七話 船上の生活 ご飯 前編
七話 船上の生活 ご飯 前編
カイリはガスコンロにガスボンベを入れて、ヤカンに『富士の水』を入れる。ヤカンに火をつけて…じゃなくて、ヤカンをガスコンロにおいて、ガスコンロに火をつける。カップの蓋を半分ほど開けて、中に袋が入っていないか確認。お湯が沸いたら火を止めて、カップに線の位置まで注ぐ。三分たったらふたを開け、一○○均で一○○本入りだった箸を割って中を軽くかき混ぜる。食品添加物いっぱいのスープの香りをかぎ、少し飲む。『ふう。』とため息をつき、麺を少しすする。醤油味のとても安いありふれたカップヌードルはのび太の様に一〇個食べたいと思えるほどおいしくなかったが、体は温まった。残ったカップにヤカンのお湯を注いで洗い、ペットボトルに移す(氷水の中に入れているので、割れはしない。)。日本茶のティーバックを入れて、お湯を適当に注ぐ。ちょうどよい濃さになったら、ティーバックをシンカのカップに入れてお湯を注ぐ。こちらもちょうどよい濃さになったら、ティーバックをゴミ袋に入れる。お茶請けはお饅頭。いただきます。
「ごちそうさまでした。」
「どうも。」
発生したごみをゴミ袋に入れて、カイリが言う。
「じゃあシンカ君、君は船のスピードを調節していてくれ。僕は夕飯を作るよ。」
「は。船長。」
あれ、俺、いつの間に船員に?と思いながらボタンのある船後方にシンカは歩いて行った。カイリは言う。
「よし、長いセリフだから噛まないように…さあさあ始まりました、カイリの長時間クッキング!今日はチキンカレーを作ります!ガスコンロはすでに床に固定済みです!今回は小学生男子でもできるような簡単なメニューです!」
カイリは一人でにっこり微笑んだ。