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第24話 元・火山島

 飛行魔法を使い、火山島上空に着いた私達。そこには、思いがけない光景が広がっていた。

 ――火山島が、凍っている。火山島全体が氷に覆われ、島の象徴でともいうべき存在である火山の火口から、大量の雪が溢れている。

 

「火山島とは言えない状況ですね」

「だね。魔石の影響?」

「いえ。魔石の反応がないので、その可能性はありません。仮にその逆だとしても、魔石が無くなった程度で、ここまで環境が変わることはないかと」


 原因は別の何か……。


「火口に秘密がありそうだね」

「ですね。どうしますか? ヒナギク様」

「――行こう」


 私達は火山内部にある塔に向かった。



 塔の上空に来た私達。塔の中心に氷に覆われた何かがいる。

 私達は塔の上に降りようとした。しかし――。


「……寒い!」

「異変の原因は分かりましたが、近づけませんね」

「ニル、火で氷を溶かせないない?」

「先ほど、島の氷でやってみましたが、あまり効果がありませんでした。おそらく、ここも同じだと思います」


 仕事が早い。優秀だなぁ、この子。

 さて、あの氷に近づくにはどうすれば良いだろうか。私は火属性の攻撃魔法を持っていないし、ニルの魔法もあまり効果がない。


(助けて)

「ん? ニル、何か言った?」

「いえ、何も。何か聞こえたのですか?」

(お願い、助けて)


 頭の中に、ニルと私以外の声が響く。

 あ、これ、直接脳に語りかけてくるタイプのやつだ。


(そうです! 今、貴方の脳に直接語りかけて――じゃなくて!貴方達の下にある氷を壊して、私を開放して下さいませんか?)


 壊したいけど、近づけないのですが。


(一瞬、力を弱めます。その間に近づいて、壊して下さい。本当に一瞬なので、タイミングはそちらの指示に合わせます)


 一瞬弱まるのなら充分。今すぐやって。


(え、あ、はい)



 ――バリン。

 突然、塔の上にある氷が粉々になった。そして、中から綺麗な白いドレスを着た、銀髪の女性が現れた。

 私はその女性を受け止めた。


「ヒナギク様、何をなさったのですか?」


 遥か上空にいたニルが、塔の上に降り立った。


「一秒くらいの間に、下に降りて、氷を割った」

「こちらの女性は?」

「知らない。ニルは分かる?」

「――精霊のようですね。おそらく、氷属性の」


 女性が目を覚ました。


「私を助けてくださり、ありがとうございます。……ところで、どうやってあの一瞬でこれほどのことを? 見たところ、付与魔法を使っていたようですが、どう考えても、あの一瞬でこれほどのことをできるとは思えなくて」

「私は付与魔法に付与魔法を掛けてるから」

「付与魔法に付与魔法?」


 女性と共に、ニルも首を傾げた。


「そのままの意味。付与魔法に付与魔法を掛けて、元の魔法の効果を上げてるの。この方法を使えば、普通なら重ねられない魔法効果を、重ねることができる」

「おそらく、それができるのは、ヒナギク様だけでしょうね」


 表情は変わっていないが、おそらく呆れている。

私だって驚きだよ。飛行魔法に使用時間があって、なんとか時間を引き延ばせないだろうかと、いろいろ模索していたら――付与できちゃったんだよ、飛行魔法に、魔力再生魔法。



魔力再生魔法は、一定量の魔力になったとき、魔力を二倍にする魔法。この魔法に関しては、制限時間は無く、自動発動。

飛行魔法などの持続型の魔法が、魔法を発動する際に使った魔力の分だけ発動するなら、魔力再生魔法を使用した場合、常に発動したときと同じ魔力量ということになる。つまり、魔力が切れることはなく、永遠と魔法が発動する! ……誰に説明してるんだ、私は。



「あの……助けてくださり、ありがとうございます。私は氷の精霊、フロスト」

「私は、レイ・ヒナギク。この子が――」

「ヒナギク様の部下のニルです。ところで、これはあなたがやったのですか?」


 先程まで、私達をしっかりと見ていたフロストが、突然、目をそらした。


「そう、なります。私の意思ではないとはいえ、私がやったのには間違いありませんから……」

「誰かの命令?」

「分かりません。気づいたらこんなことに……」

「戻せる?」


 首を横に振るフロスト。

 私はニルの方を向いた。


「これほどの規模となると、私の力では難しいかと」

「――とりあえず、詳しい話は屋敷で聞くとして、私は他にも用事があるから、ニルはフロストを連れて先に帰ってて」

「かしこまりました」


 ニルはフロストの手を握り、屋敷の方へ飛んでいった。



 さて、私はアリアを探さなければ。

 私は火山から出ようとした。――その時。


「この惨劇を作ったのはあなたですか?」


 火山内部につながる洞窟の目の前に、見覚えのある少女が立っていた。

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