量産機の本気②
「今回のエースはどうやってこの火星に侵入してきたんだ?大気圏を突破してきたとは思えないしな」
「そのまさかですよ三滝隊長!大気圏を無理矢理突破してきて侵入してきたんですよ!しかも戦艦ごとですよ!?」
とても信じられない物を見たかのような慌てぶりをロリ支部長がしていた。
よほど、相手も早く火星が欲しいのだろう。
「マジかよ…どうせここを陣取って侵略の足場としたいんだろうよ」
「ここは他の支部と違って規模が小さいですからね…NAだって三十機ほどしか配備されてませんもんね」
「隊長、話もそこら辺にして早く出撃しましょう!味方がもう持ちませんよ?」
「だな!ロリ支部長俺はもう出るんで失礼します」
「失礼と思うなら呼び方を改めてくれませんかね!?」
「断る!」
「酷い!」
だってロリ支部長をいじるの面白いから止められないのだから。
止めたら禁断症状が出てきそうになる…具体的には手が震えたり足がガクガクと痙攣したりすると思う。
ロリ支部長の戯言は無視してさっさとNAに乗り込まなくてはな。
味方がいつまで持つのか分からないからな…
「さてと…赤砂部隊長三滝・アルべ、バルキリア弐式出る。シャッターを開けてくれ」
「同じく赤砂部隊所属、カイン・ロイド、ケルド三号機出ます」
『分かりましたシャッターを開けますのでお待ちください!』
アナウンスの女性の声が聞こえてきた。
この戦い終わったらあの子をお茶にでも誘おうかな…
そろそろ彼女作って結婚しないとヤバいしな。
ギギギ…と錆びついた金属が擦れる音を立てながらシャッターがゆっくりと開いた。
「相変わらず錆びてるねー、油をたまには注そうぜ」
「なら隊長が注したらどうですか?いつもこの基地でダラダラと寝そべっているじゃないですか」
「あれはいつ敵が襲ってきてもいいように体を休めているだけだ!断じてさぼっている訳ではない!」
『あのー…シャッター開いたので早く行ってくれませんか?』
「お、すまんね!この戦い終わったらお茶にでも行こうよ」
『嫌です…隊長は女癖悪いとの噂を聞いたので』
「ファ!?誰だそんな根も葉もない噂を流した奴は!」
俺渾身の決め顔パート2がバッサリと切り捨てられてしまっただと!?
それに変な噂流した奴は誰だ!もし見つけたらトイレ掃除の刑にさせたるわ!
「早く行きましょうよ隊長!仲間が心配です!」
「仕方ないもう出る!最後に…俺は女癖悪く無いからな~!そこだけは誤解しないでくれ~!」
『ご武運を祈ってます隊長!』
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西部劇に出てきそうな赤い砂の舞うだだっ広い荒野…
天気がいい日は遠く離れた街が見渡せるほど障害物が何も無いのだが、ここら辺は砂埃が酷く年に一回でも晴れた日を見られればラッキー!と思えるほどの天候だ。
一時期は植林をして砂埃を抑えようとしたらしいが砂のせいで日光が遮られて上手く植物が育たなかったらしい…
なので、現在はNAの訓練場兼基地の敷地とされている。
「本当にここら辺は何にも無いな~!娯楽の一つや百くらいあってもいいだろうによ~」
「一つならまだしも百もあったらそれはそれで困りますけどね~…あっ!見えましたよ隊長!味方がやり合ってますよ!」
「うっし!俺らが乱入して荒らしますか!」
「了解です隊長!味方を助けましょう!」
「俺はただエースと戦えれば味方はどうでも…よくない!そうどうでもよくなんてないぞ!」