそろそろしたらあの人たちの援護をしに行こうよ」
「そうしたいけど、あれを見てよ」
俺は上に指をさし戦っている様子を凉にも見せた。戦闘機は目でとらえることはできるがとてもじゃないが加勢できるような感じではなかった。今の戦闘機は物理法則を無視したような動きをしており、時々姿が見えない。
「確かに無理そうだね・・・。そう言えば春久君が戦ってた方ってどうなったのかな?。なんか体を尽き破かれてから森のほうに落ちて行ったけど」
「確かに落ちていった後から見てないな。倒されたんじゃない。普通体を貫かれたら死ぬし」
「確かにねw。あれで生きてたらやばいもんね」
「ーーーーー!!」
俺は少し楽観的に貫かれたジェスチャーをしながら言うと凉もそれを見て笑いながら言うと森のほうから咆哮が聞こえてきた。耳を震わすようなけたたましい声が届き、下から赤黒い光線が飛び、戦っていた一機が撃ち落された。
「「!!!」」
落ちていく戦闘機はそのまま空中で爆破してしまい、その光景に俺たちは茫然としていた。先ほどまで見ていた青白い光線から赤い禍々しい光線になっていた。そして森のほうから出てきた姿は先ほどとは違っており、頭部には角が生え、体長も大きくなっていて邪龍という言葉が似合うほど体色も黒くなっていた。
「あ!あのき、聞こえていますか!?。さっきの攻撃で私の仲間が!。下からの攻撃で、や、やられちゃった!。助けてください~!!」
青空が次第に赤く染まっていき、異常な光景が広がりつつあり、耳には軽快なSOSのモールス信号が鳴り響いていた。
「今からそちらに二人の頼れる仲間を送る。それまでどうにか耐えてほしい。春棒、墨坪。頼んだぞ」
「わ、わかりましらっ!ひゃあ!!。もう帰りたいよ~」
相棒は無線から会話に入ってきたかと思えばまさかの俺たちに丸投げをしてきた。相棒の声がやたらと焦りが含まれていたから地上は混乱しているだろうし、渡良瀬さんは無線を切り忘れているのか悲鳴の声と泣き声みたいのが聞こえてきた。
「早くいこう!。そうしないとせっかく助けてくれたのにみんな死んじゃう!」
「ああ!、そうだな。急いでいくぞ!」
それだけ言うと俺たちは再び円盤に乗って戦場へと戻っていった。まだ昼頃だというのにあたりは夕焼けのように赤く染まっていた。




