第十一話:特殊能力テロ組織<ZLK>
相棒の読みがあっていたのか向かっている途中で招集がかかった。そのすぐに作戦室に着いたので山風指揮官は、少し驚いているようだった。作戦室の中には見られないような人たちがふんぞり返っている座っていた。
「君たちここに着くのが早くないか?」
「いや指揮官の気のせいですよ」
「墨坪たちはさすがにまだついていないようですね。というか山風指揮官。あそこに座っている人たちは誰なんですか?」
作戦室のそこそこ高そうな椅子に三人座っておりその横で護衛のような人たちがそばで立っていた。
「ああ、またあとで紹介するつもりだが、あそこにいる方たちは警察の方たちで警視庁に勤めているそうだ」
「すごくこちらを見ているような気がするんですが」
人のことをまるで精査するようにこちらを見ていて、体がこわばるように感じた。するとそのすぐに扉が開き、もう聞きなれた活発な声が聞こえてきた。
「おっ待たせしました~。特別殲滅部隊隊員、墨坪凉現着です!」
「すみません指揮官。少し遅れてしまいました。今日はどのようなご用件でしょうか?」
無邪気に入室してきた墨坪とは対照的に落ち着いた雰囲気の香熾さんが作戦室に入ってきた。
「大丈夫だ。ほぼ時間通りだ。来て早々で申し訳ないがあそこにいる千楽寺たちが座っているところに座ってくれ」
「わかりました」
「春久君たち、目の前で座っている人たちは誰なの?」
「ん?。ああなんか警察の人だってさ」
墨坪はあまり興味なさそうに「へぇ~」と言ってそのまま俺の横に座った。
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「お待たせして申し訳ありません。ただいまより人類防護部隊と警察の合同作戦の会議を行います。」
山風指揮官が淡々と挨拶を述べた。少なくとも社会経験のない俺は始まって早々この空気が張り詰まった感じに押しつぶされそうになった。
「それでは、いきなり押しかけてしまったこちらからあいさつをさせてもらう。私は警視長の緒方松夫と申します」
「同じく警視長の岩滑海です」
「私は警視正の半田稲子と申します」
それぞれが自己紹介をしてくれた。明らかに俺たちのほうが年下に見えるのに礼節を崩さないその姿勢はまさに日本警察のトップに立つ人の器であるのだろう。
緒方さんはなんだかテツテツと同じような部類の人のように感じる。60歳くらいだろうか。
岩滑さんは何だろうパッとしない感じであるが、普通のサラリーマンのような雰囲気が出でいる。緒方さんよりかは若そうに見える。
半田さんだけ女性であり、年齢は二人よりも若く見える。なんだか墨坪と同じような感じの雰囲気があるように見える。
「ではこちらも、私はこの基地で指揮官を担っている山風日向大佐であります」
事務的に淡々と名乗ったあと俺たちにその場で立てと目配せをしてきた。
「ご相伴にあずかります。私は千楽寺アケツミと申します。この部隊の隊長を務めています」
「同じく私は東雲香熾です。この部隊の副隊長を務めています」
「俺の名前は鷹島春久といいます」
「あたしの名前は墨坪凉です」
各々が名前を名乗ると警察の三方は軽く会釈をした。相棒と香熾さんは慣れているのか飄々としているが俺と墨坪は緊張からなのか声が上ずっていた。その姿を半田さんはにこにこ見ていた
「それではここからは私のほうで司会進行を務めさせていただきます。まず警視庁のお三方は今日はどのような用件でここへいらしたのですか。普段我々とはあまり交流がないのですが」
山風指揮官が少し相手に威圧的に聞いていたが、向こうのそのことをわかっているのか特に気にしていないような‥‥訂正一人を除いて特に気にしていないようだった。
「今日我々がここに来た理由はそんなに難しいことではない。単刀直入に言うと君のところの部隊を少し貸してほしいんだよ」
緒方さんが少しねちっこく言うと山風指揮官はやはりなという感じでいやそうな顔をしていた。そこに香熾さんが気になったのか質問をした。
「あのどうして私たちの部隊を選んだのでしょうか。この部隊は四人で構成されています。あまりお役に立てそうにないのですが・・・」
「それについては私のほうからご説明させていただきます。今回あなたたちのような少数精鋭の部隊にこそ頭を下げてでも頼みたいことなんです。相手がここ数年で台頭してきた特殊能力テロ組織<ZLK>というテロ組織の一部でして、とある場所で立てこもりをしているんです」
岩滑さんは一度呼吸をし直して続けて言う。
