運命の出会い
思ったとおり、私はクラスから孤立した。クラスでは菖蒲のグループが権力を握っていたからだ。
卒業はあと一週間。されども、一週間。
私の精神はボロボロだった。ブログ荒らし、迷惑メールに電話、文句が書かれた手紙に落書きされた教科書。
一週間も耐え切れる自信がない。
菖蒲たちのやる事は幼稚で深くながらも私は小さく笑ってしまった。それを菖蒲の取り巻きに運悪く見られて、さらに自体は悪化した。
その日の放課後、校舎裏で菖蒲たちグループに私は仕返しにサンドバックの代わりをさせられた。
ただ、笑っただけ。それだけなのに理不尽だ。
菖蒲は自分のした事が馬鹿にされるのを嫌う。だから、それをやってしまった私に苛立っている。
何度も何度も同じ場所を狙ってくる嫌がらせ。意識が飛びそうになると取り巻きがホースの冷たい水をかけてくる。
ただえさえ、今の時期は少し寒い。私は、寒さと痛さに必死に耐えるだけだった。
死にたい、そう思った。
そんな時だったよね。彼方と出会ったのは。
まだ、一日もたってないけど辛かった。もっと、辛い人もいるかもしれない。
でも、私は弱虫だから。そう思っていると、声がした。
「ねぇ、死にたいなんて思っちゃ駄目だよ?
もっともっと苦しい人はいるんだよ」
菖蒲たちはいったん私を殴る手を止めて、周りを見渡した。
ちょうど、声の主だと思う男子がこちらに向かって歩いているところだった。
でも、泣いていた。なんで、泣いてるんだろう?
泣きながら歩いてくる男子に私は何かを感じた。菖蒲は、その男子のかっこよさに思わずうっとりしている。
菖蒲以外は、とっくに逃げた。そうだろう、どうみても前にいる男子は昨日、急遽来た新しい先生にしか見えないのだから。
そういえば、菖蒲は新しい先生に興味が無いといって見なかった気がする。
「彼方、先生・・・?」
私は痛みに顔をしかめながら名前を呼ぶ。この際、なぜ泣いているなんて気にしない。
助けてほしい。その思い出いっぱいだった。
痛みで上がらない手を先生に向けて伸ばす。立とうとするとクラクラする。
でも、私は必死に立とうとした。だけど、体が動かなかった。