量産機の本気
俺とカイン君はまた、あの白くて面白みの全く無い休憩室に来ていた。
「隊長…僕の機体壊れてるんですよ?少しくらい手加減してくれてもいいのでは?」
「俺は手加減は大っ嫌いなんだよ。普段の何気ない勝負に手加減する奴は実戦でも手加減してしまい死んでいくんだ、俺はそれで死んだ同期を何人も見た…」
「そうですか。全く説得力無いですけど一応心に留めておきます」
「説得力無いのかよ…」
予想してた展開と違った。
俺の脳内ではこんな展開があってたのにな…
『隊長!じ、自分感動いたしました!これからは一生隊長の部下として恥じぬように訓練していきます!』
『おう、そうか!なら、足腰を鍛えるためにコロッケパン1ダース買って来い!』
『りょ、了解です!一分以内で戻ってきます!』
こんな感じに慕われると思っていたのだが…
人生はやっぱり予想外のことが起きるな。
そんなくだらないことを考えていると辺りに備え付けられている、非常ベルみたいな警報機がけたましく鳴り響いた。
この音を聞くと開戦の合図の雰囲気になるから嫌いなんだよな…
なんかだか館内放送も忙しそうに喋り散らしてるな。
誤差動もいい加減にしてくれよな…
「さ、探しましたよ三滝隊長!なぜ出撃命令が出ているのに出撃していないのですか!」
「何だロリ支部長かよ…俺とカイン君はさっき訓練してきたから休んでるんだ、悪いか?」」
後ろを振り向くと、俺の胸元に届くか届かないかギリギリの身長の女がいた。
彼女は俺の上官で、革命の使徒 赤砂支部の支部長だ。
この女は軍人とは思えないほど可愛らしく幼い顔立ちに、火星では珍しい透き通ったような白い肌をしている。
ちなみに、彼女には多くの軍人のファンがいるとかいないとかそんな噂がある。
「私はロイ支部長です!ロリだと別の意味になってしまいます!」
「いや、元々ロリだろ?何をどうしたらロリを否定できるのか?」
「隊長…あんまりいじめるとこの前みたいに泣き出してしまいますよ?」
「そのことは忘れてください!とにかく、出撃命令を出しましたので出撃してください!」
「何で俺が出ないといけないの?他のパイロットだって皆必死に訓練してるから弱くは無いだろ?なら、俺は出ても邪魔になるだけだが?」
俺の乗っているバルキリア弐式は旧型のNAだ。
他の新型とは連携が合わせにくい、それを知っていて俺に出撃命令を出しているならバカたれだ。
たぶん、他のパイロットじゃ倒せない敵がいるんだろう…
「じ、実はですね…なぜか敵のエースが攻めに来てですよ、今ここにはエースが不在じゃないですか?」
「そうだったな、確か前回の戦闘でボロボロになったから修理してるんだろ?」
「そこで!今までエースを一人で屠り続けてきた伝説の量産機使いである三滝隊長にお願いしたいのです!」
「よし分かった引き受けよう!いくぞカイン君!戦場が俺らを呼んでいるぅぅ~!」
「相変わらず隊長はエース機体と戦うのは楽しみみたいですね」
「当たり前だろ?エースだぞ?それなりに強いはずだから楽しみだぜ!」
今回は特に話は進みません
ここまで読んでくださったかたは分かると思いますが、文字数は少なめです
なので、必然的に話の数が多くなります
それでもいいい方は読んでください