第20話 アリアへの試練
「あの、あれはどうやって倒せば良いのですか?」
私は火口近くの壁で動き回る、燃え上がる巨大なトカゲを指した。
賢者と名乗る謎の人? から、あれを倒せと言われたけれど、どう倒せば良いのか全くわからない。
ここからはかなり距離がある。その上、周りは溶岩に囲まれているから、剣の攻撃も届かない。
「アリアへの試練だからアリアだけで頑張って」
レイはすぐに答えた。
ヒントぐらいくれても良いのでは?
私はレイを軽く睨んだ。
レイは、そんなことは気にしないと言わんばかり笑顔だ。どうやら、本当に手を貸すつもりが無いらしい。
私は再び上を見た。こちらに気づいていないのか、はたまた様子を伺っているのか、奴がこちらに来る気配は全くない。
じっくり考える時間があると思えば、ありがたいことだが。
「レイ、質問いいですか?」
「質問ならいいよ」
「水の魔石にはどのような力があるのですか?」
「いや、私に聞かれましても……多分、水を操れるんじゃない? あの魔物みたいに。」
「水……」
水なら、あの燃えるトカゲの火をどうにかできるだろうが、こんな環境では、水はすぐに干上がってしまう。何か別のものは……マグマはどうだろう。海底神殿の魔物は、特殊な液体を操っていた。液体状のものなら、操れるかもしれない。
私は、マグマが海底神殿の魔物のように動く様子を想像しながら、剣に魔力を込めた。
マグマが膨れ上がり、蛇のようなものを作り上げた。
「凄いね、マグマも操れるんだ……」
「液体状のものなら操れるみたいです」
私は剣を振り上げた。
その瞬間、マグマでできた蛇は高く上り、トカゲに飛びかかった。
トカゲはマグマの蛇を避けながら、私たちの方へ向かってきた。そして、続け様に火の玉を吐いた。
近くならば、水が干上がることはない。
私は剣の周りに水が溢れるのをイメージしながら、剣を振った。剣から水が溢れ、火の玉をかき消した。
そして、続け様にマグマの蛇を放った。
マグマの蛇が足に当たり、トカゲは体勢を崩し、塔の上に落ちてきた。
すかさず、私は水を刃のようにして、トカゲに向かって飛ばした。
トカゲはバラバラになり、塔の上に落ちた。
「レイ、どうですか? 私もやる時はや――」
先程までレイがいた場所には、巨大なトカゲの頭があった。
まさか、押しつぶされた? まさか、レイがそんなことになるとは思えない。……なってないよね?
突然、トカゲの頭が粉々になった。粉々になったトカゲの頭の中から、レイが現れた。
「無事で良かったです」
「私はこの程度では死なないよ。はい、火の魔石」
レイは右手に持っていた赤い石を投げ渡してきた。
赤い石が剣に触れると、赤い石は粉のようになり、そのまま剣に吸収された。
「ありがとうございます。で、どうでしたか?」
「完璧。いいと思うよ?」
「――はぁ、よかった」
私は喜びと疲労で、その場に座り込んだ。
レイは私に近づいてきて、私の頭を撫でた。
「何で撫でるんですか!?」
「なんとなく」
「まぁ、今回は許します」
褒めてもらっていることは嬉しいのだが、私はとある違和感を覚えた。
レイは左手で私の頭を撫でている。いつもは右手で撫でくるのに……。
私はレイの右手を見た。
「――――レイ、その右腕……」
「ああ、これ? 火傷。この前の体の中に入るやつがあったでしょ?」
「海底神殿の時のですか?」
「そう。それが発動して、トカゲの中に入ったんだけど、中に火の魔石があって、直接触れて火傷した」
「大丈夫……ではないですよね」
「分かんない」
レイは苦笑いをしていた。




