第十八話:モテキが俺にも来たのだろうか?
俺は今自分の部屋で寝ていた。どうやら先日終わった合同作戦のあと息を引き取るかのように眠ってしまっていたらしく、治療をしてもらった後も爆睡であり、自室に運んだ。と説明をしてくれた。
え、誰が説明したのかって?。もちろん乃々葉である。もう我が物顔で常に居座っている。いやかわいいから別にいいんだがここ一応女性禁制ですからね。そんなことを俺は考えていた。
「あ、この後俺、山風指揮官に呼ばれているので部屋を開けますね。もしここにまだ残っているなら予備キーとか置いておくので帰るとき戸締りお願いしますね」
「はーい。わかりました!。ではお気をつけてくださいね」
乃々葉は元気よく返事をして手を振って俺のことを見送った。健気だな~と思った。そして俺は山風指揮官が濃いといった場所に向かって行った。
「失礼します。鷹島到着しました。今日は何の御用件ですか?ん?」
何の要件か気になり尋ねると横には見覚えのある人がいた。
「先日ぶりですね。鷹島さん。体のほうは大丈夫そうですか?」
朗らかな笑顔を向けてきた白浜警部が立っており、その横には娘らしき人が立っていた。すると山風指揮官がどうして今日俺をここに呼んだのかを説明した。
「まずは鷹島。先日のZLKの作戦の件、大義である。さぞ大変であったと思っているがしっかりと与えられた任務をこなせて立派に思う。でだ、今日はそのお礼のあいさつを白浜警部さん方が直々にお伝えしたいとのことであったのでこうして呼ばせていただいた」
厳かな雰囲気で話してはいるものの、その語気はとても柔らかなものであり表情もよくやったといわんばかりのどや顔であった。
「山風さんの言ってくれた通りです。本当にありがとうございます。こうして娘と再会できたのも鷹島さんのおかげです」
深々と頭を何度も下げてお礼をしてくれ、俺も慣れていないので"いえいえそんな”などと謙遜していた。
「ほら、友里。お前もお礼を言いなさい。命の恩人なのだから」
父に催促をされ、うなずき言う。
「本当にありがとう。助けてくれて。でもあの時私の裸を見たでしょ」
感謝を述べたのもつかの間自分の裸を見られたのを気にしているのだろう。俺にクールな顔のままで詰め寄ってきた。白浜警部もそんなことを言うとは思っていなかったのか”なんてことを言っているんだ!命の恩人に!”と小声で言っていたが友里さんはそんなことを気にも留めずに言い続けた。
「ちゃ、ちゃんと思えておいてね。私が高校卒業した後に迎えに行くから」
「へ?」
思っていたことと違って面食らっている俺に比べ、友里さんは表情は変わらずクールであったが仄かに顔が赤くなっていた。それを聞いて、山風指揮官はにやにやとして、白浜警部はひとまず安堵の顔をしていた。
「じゃあ、お父さん。私、この後塾があるから先に帰っているね」
再びクールな顔に戻り、部屋を出で行った。そして俺の横を通るときに小さな声で耳打ちをした。
「ちゃんと待っててね」
初めてそんなことをされたので俺は背筋が震え、心が絆されそうになった。
「では要件は異常でしょうか。この後相棒…千楽寺隊長に鍛えてやるって呼ばれているんで、」
「いや、もう少しだけある。、というかここからが本当の要件だ。鷹島だけあの後、どうなったかを知らせていなかったのでね。伝えようと思う」
本当の要件?あの後のこと?確かに俺は眠っていたから何も知らないがどうせ相棒が能力で治療したんだろうなどと考えていたが山風指揮官から出た言葉は俺の予想を裏切ってきた。
「あの日あそこで戦ってた墨坪と保良柳を除いたすべての警察官が殉職した」
「え」
嘘だよね。山風指揮官はさすがに噓を言っているよね。そんなことを言ったって・・・
「で、でもあ、あの時相棒が!、全員助けたんじゃないんですか?」
「・・・さすがに時間が間に合わなかったのか、遺体は回収はしたが蘇生までは間に合わなかったそうだ。その中で唯一間に合ったのが保良柳だけだったんだよ」
では結局俺は大勢の人が救えなかったってことなのか。俺は自分の中でもっと早く決着をつければとかあの時ああしていればよかった、なんかが渦巻いて響いていた。
「・・・鷹島、それでも私は!・・・っ白浜警部」
「ここからは私が話そう。鷹島君」
白浜警部が何やら言っている。ただ、いまの俺には何も聞こえていないような感じがしている。周りの音が雑音でしか聞こえなく、あるのはそうただ救うことのできなかった自分の無力さを呪う声だけだった。
「鷹島君!」
するとうだうだしていた俺を見かねたのか白浜警部は俺の頬をめがけて平手打ちをかました。ぶたれた部分はじんじんと赤くなり、意識が引き込まれていく感じがした。
