第22話 新たな自分
鏡のようになっている水たまりに映る、見ず知らずの少女。腰ぐらいまである赤髪に、真紅の瞳。少し大きめの胸と、引き締まった腰のくびれ。身長はレイより少し高いぐらいだが、それでいてかなり大人びている。高校生ぐらいの子かな。
一体誰なのだろうか――――いや、俺はこの人を知っている。さっきの走馬灯? で見たゲームで、俺が使っていたアバターだ。確か、日菜を真似て作ったんだっけ? どことなく雰囲気が似ている。――まあ、スタイルは全く違うが。こっちの方が大人っぽい。
それが分かったのは良いが、それと同時に、重要な問題に気づいてしまった。
――裸だ、自分。
いきなりここに来たとはいえ、よく分からない洞窟で、裸で水たまりに寝ていたことになる。――変な人じゃん。どうにかして服を手に入れなければ。
俺――じゃなくて私は立ち上がり、洞窟の中を進んだ。
しばらく歩いていると、洞窟の外に出た。
最悪。服見つからなかったんだけど。
そんな私に、さらに不幸な事が起こった。二人の少女が私を見ていた。
白髪黒目の瓜二つの、小学生ぐらいの少女。双子なのだろうか……いや、そんな事を気にしている場合ではない。この状況、どうにかしなければ。
「おはようございます、ヒナギク様」
「お久しぶりです、ヒナギク様」
深々と頭を下げる少女達。
ヒナギクはこのアバターの名前だから、おそらく彼女達は私に挨拶してるのだろう。
私は彼女達を知らないが、彼女達は私を知ってるらしい。しかも様呼びまでしてる。ヒナギクって、この世界でどんな立場なの?
「えっと、お名前教えてくれる?」
頭を上げ、固まる少女達。しばらくしてから、顔を見合わせ、ひそひそ話を始めた。
「大変です、ネル。ヒナギク様、記憶を失ってしまってるようです」
「ええ、ニル。ヒナギク様、変態になってしまったようです」
おい、二人目。バッチリ聞こえてるぞ。――まぁ、今の状況で変態と言われるのは仕方がないとは思うが……。
「えっと、ローブを着てるあなたがニルで、鎧を着てるあなたがネルね」
「はい。私は魔術師で、ヒナギク様の部下のニルで」
「私は狂戦士で、同じくヒナギク様の部下のネルです」
「よろしく、ニル、ネル」
「「よろしくお願いします」」
息ぴったり。凄いな、この二人。
「二人は双子なの?」
「そうであって、そうではないです」
「どういうこと?」
「私達は、元は一人です」
私は首を傾げた。
元は一人? 一体どういうことだろう。
「元は一人ってどういう意味?」
「それを聞くのは構いませんが、まずは服を着たらどうですか?」
あ、そういえば私、裸だった。
恥ずかしさに顔が火照る。
「服、ある?」
「ありますよ。どのような服にしますか?」
「私がいつも着てた服で」




