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男の上げ下げ

俺っちも弁士として長いから、いろんな人間模様を見てくるわけよ

男の生きざまとかね、そんなことを考えるわけ。


この「悪魔の薬裁判」で男を上げた、といえばやっぱりオスカーとオルランド・ヴァレフォール。皆様ご贔屓のダブルオーだ。


ダブルオーの二人が訴状を持って、朝一番にアスターテ神殿に乗り込んで来た日、

正面玄関の大階段のところには大審院の院長であるコカトリス伯爵以下のお歴々が総出でお出迎えだったそうだ。


実はさ、これには由緒があるんだよ。

50年くらい前にね、公爵夫人を訴えようとした御仁がいたんだよ。

コカトリス家の人だったらしい。

そして訴えようとしたのは名前も同じビフロンス公爵夫人だ。


ところが、このひとは訴状を出そうとした日、まさに大階段のところで、上意討ちにあった。

弓騎兵に襲われて、体にはなん十本も弓が刺さって、まるでハリネズミみたいだったというよ。訴状も奪われて、それっきりになっちまった。

このときの弓騎兵にはおとがめなし。誰の差し金かなんてことも、誰も話をしない。

っていうか、手練れの弓騎兵をこんな人数動かせるなんて、国王陛下以外ありえないよ。

誰も言わないけどね。公然の秘密ってやつさ。


てなわけで、今回は万全を期したわけだ。

検事の方は、なんとしてでも訴状を出すんだ。

神殿の方もなんとしてでも受け取って裁判を起こすんだって、気合が感じられるよ。

熱いじゃねえか。

弓騎兵でも何でも、よこしやがれって、心意気だよ。

とくにさ、コカトリス伯爵は娘さんを薬で亡くしてる。オルランド・ヴァレフォールさんの婚約者だった、可憐なお嬢さんさ。


訴状を受け取ったとき、コカトリス伯爵はむせび泣いておられたというよ。

これで、娘の仇がとれるってさ。

オルランドさんのほうは、これからです。って言ったきり。

痺れるよな。一言が重いよ。


やっぱりさ、無理が通れば道理が引っ込むって、おかしいよな。

国王陛下に近いかどうかで、正義かどうかが決まるっておかしいよな。

おれっちさ、最近そう考えるんだよ。深いだろ。


反対にさ、男を下げたやつがいるんだよ。


トンマーゾ・ガミジン卿。

ビフロンス公爵夫人の弁護を引き受けたやつさ。


これを機会に国王陛下のお気に入りになろうとしていたらしいんだ。

どころがどっこい大逆風。


ここでガミジン卿、おのれが貧乏くじひいちまったことに気が付いた。

あわてたのなんの。

だが、もう弁護士として名乗りをあげちまった。

さあ、どうしたか。

こいつが、くるっと手のひらを返した。

ビフロンス公爵夫人の悪事を次から次へと、暴露し始めた。


ビフロンス公爵夫人は、薬ですっかり頭をやられていて、自分の名前すらわかっていない有様だった。何を聞いても答えない。

そんな女が、弁護士と接見した際に、数分だけ意識がしっかりし、罪の意識に耐えられなくなって、がんがん悪事を告白したんだって。


「実は、無理矢理王妃様の冠かぶせてもらったことがあるんです」

「実は、薬を作って陛下に差し上げようとしたことがあるんです」


しまいにはさ、王妃様の毒殺未遂まで自白した。

{実は私、王妃様に毒を盛ったことがあるんです}って

ありえないだろう。


一応弁護士はさ、どんな悪人でも守ってやんなきゃいけないはずさ。

なんか、可愛そうになってきた。


とはいえ、悪事は明白。

裁判は、われらが正義の騎士ダブルオーの大勝利で終わりそうだ。


ま、油断しちゃいけないよ。

国王陛下の勅書がある。国王陛下はどんな判決でもひっくりかえせるんだよ。

気まぐれを起こさないことを祈ろうぜ。


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