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第十六話:運命の破壊者

次で合同作戦の話は終わらせます。

戦闘が始まり、数分が経過した。鷹島春久率いる親衛隊は大勢のZLKの戦闘員や人間サイズのカマキリみたいなのに囲まれていた。


「・・・こんな囲まれた状況でどうすればいいんですか。俺たちもう終わりなんですか。」


「馬鹿なことを言うな!。あきらめないで体制を立て直してくれ!」


「ああ、なんだか。死んだおばあちゃんが見えるなぁ。うちももうすぐ行くからね」


「正気を保て、カマキリから出てるガスをなるべく吸うな」


なぜこんなことになったかというとこの数分前・・・

=====

「このまま囲まれていては、どうにもならない。俺の能力を使って一掃しようにも数が多いし、君たちにも影響が出かねない」


「いまは盾持ちの子に耐えてもらうしかないですね」


相棒は少し疲れたように言い、香熾さんは心配そうに話した。それに白浜警部も同調するようにうなずいた。


現在のこちらの状況は非常にまずい状況であった。敵に完全に包囲されて全方位から銃を撃たれていて防御することしかできない状態であり、動けずにいた。そこで俺はある一つの提案をした。


「あの俺に一つ提案があるんですが、聞いてもらえますか?」


「ん、なんだとりあえず言ってみてくれ」


「このまま中央で防衛しているだけでは、いずれ押されてしまうかもしれません。なので俺がいっそのこと突破口を開いて外側の敵を追い込んでいこうとおもんですがどうでしょうか」


言葉だけではいまいち伝わらないような気がしていたが、案の定よくわかっていなそうであった。


「ごめんなさい。鷹島君。何を伝えたいのかいまいちピンと来ていないわ」


「すまない。私も何をおっしゃっているのかわからん」


分かってはいたが実際に言われると、少し傷つく。はぁ、こんなことならしっかりと会話の練習をしておけばよかったな。そんなことを考えていると相棒が何かわかったかのように少しはしゃいでいた。


「!!!。なるほどそういうことか!。確かにそれならいけるかもしれない」


周りの人たちは先ほどと同様に頭にはてなが浮いていた。


「?。千楽寺君。何が分かったのかしら?」


「相棒の考えていることだよ。確かに説明するのは難しいなこれは。・・・よしこの考えてあることをそのまま一人一人の脳内に直接見せるわ。」


そう言って相棒は軽く地面を触った。するとその手から青白い無数の線が出てきて一人一人の体に吸い込まれていった。すると考えていたことが伝わったのか、全員わかったかのような表情をした。


