四話 進水式の朝
四話 進水式の朝
「……リカ…リ。…カイリ!」
びっくりして、がばっと寝ていた体を起こすと、何か固いものがおでこにあたり、目がちかちかした。
「びっくりして友人に起こされるのは悪くないけど…シンカ!」
そこにはえへへという顔をしたシンカがいた。
「シンカ(怒)!」
「まあまあ、そう怒るなって。」
「そういうことじゃな…」
「それよりさ、今日は進水式だぜ!早くしないと置いてくぜ!」
張り切って言うシンカの顔には『くま』ができていた。
「まさかシンカ君、君一睡もしていないとか言わないよね…。」
「おう!よくわかったな!さすがカイリ!」
「朝からテンションMAXだな…。まあいいか、いこう!って、まだ朝の五時じゃん!」
こういうのをノリツッコミというのかと思いながら、進水式は午後一時だったことを思い出す。
その日のごご一時半、予定より早く(シンカが駄々をこねた。)式が始まった。CDラジオで音楽を聴きながら、カイリとシンカはオレンジジュース、おじさんはお酒を飲んで(お酒にのまれて)、笑いあったり、他愛もない雑談をしたりした。おじさんが酔っ払って瓶を船体にぶつけたはよかったものの、それで穴が開いたりした。何はともあれ、無事に海に浮いたので良かった。