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六話 船上の生活 出発
六話 船上の生活 出発
船に乗って沖に出る。結構心細くなるものだと思いながら、カイリは小さく水平線上に消えていく陸を見ていた。
「あ。」
「なんだい、カイリ君。」
「地図機能の付いた端末を持ってくればよかった。」
「そんなこと言ってもインターネットに繋がるかわからないよ?僕が持ってきたよ。」
「じゃあ、方位磁針は?」
「ふふーん。持ってきたよ。方位磁針も。」
「あんまり役に立たないと思うけど、取りあえず見せてよ。」
「これだ!」
シンカは『小学生の世界地図』を取り出した。
「…本当に役に立たなかった。がっかりだ。がっかりだ。がっかりだ。シンカ君があのアニメ映画をよく見ていたのは知っていたが…がっかりだ。」
「…ひどい言われようだ。さすがの僕でも傷つくぞ。男子のハートは女子が思っているよりずっとずっとピュアなんだからな。」
「ちなみにピュアの意味とは?」
「…?」
「ちゃんと理解してから使いましょう。」
「はい。ごめんなさい。」
「ところで…。」
「?」
「どこに行くの?」
「…。」
「何するの?」
「…まあ、大丈夫。」
「…ラーメン食べましょう。」
「…はい。」