第14話 ある朝のこと
未知のモンスターを討伐し、街に戻った私達は、ギルドの食堂で宴会をした。宴会ではたくさんの料理が出され、どれも今まで食べたものよりも数倍おいしかった。
「ところで、二人はこれからどうするの?」
フィアナさんが、お酒を片手に質問してきた。
「とりあえず、近くの街に行く予定です。アリアもそれでいいよね? ――アリア?」
「ひゃい?」
アリアは、ふわふわとした気の抜けた声で返事をした。
私はアリアの方を向いた。アリアの顔は赤くなっており、目も半開きだ。その上、頭がカクカクと動いていて、かなり眠たそうだ。
まぁ、あんな戦いをした後にこの宴会だと、そうなるのも無理はないだろう。
「アリアちゃんはこんなになってるのに、レイちゃんはまだ余裕そうね」
そう言いながら、フィアナさんが私の頬にグラスを押しつけてくる。
この人はダル絡みしてくるタイプか。今度から気をつけよ。
「まぁ……それなりに……」
「なら、一緒に呑みましょう!」
フィアナさんは私のグラスにお酒を注いだ。私の記憶が正しければ、かなり強いやつだったはず……。
次の日、私は宿で目が覚めた。宴会の途中からの記憶が無い。
とりあえず宿を出る準備をするために、私は起き上がろうとした。――が、何故かアリアが私に抱きついた状態でぐっすりと寝ているので、起きようにも起きられない。
今まで同じベッドで寝たことはあったが、こんなことは無かった。
私はアリアの手をどけようとした。しかし、アリアはどけた手を戻してきた。起きてる様子はないし、おそらく無意識だろう。となると起こすしかないのか。
私はアリアを起こそうと手を伸ばしたが、私はすぐさまその手を戻した。
――だって、起こすのが申し訳ないぐらい、幸せそうに寝てるんだもん。めちゃくちゃかわいいんだもん。
このまま二度寝しようかなぁ。
しばらく悩んでいると、アリアが目を覚ました。
「お。アリア、おはよう」
「……おはようござい――何であなたが目の前に? それに何で私はあなたに抱きついてるんですか?」
「残念ながら昨日の記憶が無いから、なんでこうなってるかは分からない」
「昨日…………!」
アリアは顔を隠した。どうやらアリアには記憶があったらしい。それを思い出して恥ずかしくなったのか、腕や足が私を締め付けてくる。特に腕は胸の辺りにあるから、肺が締め付けられて苦しい。
「アリア、苦しい」
「あ! ごめんなさい」
そう言いながら、私から勢いよく離れた。そしてそのまま、掛け布団に籠もった。
私は起き上がり、着替えて、荷物の整理を始めた。
荷物の整理が終わってもなお、アリアは布団に籠もっていた。
「いつまで籠もってるの?」
「……本当に覚えてないんですか?」
布団から顔だけ出して、こちらを軽くにらんでいる。
「覚えてないって、何を?」
「……わ、私が、レイのことを……お、お姉様って、言ったこと……」
アリアは目をそらしながら、こもった声で言った。
「へぇ、そうだったんだ」
「何ですかその落ち着いた反応は! ――ぁあああああ、もういいです。気にしません」
アリアは掛け布団を勢いよく投げ上げながら立ち上がり、自分の頬をたたいた。
「で、レイ、次はどこに行くんですか?」
「レイお姉様じゃないの?」
「ど・こ・に・い・く・ん・で・す・か?」
「はいはい、とりあえず港町に行って、そこで別の島に行こうかと思ってる」
「別の島ですね。早速行きましょう」
そう言いながら、ものすごい勢いで準備をするアリア。
準備はすぐ終わり、私達は冒険者の街を後にした。




