第28話 戦闘準備?
アリアが私の胸に顔を埋めてから、かなりの時間が過ぎた頃。
アリアは顔を上げ、私から離れて、ベッドに座った。
「隣来てください」
アリアはベッドを軽く叩いた。
私はアリアの隣に座った。すると、アリアが私の膝の上に寝転がった。
「やりたい放題だね」
「私を悲しませた罰です」
「……何があったの?」
「父の事ですか? 今朝起きたら、何者かに殺されていました。おそらく、犯人は皆が寝静まった頃に来たのかと」
「警備とかはいなかったの?」
「いましたよ。なんなら、この国は昼夜問わず強力な結界が張られています。……ところで、あなたはどうやってあの場所まで?」
「透明化で普通に歩いてきた」
「え? 城の中は結界の影響で透明化は弱まるはずですよ?」
「ああ、私の魔法は普通の魔法じゃないの。魔法で強化された魔法」
「魔法で強化された魔法? どういうことですか?」
「そのままの意味」
「……やっぱり、あなたが犯人なのでは?」
「動機がない」
「まあ、確かに……ところで、なんでさっきから頭を撫でているのですか?」
「え、膝枕と頭を撫でるのはセットじゃないの?」
「セットって……まあ、嬉しいから良いですけど」
アリアの声がだんだんと小さくなっていった。
「……それより、あなたも何か話すことがあるのでは?」
「ああ、うん。魔王がこの国を潰そうとしてる」
「そうですか」
アリアはさらっと返事をした。
「いやいや、もっと慌てようよ」
「こういう時は慌てないのがモットーなのでは?」
「まあ、そうだけども……。多分王様が殺されたのも」
「統率力を低くするためでしょうね。それで、策はあるのですか?」
「ある。というより、もうしてる」
「なら安心ですね。おやすみなさい」
「え、寝るの?」
アリアはまぶたを閉じた。
「あの、私が寝れないんですけど」
返事がない。それに、すやすやと寝息を立てている。
私はアリアを撫でた。アリアは薄らと笑みを浮かべた。……可愛い。
私はため息をつきながら、ベッドに寝転がった。そしてそのまま、まぶたを閉じた。
「……い……レイ!」
お腹に強い衝撃が走る。
「うぐっ。……何」
目を開けると、アリアが私にまたがっていた。おそらくアリアが私の上でジャンプをしたから、強い衝撃が走ったのだろう。
「何じゃありません。早く起きてください」
「何で」
「国の周りにある森の中で、大量の魔物が倒れていたとの報告が」
「ああ、それ私」
「見たところ、あなたは一歩も動いていないようですが」
「種明かしは後で。とりあえず外に行こう」
アリアは私の上から降りた。
私は目を擦りながら起き上がった。……お腹が痛い。