「!。なるほどこれならいけるかもしれないな」


「そうですよね。ただ鷹島君一人ではさすがにこの量の相手はさばききれないと思いますので、誰かほかの人が護衛に着いたほうがいいですね」


香熾さんがそういうと親衛隊の人たちが勢いよく名乗りを上げた。


「そういうことでしたら俺たちに任せてください。先ほども一緒に戦いましたし、多少の激しい動きにもついていけます。」


「そうですね。春久隊長の周りを囲うように護衛していれば大丈夫だと思います」


親衛隊の2号、3号、5号は盾を構えなおし、三人からは燃えるようなすごいやる気を感じた。


「では俺と三人で敵陣に穴をあけて左右に分断するように陽動してきます」


そう言って俺たちは分隊から離れた。


「では私たちも提案道理に後ろに下がりつつ、場所を確保しに向かいましょう」


「そうですね。眠らした方たちはこちらのほうで捕まえておきます」


「では俺はカマキリっぽい新生物を倒しておきます。」


そして各々自分のするべき担当を始めた。

=====

「のこのことやってきたあほどもが来たぞ!!。盾が壊れるまで打ち続けろ!!。!?グワァァ」


「おい!気を抜いているんじゃねーぞ。味方を撃つんじゃないぞ」


敵もこの陽動作戦に戸惑っているのか少しずつ形成が逆転していっている。こちらも早めに行動しなくては!。


「親衛隊!。もう少しだぞ!。相棒や香熾さんたちも徐々に盛り返してくれている」


「そうですよね。ここであきらめるわけにはいけませんよね」


「よし。春久隊長!我々が護衛しますので敵のカマキリを一掃してください。銃弾は当たらないように身を挺して守ります。」


3号がそういうと他二人もうなずいた。


「・・・わかった。じゃあちゃんと俺についてきなよ!」


そう言って俺は刀を引き抜き、人は切らないように細心の注意を払いつつ、新生物を殲滅していった。


「!?。こちらに走ってくるぞ。撃て!!撃て!!!」


「そうはさせないよ。隊長を倒したかったらうちらを倒しな!」


「だな!同意だ」


「ありがとう。2号。3号」


俺は敵の間をかいくぐり新生物にめがけて刀を振り続けた。


「天音太刀剣術が一つ:幻撃(げんげき)!」


その瞬間あんなにたくさんいたカマキリっぽい新生物は腕と足が切られそのまま灰のようになり、消えて行った。


陽動の作戦が功を奏したのか、初めの状態から逆転し敵を方位するほどまでに形勢を盛り返した


「よくやった。鷹島君。我々もこれで幾分か戦いやすくなった。さて、私も本腰を入れるかな」


白浜警部はそういうと全体に指示を出した。


「この場にいる全隊員に告げる。すでに形成は逆転した。今こそ一斉に捕まえるとき。かかれ!」


合図とともに前衛の盾持ちの警察官は敵を押し込めるように距離を詰めて、手際よく手錠をかけて行った。


ついにこの場すべてのZLKの敵を確保し、新生物をかたずけた。


「ようやくこの場は収まりましたね。結局最初に見たあの消えた男は見当たりませんでしたけど」


「そうだな。あの気色の悪いような雰囲気を醸し出した、超絶気持ちの悪い顔のやつな。名前も名乗って行かなかったし結局何がしたかったんだ」


相棒は神妙な面持ちで罵詈雑言を言っていた。少し顔は見えていたがそこまで不細工ではなかった気がするんだけれども。


「とりあえず、捕まえたZLKの工作員と思わしき奴らは私たちが外に連れて行っておきます」


「ああ、頼んだ。あと先ほど戦っている間に人質を保護したとの連絡があったから、合流して待機しておいてくれ」


「?。あれ人質を探していた人たちはやられたんじゃないんですか?。そうじゃないとあの時の連絡はどうしてきたんですか」


「ああ、それはな。・・純粋に携帯を落としたらしい。その携帯でアイツはこちらにうその連絡をしてまんまと騙されたってわけだ」


乾いた笑いを上げた白浜警部見て、俺たちも乾いた笑いしか出なかった。まぁ結果として何とか窮地を脱したから良しとしよう。


「そういえば鷹島君?。墨坪さんたちのところから連絡は来ていないのかしら。随分と時間がかかってしまっているわけですし」


俺は確かにと思い、メッセージを開いて連絡が来ていたのを見つけた。


「どうやら、15分前に連絡が来ています。どれどれ。・・・・・え」


「ん?どうかしたのか」


俺のところに来ていた連絡は


「たすけて」


