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11:祝勝会

ある日の昼、城のテラスでアシュメとグランダが何やら話している。ここのテラスはマーレリングの城下町が見渡せる場所だ。グランダの王城の前には城下町があり、城下町の周りは城壁で囲まれていた。


「人族との戦もなくなったので城壁を取り払い、『新城下町』を作ることでマーレリングの城下町の拡張を計画をしております」

と以前アシュメがミホに報告した。ミホにとっては良く分からないことなので、


「そうなんだ。ふ~ん」

ミホは聞き流していた。


グランダが指をさしながらアシュメに「ホテル」とか「ショッピングモール」と、すごくざっくりと速いスピードで指示を出していた。


「グランダって国王として頑張ってるよね~ 

ドウェイグとアルクロスの国は大丈夫なの?」

何気なくミホが聞くと、


「我がエルフの神髄は『質素倹約、筋肉のみ贅沢に!』でございます。これこそ、長い寿命を退屈せずに過ごす思想と考えておりますので!」


「よく意味が分かんない!」

得意げに回答するアルクロスにミホが即答で冷たい目をして答えると


「アルクロスの国は本当に何にもなさそうだな!」

ブリアンが言った。


「ドワーフ族は国というよりは各々が創作することに国民が価値を置いてます故、国王が干渉するのはあえて最低限にしております」

ドウェイグはもっともらしいことを言った。


「ふぅーん、そうなんだ……」

とミホが答えると、ドウェイグの額から汗が吹き出した。


そんなことをしているとグランダとアシュメが打ち合わせを終えたようで、ミホのもとにやって来て、


「当国にてミホ様のフレイムドラゴン討伐の祝勝会を開かせていただきたいと思います」

とアシュメが言った。


ミホは『祝勝会』という言葉に、

「大勢が参加するのはめんどくさいよ」


「ミホ様の気持ちは重々承知しております。しかし、グレッセル国のフリーデン王とローズマリー王妃がどうしてもミホ様にフレイムドラゴン討伐のお祝いを申し上げたいとのことです」

ミホの祝勝会の反応が渋かったためアシュメが説明を加えた。


「それ、フリーデンとローズマリーがマーレリングに旅行に来たいだけじゃね?」

ブリアンが突っ込みを入れた。アシュメはブリアンの的確な突っ込みに回答せず、


「フレイムドラゴンの討伐動画は世界中の方が種族・身分関係なく見られているようです」


「それはそうなのダ。フレイムドラゴンの討伐動画はこの世界の記録と記憶に残る『神動画』ダ!」

アシュメの言葉にアルクロスがすかさず反応し、声高々に言った。


アルクロスの発言に対して誰も反応しないのを確認し、アシュメはセキをコホンとし、


「グレッセル国以外で主だったところでは、


1つ:フレイムドラゴンのいたブレンネンの塔を領地に持つテンペラータの国王がミホ様と謁見し祝辞を述べたいとの事


2つ:冒険者ギルドのギルドマスターが冒険者を助けていただいたお礼を申し上げたいとの事


これ以外にも討伐前に記者会見にいたメディアなどから多くの問い合わせが現在マーレリングに来ております。これらを個別に受けるよりは、まとめて祝勝会という形で一度に対応を行うのがミホ様にとって最もご都合がいいかと考えております」


「「「なるほどね」」」

アシュメの説明に、ブリアン、アルクロス、ドウェイグがうなずき、ミホの反論の余地はなさそうだった。


「祝勝会も撮影しチキ動で配信するのダ!」


「「それはいい!」」

アルクロスの案に珍しくドウェイグとグランダが賛同した。


こうしてフレイムドラゴン討伐の祝勝会の開催が決定した。


▷▷ ▷▷ ▶▶ ▶▶


祝勝会開催が決定すると、ブロッサムのメンバーだけでなく、マーレリング王城の部下たちは非常に忙しくなった。魔族の国『マーレリング』に人族の国王が訪れるのは初めてのことだった。人族の王家はグランダの王城に宿泊して頂くとしても、王族が多数引き連れてくる貴族や部下たちが宿泊できる場所を用意する必要があった。


場所だけでなく、「おもてなし」に関してもグランダの王城は祝勝会に備えて様々な準備が企画された。マーレリングとして今回の祝勝会では、「スライムゼリーなどのスイーツ」と「フレイムドラゴンのいるダンジョンで獲得したアイテムの展示」によって祝勝会の出席者をもてなすことが企画された。


企画の詳細が決定するとアシュメがミホに伝えにきた。


「今回の祝勝会はマーレリング国が主催ではなく、

『フレイムドラゴンを討伐したミホ様の配下であるグランダ様の王城にて()()()()()()()()祝勝会』

という建前上、ミホ様から出席される方にお礼の品を……」

とミホにとって小難しいことを建前から説明するアシュメに、


「私、むずかしいこと分らないから、アシュメがいいと思うように進めて」

と言ってミホは逃げたのだった。



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