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第11話 ギルド

 次の日、私達はフィアナさんのギルドに招待された。なんでも、昨日のモンスターについて、詳しく話を聞きたいらしい。

 私達は準備をした後、フィアナさんと合流し、ギルドに向かった。


 着いたのは町で一番大きな建物。レンガ造りの建物で、西洋風のお城のような見た目。たまに、荷物を載せたドラゴンが、建物の奥に入ったり、そこから飛び出したりしている。

 私達は建物の中に入った。天井がガラス張りになっている、吹き抜けの広いロビー。受付には冒険者らしき人や、商人がたくさん居る。

 私達はその脇を通り、建物の奥にある会議室に案内された。そこには二人の人が居た。椅子に座っている二十歳ぐらいのかなり爽やかな印象の若い男性と、その横に同年代ぐらいの秘書らしき女性。女性の耳はとがっている。おそらくエルフだろう。


「ギルマス。二人を連れてきました」

「ありがとう、フィアナ。それと、お久しぶりです。アリア様」


 男は立ち上がり、深くお辞儀をした。


「お久しぶりです、アルティア様。式典以来ですね」

「はい。あの時はビックリしましたよ。いきなり城を出た行かれたのですから。そして、あなたがレイさんですね」


 そう言いながら私に近づき――私の手にキスをした。あまりにも突然のことで、しばらく状況が理解できなかった。唯一分かっていたのは、私の顔が熱くなっていったことぐらい。


「いきなり何をしているんですか。ギルマス」

 秘書らしき女性が、にらみながら言った。

「子供のような可愛らしい容姿でありながら、剣豪の子である王と互角に渡り合えるほどの実力を持つ。これほどまでに綺麗なバラを見れば、手に取りたくなるだろう?」

「とりあえず今は水中ダンジョンの話をするべきでは?」


 秘書が、今度はかなり呆れた様子で言った。


「そうだね。――どうぞ、お好きな場所におかけになってください」

「――レイ。いつまで固まってるんですか」

「え、あ、はい」

「気を付けてくださいね。うちのギルマス、気に入った子をギルドに引き入れようとする癖がありますから」


 フィアナさんが私達に耳打ちした。



 その後、話し合いが始まった。


「――――ということがありました」


 まず、フィアナさんからの例のモンスターの報告があった。それを聞いたギルマスはかなり真剣な表情で、こうつぶやいた。


「こんなにもかわいい子達を、そんなにもひどい目に遭わせるなんて、許せない」


 「いや、そこ?」――と、言いそうになるのを、私はぐっと堪えた。

 フィアナさんは苦笑いをし、アリアと秘書さんは呆れた顔をしていた。


「コホン……とりあえず、調査隊を組みましょう。まだいる可能性もありますし。もしかすると、復活系の魔物かもしれません。」


 秘書さんが軽く咳払いをした後、そう言いながら部屋を出で行った。


「じゃあ、僕も準備をしようかな。三人とも、おそらく調査隊に任命されるだろうから、そのつもりで」

「わかりました」


 アルティアは部屋を出る直前、私に耳打ちしてきた。


「お嬢さん。よければ今夜、食事に行きませんか?」

「遠慮します」


 私は迷う間も無く、キッパリと答えた。

 アルティアは少し笑いながら、部屋を出で行った。


「レイ、買い物に行きますよ。消耗品とあなたの武器を買わないと」

「了解。じゃあね、フィアナさん」

「えぇ、また後で」



 私達はギルドを出て、街に買い物に行った。

 流石は冒険者の街。街のほとんどが店だ。


「で、レイはどの種類の武器にします?」

「種類?」

「魔法使いは、主に三つの武器を使っているんです。一つ目が魔導書。あらかじめ呪文が書かれているため、魔法を発動させ易いです。ただし、決まった呪文しか扱えません。二つ目が杖。使用者の魔力を使って呪文を書きます。なので、使用者が使いたい魔法が使えます。三つ目が魔道具。といっても、決まった魔法しか使えないものや、杖のような力を持つものなど、いろいろあります。――まぁ、とりあえず魔道具屋に行きましょうか」



 私達はいくつかの店を回った。そして、私は一つの魔道具に出会った。その魔道具は、中に紫の細長い球がある、真っ黒な宝石が嵌められているネックレス。何故かは分からないが、とても惹かれる。

 それがあったのは、路地裏にある魔道具屋。大通りの店のような人気はなく、客も片手で数えられるくらいだ。

 私はそのネックレスを手に取った。


「『ナイトメア・アイ』。聞いたことのない魔道具ですね」

「それはね、昨日、黒いローブを着た人が売った物だよ。正直、その人もその宝石も不気味なんだよね。指が異様に細かったからね。――それ、いるならあげるよ?」


 アリアの声に、店員が反応した。他の人からすると、この宝石は不気味らしい。けど、私にとっては、ダイアモンドのような、とても価値の高いもののように感じる。何故だろう。


「……もらってもいいですか?」

「ああ、いいよ。お代も要らないよ」

「ありがとうございます」


 その後は旅に必要なものを色々と買い、宿に戻った。

 


 次の日、太陽が上り始めた頃。フィアナさんが宿に来た。


「今日、調査に行くんだけど、来る?」

「今からですか?」

「今から。……まぁ、無理ならいいけど」


 私は、ベッドに座っているアリアの方を向いた。アリアは軽く頷いた。


「わかりました。行きます」

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[良い点] Twitter で応募をかけさせていただきました。蛙鮫です。 前世で自身より他者貢献を優先してきた主人公,どうかこの世界ではのびのびと生きて欲しいものです! [一言] 頑張ってください!
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