読み上げた瞬間、建物がすごい轟音を立てあたりで火災報知機が鳴り響いた。


「な、何が起こっているのだ。」


「白浜警部!!。廊下に火の手が回ってきています。早く脱出を!!」


「だが、まだ、まだ人質が一人残っておる。その子を!うちの娘を救うまでは私は帰れない!」


「白浜警部!そんなこと言っている場合ではないです。いま他の人たちが避難経路を確保してくれたそうです。早くしないと我々は皆火達磨(ひだるま)ですよ」


「しかし、しか、し」


白浜警部からは諦められない気持ちが溢れていた。すると相棒が言う。


「心配しないでください。あなたの娘さんは必ず救って帰ることをこの鷹島春久が保証します」


「え、ちょっと何を言っているんですか。千楽寺隊長!!。」


とっさのことで俺は頭が混乱してしまった。香熾さんも同じことを思っていたのか抗議してくれた。


「千楽寺君こんな時にそんなことを言っている場合ではないですよ。下手をしたら鷹島君が死んでしまうかもしれないでしょ」


言葉からは怒りが混ざっていた。それもそうだろう。俺自身もなぜ俺なのかは気になった。


「いや。ここで俺は何度も失敗を繰り返してきた。能力はジャミングされているのか使えないし、かといって複数人で言ったら、死傷者が出る。今までの世界で成し遂げられなかったことはもう相棒に、()()に任せようと決めていたんだ。頼めるよな。」


そう言って、千楽寺隊長は俺に言ってきた。ああ、そうか今こそさっき言っていたことなのだろう。俺は覚悟を決めて言う。


「了解です。迅速に人質の救助と墨坪たちの援護に回ります。ですので千楽寺隊長たちは先に外に脱出していてください」


「ああ、わかった。もう時間もない。ほんとに頼んだぞ」


千楽寺隊長と香熾さんは”信じているぞ”という言葉を残して白浜警部を含むこの場にいた全隊員と一緒に避難を開始した。そして去り際に白浜警部が希望を託すかのように少し涙ぐみながら言った。


「あとは頼みました。鷹島君。私の娘、友里を救ってください」


俺はその言葉に一回うなずき、駆け足で部屋を飛び出した。

~~~

あたりには火が回っていて所々崩壊してきているところもあった。


『クソ!酸素がなくなってしまう前に何とか墨坪たちがいるところに行かなくては・・・』


『何かとても困っていそうだな。小僧』


『テツテツ!。何だいたのか。そうなんだよ困っているんだ。人の気配とかって探れるか?』


視界がないのでどだい無理やろと思って聞いてみたが帰ってきた反応はうれしい形で裏切ってくれた。


『相変わらず言葉遣いが悪いの。まぁ人の気配は探るのは今のわしの状態では無理じゃ。だが焔の発生源は感じ取れる。急いでいそうだから特別に教えてやろう』


そう言うと直接脳内で居場所の指示が聞こえてきた。指示通りに行くと一つのおおきな扉があった。


『ありがとう、テツテツ。今度してほしいことだったら何でも聞くわ』


『ああ、期待しているぞ。小僧よ』


そうまんざらでもなさそうな声で言って、テツテツは静かにフェードアウトしていった。


そして俺は勢いよく扉を開いた。すると中には大きなカプセルがあり、人が入っていた。そして床には大勢の隊員が倒れていた。そして目の前では墨坪が跪いており、二人の女が墨坪の目の前で立っていた。


「ん?だれか入ってきたわ。ほら墨坪あなたのお仲間ではないんですか」


そう言うと二人は高笑いした。こちらを振り向いた墨坪には表現しがたいほどの絶望しきったハイライトのない目がこちらを見ていた。


「よう、や、く来た、のか、ノロマめ!。こっちは、大、変だったん、だぞ」


かろうじてまだ息があった保良柳は俺に続けて言った。


「頼り、たくは、ないが、奴を倒、してくれ」


そう言うと保良柳は糸のひもが切れたように気を失った。死んではいないようであった。


「お話は終わったかしら。どうせあなたたちはここで死ぬんだから待ってやったわ」


「ほんとほんと。あんたが来なければ墨坪さんを燃やして殺せたのに。まぁでも今から燃やしても構わないよね。あんたはそこでこいつが燃えるのを見ときなさい」


女二人が言い終わると俺の中で何かが切れる音がした。刹那俺は地面を蹴り上げ、燃やそうとしている二人に距離を詰め、鞘に入ったままぶった。


「天音太刀抜刀術が一つ:漣」


すると二人は後ろのカプセルみたいなものまで吹っ飛ばされた。俺はそんなこともお構いなしに墨坪に話しかけた。

