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3:転生世界

徐々に視界が広がってきた。目の前に暗い森が広がっていた。


「来世だぁ〜!」

ミホは元気にさけんだ。


「何でだ! 何でだ! なんでなんだー?」

だれかの声が聞こえた。とても苛立っている。しかしどこかで聞いたことがある声だ。


「俺のカッコイイボディーがー!」


「もしかして、ブリアン師匠?」


「あぁ、そうだ! だがこのボディーは!」

ブリアンに何かあったようだ。


暗がりで周りがよく見えないので、ミホは魔法を唱えた。


「んー、『ルーモス』的なヤツ!」


やりたいことはよく分かるがとても雑な自作魔法と呪文詠唱じゅもんえいしょうにも関わらず、しっかりと光の玉が現れ、辺りを照らした。


すぐ近くにブリアンの声で話す者がいたが、よく見るとブリアンの体は『鳥』の姿になっていた。


(どういうこと、ルーファスさん! ブリアン師匠が牛じゃなくなっているじゃん!)


「せっかくのシャトーブリアンがー!」

そう叫んだ後、ミホはブリアンを「鑑定」した。


名前…… ブリアン

レベル…… 75

種族…… フェニックス(霊獣)

属性…… 火、水、風、土、光

スキル…… 不老長寿ふろうちょうじゅ(ユニーク)、範囲完全状態回復 (ユニーク)、<多数>


(って、ブリアン師匠もスキル多い! まだ途中みたい。次の鑑定項目にいこう! 次!)


最新称号…… 2番目に強い、<獲得称号一覧へ>

性別…… ♀


ふーんそうなんだぁ。って、えっ! 最後! えっ!


「ちょっ、待てよ!」


(ブリアン師匠がメメメメ、メス!?)


ミホは深呼吸をして、ブリアンに状況を伝えることにした。


「あの〜ブリアン師匠、非常に言いにくいんですけど…… ブリアン師匠の性別メスになっていますよ!?」


バタッ! ショックでブリアンは気絶してしまった。


(まぁ、転生して性別が変わっていたら、そりゃ、驚くよね。ブリアン師匠が起きるまでここに居よっ! これはルーファスのイタズラかなぁ〜)


そう、あの時のルーファスの邪悪な笑みはこれだったのだ。


◇ その頃のルーファス ◇


(ブリアンは従魔にも関わらず、ミホにカンスト攻略をさせてしまったからのー あのぐらいのおしおきが必要じゃわい)


▷▷ ▷▷ ▶▶ ▶▶


数分後、ブリアンは目を覚ました。

「冷静になれ、俺。転生してメスになっても意外とカッコイイんじゃね!?」

ブリアンは必死に前向きになろうとしていた。


(前も、カッコ良くなかったけどね。)

とミホは思いつつ


「はい! そうですブリアン師匠、師匠は師匠です! とってもカッコイイです!」

ブリアンが元気になりそうな言葉を投げかけた。


「だろう〜 って! 俺、世界で2番目に強い!?」

どうやらブリアン師匠は性別問題を振り切れたようだ。


ブリアンの前向きになった発言を聞いて、少しミホは安心しつつ

「はい。そして、世界一強い、『最強』が…… 私なんです」

と応えた。


何か最後、声小さくなっちゃった。自分で自分のこと『最強』って言うの恥ずかしい!!


「マジかよ! 

…… 

さすが! 俺って教えるのが上手い!」


「そこですか!」

ブリアンはミホの想像の上をいくプラス思考の持ち主だった。


「試しにあのゴブリンをファイアボールで倒してみろ!」

ブリアンが示したずっと先にゴブリンがいた。ゴブリンはこちらに気づいていない。


「はい!」

ミホは火の初級魔法ファイアボールをイメージして詠唱をしようとすると、


ボヮン!


と音がなり、ファイアボールが現れた。


(えっ、まだ『ファイアボール』って言ってないけど……)


「ブリアン師匠、これってまさかの!? む、無詠唱むえいしょう!?」


「いや、それよりそのファイアボール、ちょっとデカすぎないか?」

ブリアンは無詠唱むえいしょうができて興奮してるミホに、冷静に指摘した。


「そうですか? 試し打ちだからこんなものかなー て……」


「ならばよし!」

ミホとブリアンは事態を深く考えない似た者同士である。


「じゃぁ、いっきまーす、そりぁ!」

ミホはゴブリンめがけファイアボールを放った! 


ただファイアボールといってもその大きさは直径30メートル程の超高温の火の玉で、この世界の魔法を極めたものが放つ究極魔法クラスの火の玉だった。


ドガーン!


暗く静かな森に凄まじいごう音が響いた。鳥たちは一斉に暗い空に飛び出し、動物や強めの魔物でさえも今まで聞いたことのない爆音に飛び起き、一斉に音とは逆の方向に逃げ出した。暗く寝静まっていた森は大騒然となり、その騒然はしばらく続いた。


森の騒然が落ち着き出した後には、あのゴブリンはもちろん森の一画が突如あらわれたとてつもなく大きい炎に呑まれて無くなっていた。


「……」


「……」

この森の惨劇さんげきを、2つの影だけがただじっと見ていた。


(…… さっきのゴブリン驚き過ぎてかたまっていたなぁ〜)


「ゴブリン、スマン! まぁ、しょうがないよね〜?」

ミホは1人でそんなことをブツブツ言っているが、実際はゴブリン1匹ではなく、森に住むゴブリンの群を倒してしまっていた。しかも跡形もなく、一瞬で……


「ま、まぁ結果オーライってことで!」

ミホは自分がしでかしてしまったことを無理矢理押し流そうとしていた。


「お前は、いつでも前向きだなぁ〜 まあ、考えても異常な強さは、何も解決しないか。しかも無詠唱むえいしょうって、マジで最強なんじゃねー!?」


「もう! 最強だったら、学校に行けないじゃないですかー! 学校に行きたかったのに!」

ブリアンとミホの会話は事態の状況とだいぶかけ離れていた。ミホもある意味、ブリアン同様、楽観的だった。


そうはいいつつも2人共その場を離れられずにいた。それは自分たちがしでかした事態から逃げてはいけないと感じていたからかもしれない。



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