1:いざグランダの国へ
グランダの国、『マーレリング』へ向かいミホは飛んでいた。
「スッ、スッ、スラ、スラ、スライムゼリー♪
スッ、スッ、スラ、スラ、スライムゼリー♪」
さらに説明するとひとりご機嫌に自作のフレーズを口ずさんでいた。ミホの後ろには飛行機雲ができていた。
すると後ろの方から
「はぁ、はぁ…… み、ミホ様ー!」
と自分を呼ぶ声がかすかに聞こえた。ミホが止まって振り返ると、全力飛行して息切れをしているグランダの姿が小さく見えた。
「あ、グランダ〜! マーレリングにはもうすぐつくかなぁ〜」
と笑顔で話しかけてくるミホに、
「ミホ様、マーレリングにはまもなく到着しますが、…… 私の王城とは方向が違います」
とグランダは息を切らしながら応えた。
勢いで飛び出したはいいものの、ミホはマーレリングのどこに行けばスライムゼリーを食べられるのか、知ってるはずもなかった。それなのに一人で飛び出してる自分に、
(…… え、何それ。すごく恥ずかしいじゃん!)
自分がしてしまったことに気づきミホは赤面し、
「そうだったんだ。大人しく着いて行きます……」
▷▷ ▷▷ ▶▶ ▶▶
グランダに従ってしばらく飛ぶと、高原の農場地帯となった。
「ミホ様、もうここら一帯はマーレリングの領地です。そしてあそこに見えるのが我が王城です」
グランダが振り返り指さした先には、城壁に囲まれた町とその奥にそびえる城が見えた。
グランダの王城の前には大きな門があった。門に向かって降りていくとそこにはブリアンがいた。
「ブリアン師匠じゃん、先に着いてたんだ。」
「あぁ、ミホ、少し遅かったじゃねーか」
瞬間移動魔法でマーレリングに到着したブリアンは、王城の門の前で一人、ミホの到着を待ちわびていた。
しばらくすると後ろからアルクロスとドウェイグもやって来た。
「あら、あなたたちも来たの、自分達の国に帰ってもよかったのよ!」
とグランダはそっけない言葉をアルクロスとドウェイグにかけた。
「そう冷たくするな。ミホ様の配下としてお近くにいるのは当たり前だ」
とドウェイグがアゴひげをこすりながら応えた。
「そうだ! それに、自分の国よりマーレリングの方が楽しいゾ!」
とアルクロスが一回転し胸をはって応えた。
「はぁー、アルクロス、あなたは王なのだから、自国を楽しい国になさいよ!」
とグランダがそっけなく言った。ただこれ以上言うとアルクロスとドウェイグが反論しだして面倒だと思い、門に向かってさけんだ。
「戻ったわよ!」
今後は1週間に4回、1エピソードずつ更新していく予定です。
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