「鷹島君!。私の話を聞いてほしい。確かに君は大勢の私の部下をすくうことができなかった、それでも、君は今できるあそこで唯一自分にできることを精一杯成したのだ。そして捕まっていた人質を助け出すことに成功したんだよ!」
「それでも多くの人を救えなかったのは俺が未熟だったからd・・・」
「違う!。そうではないんだ!。あの時あそこにいた警官たちも人質を救いたい!ってことを第一に考えていた。あそこにいた者たちは自らの命が無くなってしまうことを覚悟で立ち向かっていったんだ。それを救うことができなかったなんて言わないでほしい。それはある意味で彼らの覚悟を踏みにじっていることと同じだ。それに彼らも人質を救うことができて満足そうにして成仏していった」
「え」
その言葉を聞いた瞬間、俺は頭がこんがらがりそうになった。死者がどんな気持ちで成仏していったかが分かるのか?そんなことができるはずがない。
「最後、先に脱出していた警察の方が死者の声を聴くことができる能力でな。気持ちを代弁していってくれたそうだ」
山風指揮官がそう口を挟むと白浜警部が”私が話しているのに・・”みたいな表情で続けて言った。
「そういうことだ。鷹島君があの時救うことの出来無かった者たちは君に怨念を残すでもなく、ただ救うことができた喜びと、君に感謝の旨を言っていたよ」
「そんな、俺なんかが、救うことができなかったのに」
「だからそんなに気に病まないでほしい。それでも君がまだ病んでいるというなら、あの日以上に強くなって皆を救えるようになればいいさ」
そう言って励ましてくれる白浜警部は俺の肩をそっとたたいて慰めていくれた。叩かれているその手から伝わってくる熱はあの日の熱よりも冷えていて心地よかった。
「で、だ。もう一つ話があって。これが最後だ。あの日にいたZLKの件で聞きたいのだがいいか」
山風指揮官は少しナイーブになっているのにもかかわらずお構いなしで次の話題を聞いてくる。もう少しだけ落ち着かせてほしいですよ。白浜警部もなんだか困惑している表情ですし。
「・・・まぁいいですよ。山風指揮官はいつもそんな感じですもんね。それで何が知りたいのですか」
「鷹島に聞く前にも千楽寺や東雲に聞いたんだが、あの施設に新生物らしき生物がいたといっていたんだが、そのことについて何か知らないか?」
「ああ~、あのカマキリみたいなやつですね。口からガスを出していて、くさかったですね」
あのガスは人の口から出てくるような臭さがあって、気分はよくなかった。実際切り倒したとき切り口からも臭いが漏れ出ていて腐敗臭っぽかったのを覚えている。
「そうか。聞いた話によるとあそこの施設には使われていない部屋みたいなのがあったりしていたから、やはり人体実験でもしていた可能性があるな」
「そうですね。私たち警察も今までの行方不明者たちとの関係を調べていますが、何分あそこの施設は崩落してしまいましたし、この先の調査は難航するかと思います」
「わかりました。あまりお役に立てたかはわかりませんけど。もう俺は大丈夫そうですか」
俺がそういうと山風指揮官が「ああ、ありがとう。下がっていいぞ」といった。そして俺は部屋を出て、呼ばれている部屋に行った。
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相棒の特訓が終わった後、俺の体はバキバキになっており、辛かった。いや、泣き言を言っている場合ではないな。山風指揮官から連絡でしばらくの休暇を与えられているのでこの機会にもっと鍛えておかないとな。
部屋に戻るとさすがにもう乃々葉はいなくなっていた。机には手紙が置いてあり、
「冷蔵庫に今日の晩御飯を作って入れておきました。食べてくださいね(^▽^)/」
と書かれていた。何が作られているのか気になり、見てみると肉じゃがが入っていた。とてもおいしそうだな。おいしそうな見た目にくぎ付けになっていたらメールが届いた。
「ん?。墨坪から連絡が来ている?。珍しいな。というか私用では初めての連絡だな。ふんふん、何々?・・・え」
俺は届いた連絡を見た瞬間に驚いた。その文は俺をお出かけに誘う文章であった。
「明日、いっしょにでかけない?」既読
たったこれだけしか書かれていなかったがその文からはとても恥ずかしかったのか、緊張して送ったのが分かった。ただどうしよう。明日も訓練して鍛えようと思っていたんだが・・・まぁこんな機会はもうないかもしれないし、初めて女の子からのお誘いだし断るのもあれだし行こうかな。
頭の中では驚嘆20%、不安10%、歓喜70%であって俺は意外にも喜んでいるようであった。そして俺は承諾の連絡を入れて、今日を終えた。墨坪から送られたメールが嬉しすぎて、夕食のご飯の味が普通においしい意外に感想が出なかった。




