第7話 剣姫
名も無き村を離れて数日。私達は冒険者の町に到着した。
精霊の町よりも遥かに広く、かなり賑わっている。
「冒険者の町っていわれるだけありますね」
「とりあえず宿を探すか」
「そうですね」
そう言って町を歩いていると。突然、声をかけられた。
「こんにちは」
声をかけてきたのは、腰に刀身の細い剣――おそらくレイピア――を腰に差している優しそうな女性。
アリアはその人が誰なのか知っているらしく、憧れの人に会ったときのような反応をしている。
「け……剣姫のフィアナさんですか?」
「そうよ」
興奮して子供のように跳ねるアリア。
そんなに凄い人なのか、この人。
「私達に何かようですか?」
「かわいらしい二人組のお嬢さん達がいたから、お声かけしてみただけよ。立ち話しててもあれだから、良ければ、近くの酒場に行きましょう」
「酒場……」
「あら、酒場は嫌い?」
「嫌いって訳ではないですけど……」
酒には弱いかったから、前世でも全くって言っていいほど飲んでいなかった。だから、飲み会などはできる限り断り、断れなかったときは――。
「……何で泣いているの?」
「前世のつらい記憶がよみがえってきて……」
「……よく分からないけど、苦労しているのね。酒場に行くのはやめとく?」
「いえ、大丈夫です。多人数じゃないし……」
「なら、私の友達が開いてるのとこに行きましょう」
私が軽く頷くと、彼女は回れ右して歩き出した。
私はフリーズしてるアリアの横腹を突いき、その後を追った。
アリアは「ヒャイ」と軽く悲鳴をあげ。自分が置いていかれそうになっていることを悟ったのか、小走りで後ろについて来た。
そして着いたのは路地裏にあるバーのような場所。雰囲気もおしゃれで、客もそこそこいる。
「いらっしゃいませ。――あら、フィアナさん」
「こんにちは。いつものと、子供が飲めるものを」
「かしこまり~」
「かなり仲がいいんですね」
「幼馴染なんです」
幼馴染――。
しばらく会ってなかったけど、元気にしてるかな。
俺にも幼馴染がいた。元気で優しい女の子。いつも隣にいてくれて、困った時は、いち早く助けてくれた。
高校は別だったが、たまに買い物に付き合わされたりしていた。しかし、自分が県外の大学に行き、それっきり会うことは無かった。
「日菜、元気かな」
「ひな?」
「私の幼馴染」
「あなたにも幼馴染がいたんですね。――この際だから色々話を聞かせてください」
「後でね。それよりフィアナさんは何で私達に声をかけたんですか?」
「かわいらしい二人組のお嬢さん達がいたから――」
「そうじゃなくて」
その一言で、彼女の表情が変わった。
「……勘が鋭いですね」
「まあ、いろいろあって」
彼女は出された飲み物を一口飲んだ。
「――この近くに村があるじゃないですか。そこが襲撃されたとかで、私その場所に行くよう言われたんですよ。でも、行ってみればすでに5割復興されていて。村の人に話を聞いてみれば、小さな女の子が助けてくれたって言っていて。興味がわいたから特徴とか聞いたんです」
「で、その特徴が私と一致していたと」
「そう! それで、早速お願いなんだけど――」
そう言って彼女は私の手をぎゅっと握り締めた。
「私とダンジョンに言ってくれない?」
「ダンジョン?」
「そ、ダンジョン。最近見つけられた場所があってね、その場所に行くことになってるんだけど、一人じゃ寂しいから」
「私は別にいいですけど。――アリアは?」
「フィアナさんとダンジョン……」
完全に上の空で話を聞いている。
「……はぁ。分かりました」
「よし。じゃあ明日出発で」




