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「序章」

―アラミタマニギミタマ―

子供の声がどこかで響いている

無邪気な笑い声と共に


ぬーらりひょーたん ひーとーつー

おいけにぷーかり うーかんだー



どこかで聴いたことがある

どこで聴いた歌だったろう



ぬーりーかーべー ひーとーつー

ふーたーつーはーひーとーつー



どんな意味が込められてるんだろう

…それにしても変な歌だ。



あれ?


あれは誰だ?


あ、子供の頃の僕か。


向かいに座ってるのは……祖父?

いや?曾祖父?


「ねえねえ、"アラミタマ"ってなに?」


子供の僕が無邪気に問う。

向かいに座る男はニィ…と土気色の顔に笑みを湛えた。

彫りが深い。

その時に、あ、この人は祖父ではない、曾祖父でもないと気付く。

けれどお構い無しに夢の中の僕は問うた。


「ねえねえ、"ニギミタマ"ってなに?」


間違いなく向かいの男に尋ねているが男は答えない。

やはり深い笑みを湛えたまま、だんまりだ。


子供の頃の僕の見ているのは、古い1冊のアルバムだ。

家族が写るそれに、奇妙な物をみた。


その時子供の僕が、向かいの男にまた尋ねる。

それは僕の心の中にわいた疑問と重なって投げかけられた。



「ねえ、どうして"僕が二人いるの"」



そこで男はようやく口を開いた。


「ぬばたまの

まなこのやみをけがすれば

ひるこのよるも

とわになきぬれ」



突然男と目が合った。


気付けば子供の僕は消え失せ、男の目の前には子供の僕の代わりに自分自身が座っている。


男は暗闇の色をした目でじぃっと僕を見つめ、静かに言った。


「たたかえ。結果はどうあれ己の為に」


男の声は丸で沈み込む沼のようだ。


ボーン

ボーン


どこかで柱時計が鳴る。


それまで薄暗かった室内が、ドッと暗くなる。


ぼくはその突然にいつも通り悲鳴をあげた。



……いつも通り?



訳の分からぬまま世界は真っ暗になった。






「1」に続きます。

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