僕はシスコンだ。
僕は周りの人からシスコンと揶揄されているが、その通り、僕はシスコンだ。
そのことについて今さら否定するつもりはないし、否定する意味もない。
普通の人ならは恥ずかしくってついつい否定してしまうだろうが、僕は他の奴らとは違う。なぜらなら僕は自分がシスコンであることに誇りを持っているからだ。
だから否定なんかしない。
むしろ何度だって言ってやろう。
僕はシスコンだ。
そして僕はこの世の誰よりも妹の夢野夢のことを愛してる。
シスコンと呼びたければ勝手に呼ぶがいい。
僕にとってそれは最高の誉め言葉だ。ありがとう。
他人から見たら僕の愛は気持ち悪いだけかもしれないが、それだけ僕の愛は本物だということだ。いや、そもそも妹を愛さない兄なんてこの世のどこにもいないだろう。
もしそんな奴がいたら、そんな奴は兄として失格である。
そんな奴には僕が直々にゼロから妹の素晴らしさについて教えてあげよう。
まず妹の素晴らしいところは可愛いところだ。
例え、夢が年端もいかない幼女やしわくちゃの老婆になっても、きっと夢は可愛いままだろうし僕はどんな夢でも愛し続ける自信がある。妹とというものはただそれだけで可愛いものなのだ。
少し大袈裟オーバーに言い過ぎじゃないかって?
そんなことはない。僕が本気で夢のことを語りだすとラノベ丸々一冊分必要になるのでこれでもまだ抑えているほうだ。
「お兄ちゃん、右手怪我してるみたいだけど大丈夫?」
「あっこれか?ちょっとだけ猫に引っかかれてな」
「直すから右手出して、お兄ちゃん」
「大丈夫だって、これぐらいの怪我ならすぐ治る」
「ダメだよ。直さないと傷口からバイキンが入っちゃうよ。いいから右手だして」
さて話を続けよう。次に夢の素晴らしいところは、こんな頼りない兄である僕を心配してくれることだ。
こんな傷、次に来た時は治っているというのに相変わらず優しい奴だ。
でもそこが好きなところでもある。
夢は抱えている猫をゆっくり降ろすと、怪我している僕の右手を優しく両手で包む。
すると緑色に光りだしほのかに暖かくなる。そして光が消えると夢は僕の右手を離すと、
「治療終了」
夢はそう言った。どうやら回復系魔法『ヒール』をわざわざ使ってくれたみたいだ。
最強の魔法使いと呼ばれてだけのことはあり、傷口は触っても気づかないほど綺麗になくなっていた。
さすが僕の妹。
そういえばいつのまにか妹の素晴らしさについて語っていたはずなのに夢の話になってしまったが、とどのつまり僕が何を言いたいのかというと──
「そう!僕の妹は最高に可愛いのだ!」
「お兄ちゃん、いきなり大声を出して何言っているの?」
「別になんでもないよ。ただ夢の素晴らしさについて考えてただけさ。そんなことよりも怪我治してくれてありがとうな」
「へへ、どういたしまして」
夢は少しだけ照れながらそう言った。