「その立てこもりしている場所が茨城県の閉鎖した特殊能力者の研究施設でして、我々はそこまで突き止め、突撃を何度か試みたのですが中の護衛の人たちに追い返されてしまいました。・・我々ではどうすることもできなかったのでこうしてお力添えをいただこうと思った次第です」
岩滑さんはそう言って少し申し訳なさそうに深々と頭を下げた。山風指揮官は考え込むようにしていると、相棒が言った。
「なるほど理解はしました。私個人としては特に問題はないですが、これは下手したら死人が出かねない件ですので少し我々だけで話すお時間を取ってもよろしいでしょうか?」
「おい。千楽寺何勝手なこと言っているのだ。死亡者なぞ出たらこれはHPF全体に影響が出る。ましてやZLKを相手にするなんてお前が何をしでかすのかわからん。私としては反対だぞ」
相棒は賛成の意を示していたが山風指揮官は反対をしていた。
「ご心配してくれるのは大変うれしいことですが、これは必ず乗り越えなければならないことの一つです。以前も話したようにこうなる運命はすでに決まっていたんです。避けようとしてもいずれ来てしまう。なのでどうかお願いします」
山風指揮官は相棒の力説にとうとう根負けをしたのか許しが出た。俺らはそのまま作戦室を出て、横の部屋に入った。
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「えっとまずは申し訳ない。いきなりこんなことになってしまって。本当であったら全部話してやりたいのだけど今はちょっと無理なんだ。軽く言うと俺は前の世界でも同じことを体験しているんだ」
香熾さんは冷静に聞きこんでいるが、俺と墨坪には頭?であった。
「とりあえずこの合同作戦に対して君たちは賛成かそれとも反対か?」
「私は賛成ですよ。千楽寺君は止めても無駄ですから。能力の制限もありますしね」
香熾さんは悠々と答えた。
「俺も特に反対なんてないです。ただ敵が人であるってだけですから」
俺はやることは変わらないことを確信して答えた。
「墨坪はどうだ?」
「あたしも大丈夫です」
墨坪は特に変わりなく答えた。
「本当か?きっと墨坪にはつらいことになるかもしれないがそれでもか?」
しかしいつにもまして相棒が墨坪に念を押して聞いてくる。
「大丈夫ですって!。それとも千楽寺隊長はあたしのこの成長した姿が信じられないのですか?」
「いや信じられないわけではないんだが。どちらかというととても信頼はしているが・・・。だがやはり・・・」
「あぁもう、大丈夫ですって!心配してくれるのはありがたいんですけどどうしてそこまでかたくなに聞いてくるんですか?」
墨坪の言う通り俺もそこは気になってはいた。すると相棒は意を決したかのように口を開いた。
「それは、、墨坪の過去のトラウマが引き起こされてしまいうかもしれないからだ」
「え?」
俺はピンとこなかったが、それを聞いた墨坪は顔がみるみる青ざめていった。
「さっきも少し言ったけど以前の世界でもここと同じ出来事があった。その時に墨坪、お前は過去のトラウマが原因で命を落としているんだ。命を落とさなかったときもあったがほとんどがそのあと活動に影響が出てしまうものだった。それでも墨坪は賛成か?」
唐突に告げられてしまったその事実に俺は頭が混乱してきた。墨坪が死ぬ?何を言っているのだろう?
「あ、相棒さすがに何かの間違えなんじゃ・・・」
「いや、本当の出来事だった。全35回の繰り返しで25回殺されている」
もう訳が分からなくなってきた。香熾さんはいまだにだんまりとしているし、墨坪は完全に俯き、顔が蒼白と化している。けど墨坪は顔を上げて言った。
「それでもあたしは行きます」
相棒は一瞬はっとした表情になったが、落ち着きを取り戻して言った。
「そうか。やはりそう決断するよな。なんせあの墨坪なんだし。・・・わかった。それじゃ全員賛成ということでいいな」
相棒がそう聞くとみんな「はい」といった。
ーーー
「戻ってきました。全員一致で賛成となりました」
警察官のお三方は安堵したかのように、山風指揮官は少し残念そうにいていた。
「君たちが決めたことなら仕方ないな。私からは頑張って生き延びてきてくれとしか言えん」
「まぁそういうことでしたら、今すぐにでも現場に向かってもらおう。半田君、車の準備をしてきてくれないか?」
緒方さんが合図をすると半田さんが「わかりました!」という元気な声で出て行った。
そして俺たちも一度各々の部屋に帰り、用意をしてから基地のそばにつけられた車に乗り込んだ。




