第13話 未知の攻略(後編)
黒い球体が私達を呑み込んでから、しばらくすると、視界が明るくなった。辺りは大きな黒いドームに包まれていて、水もすっかり無くなっていた。地面は砂地で、そこら中に瓦礫が転がっている。
ドゴン――。
突然、瓦礫の中から魔石と共に青い水が湧き上がり、タコのような姿になった。
どう見ても、目なんてどこにも無いはずなのに、しっかりとこちらを見ているように感じる。
「どうします?」
「……アリア倒してよ」
「はぁ?!」
アリアが大きな声で叫んだ。
「な、なんで私なんですか? レイが倒した方が速いでしょう?」
「だって毎回私だったらアリアが経験を積めないじゃん」
「うっ……。まあ……そうですけど……」
先程までしっかりと目を合わせていたのに、いきなりそっぽを向いた。
やばい、めちゃくちゃ可愛い。
「自分の身は自分で守れるようになりたいんでしょ?」
「いや、そう言われましても。練習しかしていないし………。ていうか、なんで奴は動かないんですか?」
アリアは再びこちらを向きながら、先程から全く動いていない奴を指した。
「私が動きを止めてるから」
「それができるならトドメを刺せばいいじゃないですか」
しばらく沈黙の時間が続いた。
「――わかりました。やります。戦います」
アリアは少し不機嫌そうに言った。
「私、アリアのそういうところ好き」
「私はあなたのそういうところが嫌いです」
私は指を鳴らした。その瞬間、先程まで石のように固まっていた奴が、タコのようにうねうねと動き出した。
そして、数本の足をこちらに伸ばしてきた。その動きは、その姿からは予想ができないほど素早い。
しかし、アリアはそれをいとも簡単に避けた。そして、そのまま奴に斬りかかった。が、奴は元々液体。当然、ダメージなんて受けていないように見える。
その隙に、奴はアリアを飲み込もうとした。それに対して、アリアは剣の力を使い、奴の体をバラバラにした。剣の使い方は教えたが、あんな器用に力を使えるなんて。
「凄いね、どうやってるの?」
「え、できないんですか?」
グサッ――。
アリアの剣が私の心に深く刺さった。
私はその場で膝をついた。
「どうしたんですか?」
「いや……なんでもないよ……なんでも……」
アリアは軽く首をかしげた。
青い水の化け物は、再び足を伸ばしてきた。それに気がついたアリアは容赦なく足を切り刻んだ。なんだか敵が可哀想に思えてくる。
「さて、そろそろけりを!?」
突然、私達の足下の地面が割れ、青い水が溢れ出した。溢れ出した水は瞬く間に私達を包み込んだ。
ここまでされたら、流石に手を出さないといけないかな?
そう思った私は、頭の中で呪文を唱えた。すると、青い水が黒く染まり、砂のように崩れ落ちた。
「――ゲホッゲホッ。――何をしたんですか」
「水を砂にした」
「はぁ?」
あまりの驚きで声が変わるアリア。
――そんな声出るんだ。
その後、どうやら私達を飲み込んだ水は本体とつながっていたらしく、タコの居た場所には魔石だけが落ちていた。
私達はそれを回収し、地上に戻った。
地上では撤退の準備をしていた。街に帰ったら、宴会をするらしい。――ちょっとだけ楽しみ。




