第5話 再開と再会
家出を再開? した私達は、精霊の街で装備を返してもらうついでに一泊してから森を抜け。海のように広く、どこまでも続いていそうな平原に着いた。
「ここは『シープライン』、別名大海平原です。その名の通りかなり広い平原です。なので地図が無いと必ず迷います」
「地図はあるの?」
「ありません!」
なぜか自慢気に私を見てくる。
地図があっても心配になりそうな場所なのに地図が無いなんて……まぁ、いいや。
――それにしても、アリアの表情が、出会ったときより明るくなった気がする。なんだか楽しそう。
「そうだ、『これをレイさんに』と、置き手紙と一緒にこんなものがあったのですが」
アリアは私に剣を手渡してきた。
かなり装飾されていて、どこか見覚えのある剣……。
「……って、これ『鍵穴の剣』じゃん」
「この剣を知っているのですか?」
「知ってるもなにも、私が昔使ってた剣だよ。なんでアリアが持ってるの?」
「知りませんよ。知らぬ間に机の上に置かれていたのですから。――にしては、不思議な名前ですね。鍵穴の剣なんて」
「この剣は残り二つの魔道具と合体して『オリジン』って名前の剣になるの。幽鬼と同じ魔剣だよ」
「おりじん?」
「起源とか原因とか、主に源って意味が多い言葉」
「おりじん……源……覚えました! ところで、その『おりじん』って言う剣は、どんな力を持っているのですか?」
「確か――魔力操作?」
「いや、私に聞かれましても」
私は前世の記憶を必死に思い出す。
……集める素材が高難易度過ぎて途中で諦めたんだっけ? だから詳しい効果は不明。だけど、魔力障壁とか効果付与とかだったのは覚えてる。素材がこの世界にあれば、オリジンを作れるのに……。
「オリジンに必要な素材は確か『起源の魔石』と『次元の輪』……まって。これ、空間の輪じゃなくて次元の輪だったりして」
「その可能性もあるとは思いますよ? 大抵のものは見つけた人が勝手に付けたものが多いですから」
私は腕輪を外し剣に取り付ける。腕輪は剣にピッタリとはまった。
まさか、自分があんなに苦労した末、断念した素材がこんなにもあっさり手に入るとは。
私はあまりの驚きとショックでその場に倒れ込んだ。
「あの………どんな事情でそうなったのかは分かりませんが、あまり気を落とさずに。人生何があるかわかりませんから、明るくいきましょう? ね?」
「あ、うん。ありがとう。――よし、切り替えていこう! 確か次元の輪をはめた状態なら――幽鬼ほどじゃないけど――自分の魔力を操れたはず」
そう言って私は地面に剣を突き立てる。そして、頭でイメージしながら、剣に魔力を流した。すると、自分達の周りに、目に見えるぐらいの透明な壁があらわれた。
「……凄いです。不完全な状態でここまで出来るなんて」
「幽鬼ほど万能じゃないけどね。幽鬼は使った魔力を回収できるのに対して、この剣は使った魔力全部無くなるから」
そう言いながら剣を鞘にしまった。
――今思えば、この武器が私のなら、アリアの武器はどこなのだろうか。
「アリア、武器はどうしたの?」
「持ってきてません。これから見つけます。なので、見つけるまで、レイが私を守ってください」
「はいはい。了〜解」
私は少し呆れた顔で。けれども、嫌そうには見えない顔で返事をした。