~~~

=====

あたしの中ではそんなことは起きるとは思いもしていなかった。


すべてを燃やされた後、家に残されていた遺産で中学を過ごた。成績は良かったので高校には進学出来てはいたがあたしは一わいてこなかった度も通うことはなかった。いや家を燃やされた後も行っていないけど。


それでも施設のほうで過ごしていたあたしは、ニュースであたしの家を燃やした奴が少年院に入って、その家族は責任を問われて辞職し、自殺をしたというのを見て、当時はそうなんだ程度にしか思っていなかった。


まぁ、あたしはもぬけの殻のような状態だったし、何にも興味が湧いてこなかったな。生きる意味なんて見いだせず、ただ施設で惰眠を貪っていた。そんなあたしに転機が訪れたのは確か高校1年の冬ごろ。


学校から一本の電話が来た。それはいつも通りなんも変哲もない講演会への誘いであった。しかし担任の先生は今回はしつこく、しつこく、油物をずっと食べておまけに納豆も追加するくらい粘って言ってきた。


「今回はお前にとって代われるチャンスかもしれない。事情は少ししか知らないが俺はお前には前を向いておいてほしい。だからお願い。今回の講演会には絶対来てほしい」


あたしはついに折れて講演会に行くことにした。当日先生たちは配慮をしてくれたのか、周りの子、特にあたしのことを知っている人たちには知らさないでいてくれた。講演会自体は外で行われ、その講演は人手不足であったHPFの勧誘説明会みたいなものであった。


能力者がたくさんいる学校だし、毎年来ているそうだ。そこであたしは初めて生でHPFの人たちを見た。


そこには菊池太陽さんと桜恭輔さんと他数名の人たちがものすごく熱弁をしていた。この街を救うのがどれほど大変でどれほど誉なことなのか。巨大な壁に立ち向かっていくことはいかに勇猛で壮大であるかなどを演劇をして訴えかけていた。


そして最後にそんな自分たちにはすでに帰る場所がないということを言っていた。


だからこそ臆せずに今いる仲間と戦っていけるんだということを力説していた。


そんな言葉にあたしは心を揺れ動かされた。


すべて聞き終わった後には大勢の生徒の涙をすする声と拍手が聞こえた。あたしも例外なく泣き、今まで失っていた活力が息吹を注がれたように戻っていくのを感じた。


そこからは早かった。入隊をしようと決意をして、学校の担任の先生に電話をして入隊の手続きをお願いをしてもらった。先生も快く引き受けてもらい、いざ入隊の試験を受けたけど結果は不合格であった。


まぁ仕方ない。最低限の運動もしていなかった子がいきなり動けるわけがなかった。なのであたしは次の試験がある日まで運動を続けた。来る日も来る日も朝ランニングし、基礎体力の増えるような運動をした。


運動をしていた効果なのか、精神の状態も次第に良くなり、昔のような元気を取り戻して言った。そして再び入隊の試験の日。これまで怠ることのなかった運動の成果が出たのか、合格の封筒が届いた。


そして入隊の日いざ行ってみるとそこにはあたしと同年代くらいの一人の少年しかいなかった。あんなにいた候補生はどこなのだろうとみていたが結局一人しかいなかった。


入隊後、幾度重ねた訓練でその子のことを見ていたが、はるかに適応力が違った。単純に元の筋力に差があるのかもしれないが、それでも現役の隊員にも引けを取らないくらいに成長をしていった。


だからあたしも後れを取らないように自分も誰かの役に立てるように訓練を続けて・・・


いざ実践となったらこのざまであった。


所詮覚悟はただの覚悟であり、過去を、トラウマを払拭することはできないのだと悟った。


目の前にはあたしをひどく恨んだような眼をした女が二人。昔を思い出すなぁ~。そして手をかざされ、もう駄目だと思ったその瞬間、二人は奥へと吹き飛んで行った。


「え…」


何が起こったのだろう。あたしはうつろであった視界を正してみるとそこには、長らく待ち望んでいた姿が目に映った。


「大丈夫か墨坪。もう心配するな」


そう言った彼はあたしの頭を優しくなでていた。









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